推定されるアメリカ国内での死亡者数は190万人。これが、鳥インフルエンザの最悪シナリオだ。既に11月1日、ブッシュ大統領は鳥インフルエンザ対策として、71億ドルを投入する計画があることを発表している。しかし、正直なところアメリカ国民には、実感として鳥インフルエンザの怖さが分からない。本当に、この病気はそれほど深刻なのだろうか。経済ジャーナリスト、ジョン・カリー氏が指摘する、いくつかの重要な点を紹介しよう。
普通のインフルエンザ予防接種は、鳥インフルエンザに効きますか?
「一般的なインフルエンザと、鳥インフルエンザは根本的に違いますから、普通の予防接種では効き目がありません。鳥インフルエンザのような病気は、100年に一度といった頻度で起きる希な病気です。1918年の鳥インフルエンザは、米国内に67万5000人の死亡者を出しました。全世界では、5000万人の死亡者です。」
鳥インフルエンザを警戒する必要が、本当にあるのですか?
「1918年の鳥インフルエンザは、ウイルスが鳥から人間に突然感染することで蔓延しました。現在アジアは、鳥インフルエンザの危機に直面していますが、このウイルスは鶏やアヒルだけでなく、渡り鳥にも感染します。既に感染した渡り鳥がヨーロッパで発見されていますから、アメリカに来るのも時間の問題です。」
鳥インフルエンザはどのように人へ感染するのですか?
「ウイルスに感染した鳥に接触しない限り、人にうつることはありません。ですから、今でもアジアへの旅行が禁じられていないわけです。」
でも、念のためにアジアへの旅行禁止、そしてアジアからの旅行者の米国入国を拒否するべきではないでしょうか?
「現時点で、そのような措置は全く必要ありません。重要なことは鳥との接触を避けることで、人の出入国の規制ではありません。」
もしアジアへ行った場合、卵を食べても大丈夫ですか?
「生はダメです。料理された卵なら大丈夫です。」
鳥インフルエンザは、どうやら感染しにくい病気のようですね。やはり、あまり警戒する必要は無いのですね?
「1918年の鳥インフルエンザは、感染した人たちの約2.5%から5%が死にましたが、感染者の50%が死亡した前例もあります。今のところ感染は鳥から人ですが、何らかの変異が生じて人から人への感染が将来起きる可能性もあります。」
ハリケーンと違い、鳥インフルエンザが工場やオフィスビルを破壊することはない。しかし、病気が蔓延すれば、半分近い従業員が欠勤することは十分有りえる。最高経営責任者、社長、そして会長が同時に倒れたら、その会社の指揮はだれがとるのだろうか。経営陣が大丈夫でも、製品配達担当者が皆休んでしまうことだって考えられる。万が一のために、あなたの会社は準備が整っているだろうか。