Wednesday November 2, 2005

US Market Recap

一大転換期に立つデル

無敵のデル、いつも単独首位だったデル、それは昔の話になろうとしている。世界最大のPCメーカーとして、全力疾走を続けたデル、いよいよ燃料補給が必要になったようだ。月曜のマーケット終了後、デルは投資者が嫌うニュースを発表した。第3四半期の決算は、売上そして収益の両方が予想以下の結果になる、という下方修正だ。

「デルに限らず、これだけ大きな企業が高成長を続けるのは難しいことです。デルの成長率低下は、当然の成り行きだと思います」、とTCWグループでファンドマネージャーを務めるジェーソン・マックスウェル氏は言う。氏の運用するファンドは2900万株のデルを保有しているが、デルをずっと監視し続けてきただけに、今回の下方修正ニュースには驚いていない。重要なことは、これからのデルの伸び率が、S&P500指数の上昇率を上回ることができるかだ。

最近のデル経営姿勢を疑問視するアナリストは多い。収益目標を達成するために、大幅なコスト削減を実施し、それが顧客サポートサービスや製品品質の低下に結びついている。「企業成功の鍵は、顧客を常に満足させることです。優先させるものを間違えると、問題は雪ダルマ式に増えていくことでしょう」、とマックスウェル氏は付け加える。

10月10日のビジネスウィークには、こんな報道がされている。「全ての顧客を満足させることは不可能だが、デルのカスタマーサポートに不満を訴える消費者が増加している。2004年、商事改善協会に届け出のあったデルに関する苦情は前年度を23%上回った。今年も苦情が増え、現時点で2004年度を5%ほど超えている。また、ミシガン大学の調べによると、デルの顧客満足度指数は業界平均の74にあたり、これは2004年度から6.3%下がっている。(アップルコンピュータの顧客満足度は81で業界のトップ)」

品質の低下は明確に表れている。二つのデスクトップ機種、GX270とGX280のキャパシタに欠陥が見つかり、これが第3四半期の決算に3億ドルの被害を与えている。欠陥キャパシタの搭載されたコンピュータが、実際にどれくらい販売されたかは分からないが、作業中に突然、電源が切れてしまうというから大変だ。キャパシタの他にも、不要になった在庫部品が1億5000万ドルの損になるらしい。辞めた重役が、ビジネスウィークのインタビューで、こう語った。「デルは芸を一つだけできる子馬のようなものです。今のデルには革新的なアイディアはありません。」

Stocks You Need To Know About

重要なトレンドライン

昨日に引き続き、またデルの日足チャートを見てみよう。

上放れを期待した買いの危険さが、よく分かるチャートだ。昨日は、ほぼ高値引けだから、引け間際に買った人たちが多かったことだろう。しかし、収益と売上下方修正ニュースで、デルは大きなギャップダウンだ。トレンドラインを無視した投資の怖さが、理解できると思う。

1101dell.gif

Wall Street English

予想どおりの金利引き上げ

0.25ポイントの金利引き上げが実施され、これで米国フェデラルファンズは4.0%ちょうどになった。金利政策姿勢に変化は見られず、これで来月、そして来年1月の利上げも確実になったようだ。金利政策据え置き理由の一つとして、こんなことが報道されている。

Some analysts said the Fed would be reluctant to make any major changes to the statement during the transition from Greenspan to Ben Bernanke.

グリーンスパン氏からバーナンキ氏への引継ぎ期間だけに、現時点でのポリシー変更は躊躇されるようだ。

 

本マガジンは客観的情報の提供を目的としており、投資等の勧誘または推奨を目的としたものではありません。各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社は一切責任を負いかねます。

発行:株式会社ブレイクスキャン 監修:株式会社デイトレードネット