二桁勝利を目標にするピッチャーが多い。9勝と10勝の差はたった1ゲームだが、桁数が一つ増えただけで、10勝の方がかなり重々しく見える。投資の世界でも、9%の利益より10%増の方がずっと優秀に映る。ドル高が話題になっているが、今年ドルは円に対して約14%、そしてユーロに対しては13%ほど上がっている。
ドル高を作り上げた一番の原因は短期金利だ。容赦ない連銀による金利引き上げで、現行の米国短期金利は4%ちょうどになった。日本の金利は0.1%、そして欧州ユーロ圏内の金利は2%だから、いかに米国金利が突出しているか分かっていただけると思う。
しかし、このドル高パーティーも終わりに近い、と警告する為替アナリストが出始めている。2003年6月以来、欧州中央銀行は金利を据え置いてきたが、いよいよ金利引き上げに踏み切る可能性があるようだ。これが現実となれば、少なくとも一時的なユーロ買いが起き、ドルの上伸に圧力をかけることができる。
広がる米国金利と海外金利の差が、ドルをベースにした投資を魅力的なものに変えた。これがドル人気の理由だが、ほとんどのアナリストは12月と1月にも連銀による金利引き上げを予測している。一方、ロイターからは、次のような報道がある。60人のエコノミストにインタビューした結果、ほぼ全員が来年の6月までに欧州中央銀行による金利引き上げを予想している。また、MGファイナンシャルグループのアシラフ・ライディ氏は、「たぶん75%から80%の確率で、中央銀行は12月に金利を上げることでしょう」、と述べている。
たとえヨーロッパが金利を12月に引き上げても、一気に米国金利に追いつくことはない。ドル高は更に進むのだろうか。為替アナリスト、デービッド・ソリン氏を引用しよう。「金利引き上げ政策は最終段階に入っていますから、あと1ヶ月から2ヶ月でドルの上昇サイクルは終わると思います。」もしドル安が訪れると、アメリカへの輸入品が値上がる。ドル高の逆になるのだから、ユーロや円をベースにした投資が有利になる。ということは、来年の米国株式市場は低迷する可能性が多分にあるわけだ。