無敵のデル、いつも単独首位だったデル、それは昔の話になろうとしている。世界最大のPCメーカーとして、全力疾走を続けたデル、いよいよ燃料補給が必要になったようだ。月曜のマーケット終了後、デルは投資者が嫌うニュースを発表した。第3四半期の決算は、売上そして収益の両方が予想以下の結果になる、という下方修正だ。
「デルに限らず、これだけ大きな企業が高成長を続けるのは難しいことです。デルの成長率低下は、当然の成り行きだと思います」、とTCWグループでファンドマネージャーを務めるジェーソン・マックスウェル氏は言う。氏の運用するファンドは2900万株のデルを保有しているが、デルをずっと監視し続けてきただけに、今回の下方修正ニュースには驚いていない。重要なことは、これからのデルの伸び率が、S&P500指数の上昇率を上回ることができるかだ。
最近のデル経営姿勢を疑問視するアナリストは多い。収益目標を達成するために、大幅なコスト削減を実施し、それが顧客サポートサービスや製品品質の低下に結びついている。「企業成功の鍵は、顧客を常に満足させることです。優先させるものを間違えると、問題は雪ダルマ式に増えていくことでしょう」、とマックスウェル氏は付け加える。
10月10日のビジネスウィークには、こんな報道がされている。「全ての顧客を満足させることは不可能だが、デルのカスタマーサポートに不満を訴える消費者が増加している。2004年、商事改善協会に届け出のあったデルに関する苦情は前年度を23%上回った。今年も苦情が増え、現時点で2004年度を5%ほど超えている。また、ミシガン大学の調べによると、デルの顧客満足度指数は業界平均の74にあたり、これは2004年度から6.3%下がっている。(アップルコンピュータの顧客満足度は81で業界のトップ)」
品質の低下は明確に表れている。二つのデスクトップ機種、GX270とGX280のキャパシタに欠陥が見つかり、これが第3四半期の決算に3億ドルの被害を与えている。欠陥キャパシタの搭載されたコンピュータが、実際にどれくらい販売されたかは分からないが、作業中に突然、電源が切れてしまうというから大変だ。キャパシタの他にも、不要になった在庫部品が1億5000万ドルの損になるらしい。辞めた重役が、ビジネスウィークのインタビューで、こう語った。「デルは芸を一つだけできる子馬のようなものです。今のデルには革新的なアイディアはありません。」