ダウ指数の1万ドル割れを予測するのは、JPモルガンのアブヒジット・チャクラボーティ氏だ。更に氏は、2006年度の企業収益成長率は0、という見方も発表している。年末ラリーを期待する投資家には嫌な意見だが、上昇の続く金利が、いよいよ企業利益を低下させるようだ。こんな見解のチャクラボーティ氏だから、とうぜん株を避けてマネーマーケットファンドのような現金ポジションを勧めている。
成長率0%には賛成しないが、アナリストのバリー・ハイマン氏も、2006年度の企業収益低下を予想している。「物価と金利上昇が悪影響なのは言うまでもありませんが、どちらにしても、2006年は企業の利益が下がります。過去3年間を振り返ってみると分かりますが、企業収益は予想以上に好調でした。ですから、このような伸びを4年連続で期待するのは無理です。」
トムソン・ファイナンシャルのデービッド・ドロップシー氏によれば、2002年の企業収益成長率が0.1%だった。これと同じことが来年再現されるためには、かなり破滅的なシナリオが必要になるという。ドロップシー氏を引用しよう。「成長率0が現実化するには、超異常な物価高、失業率の大幅増加、それに急激な金利引き上げが必要です。現状を見る限り、まずそのような事態が発生することは考えられません。」
連銀は12回連続の金利引き上げを実施したわけだが、この金利上昇がドル高という状況を作りあげている。ドルが上がれば、米国からの輸出品が高くなり魅力が落ちる。そうなれば売上の減少が起き、ただでさえ膨大な貿易赤字を抱える米国経済にマイナスだ。もちろん、米国内企業のリストラを更に進めて、労働賃金の安い国外での製造量を大幅に増やす対抗手段もあるが、これも結果的には国内企業収益を減らしてしまう。
暗い見通しだが、株はやめて本当に現金化した方が良いのだろうか。最後に、経済ジャーナリスト、ジム・ジューバック氏の見方を紹介しよう。「アメリカではなく、国外に目を向けることが大切です。ドル高が海外企業に有利な環境を生み出しています。もし連銀の金利引き上げが終わると、ドルの下降が始まるわけですが、そのような状況ではドルではなく、外貨をベースにした投資が有効です。ですから現時点では、日本株に投資をするファンドが最適と思われます。」