マーケットは揉み合いが続いている。今月末で会計年度が終わる大手ミューチュアルファンドが多く、月末ラリーを期待している投資者もいるが、思ったように上がらない。かと言って、売り手が喜んでいるわけでもない。こんな状況だから、普段はファンダメンタルズだけの人たちも、なんとか方向性をつかもうと、テクニカルアナリストの意見を聞くことになる。
「もしS&P500指数が1168、そしてナスダック指数が2025を割ると、米国株式市場はベアマーケットに入ります」、と語るのはシェイファーズ・インベストメント・リサーチ社のクリス・ジョンソン氏だ。「今、一般個人投資家がしなければいけないことは、慎重な持ち株の検討です。処分するべきものは直ぐ売り、次回の買いチャンスに備えて、十分な現金を口座に蓄えておくことが必要です」、と氏は付け加える。
ファンダメンタルズ中心主義の投資家は、とにかく迷っている。金利引き上げ政策は既に8回の裏まで来ている、と信じていたが、度重なる連銀関連者の意見からは延長戦しか読み取れない。決算シーズンも大詰めとなったが、ほとんどの企業は予想以上の収益を発表している。しかし、グーグルなどの一部を除いて、株価は全く好反応を示さない。そんなわけで、大局的な立場から見た現在のマーケット、そして予想される今後の動きなどを、さらにジョンソン氏に聞いてみよう。
「最初に指摘したいのは、マーケットは長期サポートレベルをテストしています。ナスダック指数とS&P500指数は、20月移動平均線の位置にあり、テクニカルアナリシスを重視する投資者や投機家が買っているわけです。ベアマーケットを避けるためには、両指数とも現在の位置から下落することは許されません。」正にサポートライン上で、売り手と買い手が綱引き状態になっているわけだが、ジョンソン氏はこんなことを言う。「数週間前と比較してみると、強気から弱気に転向する投資者が少し増えています。これは買い手に不利になりますが、今の膠着状態が最終的にどう動くかが、次の数ヶ月間のマーケット方向を決定する大きな要素になります。」
予想は好きでない、と言うジョンソン氏だが、今後の動きについて最後に語ってもらおう。「20月移動平均線が上昇している限り、マーケットはアップトレンドです。しかし、現在の20月移動平均線は上向きに陰りが見え、ダウントレンドに方向転換しそうです。既にダウ指数は20月移動平均線を割っています。同様なことがナスダックとS&P500に起きれば、即刻持ち株を処分し、空売りに専念するだけです。」