まだ10月だ、と言われるかもしれないが、米国小売業界はクリスマスシーズンの売上を心配している。主な小売銘柄を見てみると、ホームデポは7月の頂点から13%の下落、ウォルマートは7月の高値から15%の下げ、そしてターゲットもホームデポと同様な動きを示し、投資者たちも小売業界には悲観的な態度を表している。
クリスマスの売上が懸念されるのは、オイルの値段が大きく上がり、燃料費が各家庭に負担となり始めているためだ。そろそろ冬がやって来る。灯油の値段も上昇しているから、間違いなく、今年の暖房費は昨年を大幅に上回ることだろう。おまけにガソリンも高い。これでは出費が重なるばかりで、クリスマスプレゼントどころではない。
「ちょっと待ってください、その考え方はあまりにも短絡的です」、というのは経済ジャーナリストのマイケル・ブラッシュ氏だ。「確かに消費者は、ガソリンスタンドへ行く度に、値段を見て溜め息をついていることでしょう。しかし実際は、燃料費が消費者に与える影響は、さほど大したものではありません。ガソリン代、灯油代などで出費がさらに10%増えたとしても、それは単に6.1%の手取り収入にすぎません。」
エコノミストのエド・ヤーデニ氏は、こんな見方をしている。「エネルギー価格の上昇は一部の業界、特に航空会社に打撃を与えることは目に見えています。一般消費者ですが、影響を受けるのは低所得家庭です。ですから低価格商品を専門に扱う、ローエンド小売業者の売上が落ち込むことになるでしょう。低所得家庭を除けば、現在のエネルギー価格は全く問題にならないと思います。」
ガソリンやオイルが思ったほどの悪影響でないなら、小売株は買えるのだろうか。ここで考慮しないといけないのが、個人消費を支えてきた不動産バブルだ。物件が値上がっているから、銀行からは簡単に金を借りることができる。その借りた金で、車や大画面のデジタルテレビが購入されてきたわけだが、ヘッジファンドマネージャーのビル・フレッケンスタイン氏によれば、不動産マーケットは6月が天井になった可能性があるという。
なら、小売銘柄には手を出さない方がいいのだろうか。今は待つのが正解だと思う。小売セクター指数は、下げ基調の見本のような日足チャートだ。とにかくトレンドラインが突破できるまで、焦らずに様子を見たい。