金は先週、ここ17年間の高値を突破した。と言うと、猫も杓子も金買いに奔走しているように思われるが、実際はとても静かだ。正確に言えば、アメリカのマスコミは金をほとんど話題にしない。なぜ大衆は金に飛びつかないのだろうか。グリーンブックインベストメントの、ジョン・マークマン氏はこう語る。「一般に金と言うと、ネックレスやコイン、それに金庫に保管されている金塊などが想像されます。今日のように不動産が好調なときは、なかなか金に人気が集まりません。」
しかし、金の値段が現在の1オンス468ドルを更に大きく上回った場合はどうだろう。きっと毎晩、テレビのニュースで報道されることになるだろう。それだけでなく、新聞の一面記事、雑誌の表紙に載るかもしれない。こうなれば大衆が動き始め、速いテンポで金は一時的な天井をつける。「向こう12ヶ月から36ヶ月間ほどになると思いますが、たとえ米国の金利引き上げ政策が終わっても、金の上昇は続くはずです。ただでさえ取引高の少ない金ですが、ヘッジファンドなどの大きな資金が流入し、金は1オンス800ドルを超えることでしょう」、とマークマン氏は言う。もっと氏の話を聞いてみよう。
「金の真の価値を理解することは簡単なことではありません。金は生活必需品でもなく、株のように株価収益率を使って、現在の値段が割高か割安かを判断することもできません。以前は金が上昇するとドルは逆に下がったのですが、最近はこの公式が崩れ、金はドルといっしょに上がっています。
金は稀な物だから価値がある、と言う人がいますが、それは正確ではありません。金に価値があるのは、その供給量に限りがあるからです。また歴史を振り返ってみると、金には通貨としての役割がありました。たとえばですが、テロリストが全米の銀行コンピュータシステムを破壊したとします。おかげで人々は口座から現金を引き出すことができません。そんな時でも金貨を持っていれば、食料を売ってくれる店があるはずです。」
結局のところ、金の値段は需給関係が決定するわけだが、個人投資家には直接先物市場で金を売買するより、金鉱株を買う方が無難だろう。小型株ならGolden Star ResouresとAgnico Eagle Mines、大型株ならNewmont Mining、Barrick Gold、それにPlacer Domeが有名だ。個別銘柄投資を避けたいなら、Fidelity Select Goldのようなミューチュアルファンドもある。さて、肝心な買いのタイミングだが、マークマン氏は今すぐ買うのではなく、次回の下げで買うことを薦めている。