全米平均の30年住宅ローン利子が6.03%に達し、とうとう6%を上回った。これで不動産マーケットの冷え込みが確実だ、そんな声も聞こえてくる。一年前の利子は5.74%だったから、5%台が6%台に入ると、何か途方も無く上がったような感じがする。「二つのハリケーンにもかかわらず、先週発表された雇用統計には、予期されたような悪い結果は見られませんでした。逆に2006年度の経済成長速度は上がりそうですから、オイルなどのエネルギーコストを重ねて考えると、住宅ローン金利はさらに上昇することでしょう」、とエコノミストのフランク・ノサフト氏は言う。
2006年の終わりまでに、住宅ローン金利は6.7%になる、といった見方が多いようだが、はたしてこの金利は高すぎるだろうか。歴史を振り返ってみよう。1990年代、30年住宅ローン金利の平均は8.12%だった。80年代は12.70%という高い水準にあり、インフレが横行した81年には18.45%という高レベルが記録された。言うまでもなく、80年代の住宅売上は最悪な状態だった。
インフレ懸念が住宅ローン金利上昇に弾みをつけている、ということになるが、度重なる金利引き上げにもかかわらず、なぜ住宅ローンは低金利を保つことができたのだろう。全米不動産業協会のエコノミスト、ローレンス・ユン氏の説明によれば、インフレ予防は万全と信じきっていた投資者たちが、ここに来て高騰するエネルギー価格に動揺してしまったためだという。
実際のところ、住宅ローンは何パーセントになったら売上に響くのだろう。エコノミー・ドット・コムのジェスター氏は6.5%をキーポイントに設定している。8月、全米の中間住宅価格は21万9400ドルだった。この住宅を現行の6.03%の金利で30年ローンを組むと、月々の支払いは1320ドルになる。もし金利がジェスター氏の言う6.5%に上がると、支払額は1387ドルに上昇する。円に換算すれば、毎月約7600円余分に要ることになるが、この額は不動産市場を減速させるだけの重荷になりえるのだろうか。
金利ばかりを話してしまったが、最後にもうひとつ指摘したいのが、上昇の続く住宅価格だ。特にカリフォルニアの値上がりが激しく、86%の人たちには住宅を購入できるだけの収入がない。若い世代にとって、マイホームは単なる夢になってしまった。金利の上昇、そして上がりすぎた住宅価格、やはり米国不動産は天井のようだ。