インフレ、膨大な財政赤字、エネルギー価格、ハリケーン、支持率低下の大統領、上昇する金利、差し迫るグリーンスパン氏の任期切れ、と不安材料ばかり並べたが、米国株式市場はこんな憂鬱な状態から簡単に抜け出すことができるのだろうか。ここで紹介したいのが、ビジネスウィーク誌が行った、ベンチャーキャピタリストとして知られるトム・タウリ氏のインタビューだ。
「これほど株に対して悲観的になったは、もういつのことだったか覚えていません」、とタウリ氏は言う。「アメリカがインフレに悩んだのは70年代、まだ私がティーンエージャーになる前ですが、まさに今のアメリカは、その70年代に戻ろうとしています。こんな時は守備に力を入れることが大切ですから、私は多数の持ち株を処分してマネーマーケットファンドに移しました。」
さすがに警戒論を唱えるタウリ氏、株の現金化を進めているようだが、全ての持ち株を売りました、とは言っていない。現在のようなマーケット環境で、買える銘柄があるのだろうか。「強調したいのは、現状で小型株に手を出すことは控えなければいけません。今は大型株だけに焦点を合わせるべきです。もちろん、マーケットが崩れてしまえば、大型株にも被害が出ます。ですから、個別銘柄を選ぶ前に、どの業種が良いのかを見極める必要があります。」
さて、タウリ氏は実際にどんな銘柄を投資対象として考えているのだろうか。「全体の流れとして、オイルは上昇基調です。競争相手も少ないですから、エクソン・モービルのような巨大オイル会社は買いです。単に株価の上昇だけでなく、エクソン・モービルの場合、配当金も魅力的です。簡単に言えば、テーマは商品です。とにかく、商品市場に関連した銘柄を選ぶことが重要です。」
最後に、もう一つ注目される分野を記しておこう。先週のトルコやルーマニアからのニュースで分かるように、鳥インフルエンザが問題になっている。人間に感染した場合、二人に一人の割合で死者が出る、といわれる恐ろしい病気だ。もし人間への伝染が始まれば、間違いなく経済に大きなダメージを与える。そんなわけで製薬会社を狙うわけだが、今回の鳥インフルエンザではGilead Sciences、Roche、Biota、そしてGlaxoSmithKineなどが有力候補だ。