男性ファンドマネージャーと、女性ファンドマネージャーを比べたら、どちらの方が優秀だろうか。こんな質問をするのは、経済コラムニストのマシュー・リン氏だ。証券業界で活躍する女性が増えていることは確かだが、まだまだ男性が圧倒的に多い。この現状に挑戦するかのように、女性だけを顧客対象にしたファンドを開始した女性がいる。リン氏の話を続けよう。
「男女の戦いを宣戦したのは、ロンドンの女性ファンドマネージャー、ニコラ・ホーリック氏です。今回ホーリック氏は、ブラムディーン・アセット・マネージメントの一部門としてブラムディバを開設しました。ここでは、裕福な女性の資金だけが特別に運用されます。この新部門を発表した時ですが、ホーリック氏は女性ファンドマネージャーの方が、男性ファンドマネージャーより優れている。なぜなら、女性は男性のように、つまらないエゴが無い、といった意見を述べています。」
本当に女性の方が、男性より株式投資の才能があるのだろうか。リン氏は興味深いエピソードを紹介している。「メリルリンチは、千人の投資家(人数は男女半々)を使って投資実験をしたことがあります。その結果分かったことは、女性の方が、男性より間違いが少ないのです。女性は男性のように、一銘柄に集中投資することはありません。また、女性は男性より損切りが早く、頻繁に銘柄を乗り換えることもしません。男性は損切りが遅いだけではありません。利食いのタイミングにも大きな問題があります。ホームランを打つことばかり考えてしまうので、ほどほどのところで利食うことができません。ですから、折角の儲けが台無しになるだけでなく、最終的には損を出してしまうのです。」
メリルリンチ以外にも、似た統計がイギリスで発表されている。10万人の投資家から得た、今年1月から5月までの投資結果を見てみると、女性の成績は+17%、男性は11%増だった。なぜ女性の方が好結果だったのだろうか。アンスバシャー社で、投資ストラテジストを務めるティム・プライス氏は、こう説明する。「男性はあまりに自信過剰です。売買回数も多すぎます。正に攻撃的な男性ホルモンが裏目に出たわけです。」
手っ取り早い結論は、女性にファンドマネージャーの地位を譲れ、ということになるが、それではあまりにも短絡的すぎる。男性は、ファンドマネージャーをやめる必要はない。リン氏の言葉を借りれば、男性は大投資家として有名な、ウォーレン・バフェット氏を見習えばよいのだ。バフェット氏は長期投資を信条とし、頻繁な売買や銘柄の乗り換えをしない。なるほど、バフェット氏は女性的な投資方法をマスターしていたようだ。