期待の11月ラリーは展開されるだろうか。行方の鍵を握るイベントが、今週二つある。筆頭は火曜のFOMC(連邦公開市場委員会)だ。既に11回連続の金利引き上げだが、今回も0.25ポイントの利上げが予想されている。注目は、金利引き上げ政策が終わりに近いかどうかのヒントが得られるかだ。金曜日は、アメリカ経済のバロメーター、雇用統計が発表される。非農業部門新規就業者は+12万5000人、失業率は前回と同様の5.1%、そして時給は+0.2%が見込まれている。
11月のマーケットラリーを望んでいるのは、個人投資家だけではない。ニューヨークタイムス紙の報道によれば、いつも好成績で有名なヘッジファンドが、10月、大きな損を出したようだ。オイル株に代表されるエネルギー銘柄が主な投資対象だったようだが、このセクターは予想以上の下げになってしまった。利益を確定するために、多数のヘッジファンドがオイル銘柄を売ったようだから、これが自分たちの首を絞める一因になったわけだ。
ヘッジファンドに投資する目的は、リスクを回避(ヘッジ)して、高い利益を得ることにある。だから、ヘッジファンドマネージャーは、マーケットの動きに関係なく安定した好成績を上げなければならない。しかし、10月にヘッジファンドのしたことはリスクの回避ではなく、エネルギーセクターの下落に飲み込まれてしまった。「どのファンドも買う銘柄が同じ物ばかりです。優秀な競争相手に便乗して儲けようとするのですが、少しの下げでマネージャーたちは、簡単に動転してしまいます」、とロバート・チャップマン氏(ベテランファンドマネージャー)は言う。
大手ファンドは5%から10%の穴を開けたらしいが、これが一つの心配の種になっている。ほとんどのヘッジファンドは、解約は年に一度しかできない。時期は年末が一般的で、申し込みの受付は11月から始まる。ヘッジファンドのリーダー、と呼ばれるアティカス・キャピタル(80億ドル運用)でさえ、10月には9%の資金を失っている。もし、各ファンドに解約が殺到なら、期待の年末ラリーに水が注されてしまう。
10月、特に成績が悪かったのは、アクティビストファンドと呼ばれる種類のヘッジファンドだ。これらのファンドは投資対象になっている企業の経営陣に積極的に働きかけ、会社資産の売却などを奨励して株価上昇を狙う。上記したアティカス・キャピタルもアクティビストファンドの一つであり、銅生産会社、フェルプス・ダッジへの集中投資が裏目に出てしまった。約4%の株を買い占めたらしいが、フェルプス・ダッジは、10月、10%の大幅下落だ。
ヘッジファンドも投資だから浮き沈みがある。ヘッジ・ファンド・リサーチ社のデータによれば、10月の成績を含めても、ヘッジファンドは平均+7.4%の利益を出しているという。もちろん、普通のミューチュアルファンドのような規制がないヘッジファンドは、投資結果を公表するところが少ない。最後に、ヘッジファンドコンサルタント、サンドラ・マンツキー氏の言葉を記しておこう。「ヘッジファンドに投資するなら、今はとても良いタイミングです。エネルギー銘柄には、大きな伸びが期待できます。」