何かの間違いだ、こんな筈はない。今朝発表された数字に皆おどろいた。10月分の新築住宅販売件数は、年間ベースで142万件にのぼり、予想された120万件を上回った。この数値は9月の販売高から13%増となり、これほど大きな上昇率を記録したのは1993年4月以来だ。
だれもが米国不動産は下降局面に入った、と信じていた。住宅着工戸数、それに建築申請数も減少が始まっていたから、今朝の数字はどうしても納得ができない。本当に今朝の発表は正確なのだろうか。全米住宅産業協会の、デービッド・サイダース氏はこう語っている。「住宅市場の状況は十分につかんでいるつもりでしたが、こんな統計は全く予期していませんでした。しかし、私の見通しは変わりません。数々のデータを総合してみると、米国不動産は下向きが始まっています。」
報道された売上を地域別に見ると、ハリケーンの被害を受けた南部は1.9%の上昇だったが、北東部と西部はなんと40%以上の跳ね上がりだった。実際に低迷が発表されたのは中西部だけで、新築住宅の販売数は9月分を9.5%下回った。中間価格は、9月の23万1300ドルを1.6%上回った。(中間価格は、ちょうど真ん中にあたる値段だから、半数がこの値段より高く売られ、半数がこの値段よりも安く売られていることになる。)
しかし、平均新築住宅価格は9月より低くなっている。こんな現象は高級住宅の下げ幅が、低価格住宅の下げ幅よりも大きい時に起きやすい。1年前の値段と比較してみると、平均新築住宅価格は1%の下落、そして中間新築住宅価格は1%の上昇だ。一見矛盾するような数字だが、不動産エコノミストの説明によれば住宅建築会社は、以前よりも小さな家を建てている可能性が高いという。
住宅ローンの金利上昇が、10月の好調な売上に結びついた、という説もある。9月、30年ローンの平均は5.77%だったが、今日は6.07%だ。これ以上金利が上がってしまったら、マイホームの夢を逃してしまう。だから今買うしかない。そんな理由で、買い手たちが一斉に住宅マーケットに押し寄せた、というわけだ。これが買いのピークだろうか。いよいよ本格的な冷え込みが来るだろうか。ワコビア証券の、フィリップ・ニューハート氏を引用しよう。「ピークかどうかは断言できません。しかし、今回のような伸びを継続するのは無理です。」