「ウォールストリートは単なるステージにすぎません」、と言うのは経済コラムニストのポール・ファーレル氏だ。「証券会社、ミューチュアルファンド、アナリスト、投資ストラテジスト、出演者は多彩です。皆それぞれ脚本に従って役を演じますが、だれ一人として自分が役者であることを認めようとしません。けっきょく、皆、何も分かっていないのです。」
更に氏はこう付け加える。「投資者も、専門家たちの意見を分かったふりをしているだけです。米国経済、株式市場のことなど全く理解できていないのですが、いつも微笑みを浮かべて、自分たちをごまかしています。既にマネー誌が取り上げましたが、今こそ経済学でノーベル賞を受賞した、ダニエル・カーネマン氏の言葉を思い出すべきです。」さっそく投資に役立つ、カーネマン氏が指摘する5つの事項を紹介しよう。
1、全てのデータを信用するな。
正確に言うと、データそのものに問題は無い。悪いのは、私たちのデータ解釈方法だ。たとえば有名ファンドマネージャー、ビル・グロス氏の言葉がウォールストリートジャーナルに引用されていたとしよう。それを読んだあなたは、グロス氏の意見をどう取るだろうか。氏の言うことだから間違いない、と簡単に鵜呑みしてしまわないだろうか。
2、いつも冷静に。
証券会社の作戦にはまってはいけない。思い出して欲しいのは、90年代のインターネット株ブームだ。多数の投資家が、いい加減なレポートに熱狂してしまい、ドット・コム銘柄は常識を超える暴騰になった。冷静な頭で判断すれば、収益ゼロの会社を狂ったように買うことはなかったはずだ。
3、投資アドバイザーの意見を頼るな。
テレビに出ているからといって、アドバイザーを信じる必要はない。彼らの興味は購読者を増やすことだから、アドバイザーたちの言うことはセールストークだ。
4、口座残高ばかりを気にするな。
残高の動きだけを見ていると、感情的な投資家になってしまう。上記2でも述べたが、大切なのは冷静さだ。
5、総合的な立場で投資しよう。
一つの銘柄やセクターだけに集中投資するのではなく、バランスのとれた投資を心がけよう。これなら一つの銘柄がダメでも、他セクター銘柄が損を補ってくれる。