株式市場は、スーパーマーケットのレジにできる列のようなものだ、とファイナンシャルタイムス紙のティム・ハートフォード氏は言う。「だれでも一番短い列に並びたい、と思うものですが、将来性のある株を選ぶのも、それに似ています。馬鹿らしい、と言われるかもしれませんが、そう簡単にできることではありません。この列が一番短い、と自分が発見するのと同時に、他の人たちも一斉にその列に殺到します。ですから、あっというまに一番短い列が、一番長い列になってしまうわけです。」
いつも一番短い列を選ぶためには、レジにできる列の習性などを調べる必要がある。例えば、あの人は仕事がテキパキと速い。だから列も直ぐ短くなる。この時間帯は、真ん中の列が一番遅い。そのようなことが分かっていれば、待ち時間の短い列が選びやすくなることだろう。それでは、ハートフォード氏に、銘柄の選び方について語ってもらおう。
「株を適切に選ぶためには、それなりに準備や勉強をしなくてはいけません。そのような時間は無い、と言う方にはインデックスファンドをお奨めします。繰り返しますが、マーケットで利益を上げるためには宿題を怠ってはダメです。最初に指摘したいことは、ファンドマネージャーやアナリストを頼ってはいけません。統計に表れているように、ほとんどのファンドマネージャーはインデックスファンド以上の成績をあげることができません。
この会社を買ってみよう、と思ったら「希少価値」という言葉を思い出してください。この会社には希少価値があるだろうか。この企業には、ライバル会社が真似できない何かを持っているだろうか。もし、投資者たちが、真剣にこれらの質問に答えていたなら、あのようなインターネット株バブルは起きなかったことでしょう。自宅の物置が本拠地になっているような会社では長続きしません。そんな会社なら、だれにでも作れます。」
希少価値のある会社として、ハートフォード氏は次のような例を挙げている。「イーベイは希な企業です。ネット上でオークションを成立させるには、買い手と売り手を同時に引き込む必要があります。これは簡単にできることではありません。他にはヤフー、アマゾン・ドット・コム、それにグーグルです。どの会社も、他社がた易く真似できません。」
最後に、人気商品iPodでお馴染みのアップルについて氏に聞いてみよう。「売る時期だと思います。企業収益は既に去年の4倍にもなっています。このような伸びを継続するのは無理です。たしかにiPodは希少価値のある商品ですが、確実に競争相手が接近しています。ソニーのWalkmanと同じです。永久に市場を独占することはできません。もう一つ付け加えれば、アップルの株価収益率は35倍に達しています。これは、とても割高なレベルです。」