この銘柄さえなければ今年の成績はプラスだった。投資家なら、一度はそんな悪魔のような株に悩まされることがあるだろう。米国の投資家たちは、いったいどんな銘柄で口座に大きな穴を開けたのだろうか。ビジネスウィークが報道した、2005年度版悪夢の銘柄リストをさっそく紹介しよう。
1、クリスピー・クリーム・ドーナツ
華麗な飛躍を見せていた株価は完全に焦げついてしまった。今年12ドル25セントでスタートを切った株価は、今日5ドル付近で低迷している。ピークは2003年半ばに記録した40ドル台だ。あれから数々の訴訟、不審な決算報告、それに売上の減少と続き、全く良いところが無い。企業再建スペシャリストを雇ってみたが、お手上げの状態だ。現在クリスピー・クリーム・ドーナツは、最高経営責任者を探している。
2、テイザー・インターナショナル
電気ショック銃で知られるテイザー、製品は違うが話はクリスピー・クリーム・ドーナツと共通点がある。毎日のように話題になったテイザーは、かつてウォールストリートの花形株だった。今日たった7ドルの株価は、11ヶ月前32ドル50セントで取引されていた。転落の原因は、安全なはずの電気ショック銃が、人の命を奪ってしまったのだ。警察でも使われていた製品だったが、ニュースがニュースだっただけに、売上は急落となった。おまけに、決算報告書にも疑わしい点が発見され、証券取引委員会からも目をつけられてしまった。
3、バイオジェン・アイデック
開発していた薬品が、患者の脳に致命的な損傷を与え、正にバイオテクノロジー銘柄の悪夢が現実化してしまった。薬の販売は即刻中止され、株価は67ドルから35ドルに暴落した。それから株は45ドルまで回復しているが、問題になった薬品に対して、まだ食品医薬品局からの認可はおりていない。
4、メルク
大手製薬会社メルク、関節炎の治療薬が心臓病の原因になってしまった。そんな副作用を知りながら販売を続けていた、との疑いが浮かび、多くの患者から告訴される結果になった。裁判がいつ終わるかは、今のところ全く見当がつかない。
5、ファニー・メイ
驚いたことに、二年の期間にわたって偽った決算報告書を発表していた。これがアメリカ政府支援の、住宅投資そして融資会社の実態なのだから呆れてしまう。証券取引委員会から、2004年度からの決算再報告を要求されているが、まだ書類は提出されていない。
さて、最後に質問しよう。今年、投資者から最も持てはやされた株は何だろうか。200ドルから400ドル台に成長したグーグル、と思われるかもしれないが、正解はアップル・コンピュータだ。iPodの成功例から分かるように、アナリストのクリス・ジョンソン氏は、今のアメリカでアップルほど革新的な会社は存在しないと言う。