ワールドシリーズへの出場権をかけて、火曜から大リーグのプレーオフが始まった。水曜の試合ではシカゴ・ホワイトソックスの井口選手が逆転3ラン本塁打を放ち、あと1勝でリーグ優勝決定シリーズに進出できる。以前は野茂選手の姿しか見られなかった大リーグだが、松井選手のいるヤンキースを、日本から応援している人たちもいることだろう。
さて人気のプレーオフだが、CNNの報道によれば、これは企業側にとって一時的に嬉しくないイベントのようだ。振り返ってみると、火曜の第一試合、セントルイス対サンディエゴは開始時間が午後1時9分だった。そして同日の第2試合、レッドソックス対ホワイトソックスは夕方の4時9分に始まった。「問題なのは、プレーオフの試合が会社の就業時間と重なっていることです」、とチャレンジャー・グレイ&クリスマス(人材派遣会社)のジョン・チャレンジャー氏は言う。
理屈は高校野球と同じだ。地元チームの試合は、たとえ仕事中でも見たい。テレビがダメでも、上司の目を盗んで、インターネットで試合経過を10分おきに確かめることだろう。これでは仕事がはかどらない。チャレンジャー氏によれば、プレーオフのために仮病をつかった欠勤や早退、社内でのテレビ観戦などで会社の生産性が低下する。金額にすれば、企業側は約2億2500万ドル相当のダメージを受けるようだ。
もう少しチャレンジャー氏の話を聞いてみよう。「さきほど、試合と就業時間が重なるのが問題、と言いましたが、勤務時間後の試合も会社側に影響を与えます。たとえば、ロサンゼルス・エンゼルス対ニューヨーク・ヤンキースの第2戦は、ニューヨーク時間の夜10時9分が開始時刻です。ということは、試合の終わるのは午前2時頃です。」多くのヤンキースファンは、スポーツバーや友人宅でビールを飲みながらゲームを見ることだろう。自宅に着くのは、たぶん3時過ぎだ。完全な寝不足は明らかだから、間違いなく生産性は落ちるはずだ。
最後に、チャレンジャー氏からの断りを記しておこう。2億2500万ドルの企業が受ける被害は、プレーオフの開催される8つの都市だけを考慮して計算された数字だ。年間を通じれば、これら8都市からの総合生産高は1兆6000億ドルにのぼり、プレーオフが与えるダメージは、ほとんど経済に影響をおよぼすことはない。「全ての人が野球ファンではありません。ファンが仕事をサボっても、ファンでない人たちが、十分に穴埋めをしてくれます。数週間プレーオフが続かない限り、アメリカ経済が低下することはありません」、ということだ。