オイル高、ガソリン高、ハリケーン・リタ、そんな心配に関係なく、アメリカの製造業は大きな伸びを見せた。9月分のISM指数は59.4と発表され、単に予想の52を上回っただけでなく、ここ13ヶ月で最高のレベルを記録した。これでインフレ懸念が更に高まり、マーケット関係者たちは金利引き上げ政策が続行される、と確信したようだ。
予想外だったISM指数とは逆に、予想どおりの結果だったのは先月の自動車販売数だ。高いガソリンの影響を直接受け、ゼネラルモータースの売上は25%の減少、そしてフォードモーターは19%ダウンとなった。特に不調が目立ったのは、ガソリン消費の激しいSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)だ。実例を挙げれば、フォード社のエクスペディションは、去年の同時期と比べるとマイナス60%という、大きな落ち込みになった。
さて、日本車の売れ行きはどうだったのだろうか。トヨタモーターは10.3%売上増となり、特に良かったのは約2倍の伸びを見せたハイブリッドカーだ。ニッサン・ノース・アメリカは+16.4%を記録し、アルティマの売上が好調だった。SUV不振という業界トレンドに逆らって、パフファインダーは売上を倍増させている。アメリカン・ホンダの自動車販売数は+11.7%と発表され、快調な伸びを見せたのは、36.9%増のシビックセダンシリーズだ。
ヨーロッパの車はポルシェがマイナス9%、BMWグループは+1.6%、そしてメルセデスベンツが1パーセントの上昇だ。パッとしない米国自動車売上の中、二桁成長の日本車は、明らかに米国消費者の心をつかんでいる、と言うことができる。
売上なら、日本車を大きく上回る乗り物がある。四輪ではなく二輪、しかしエンジンは無い。AFP通信の報道によれば、アメリカにおける最近一年間の自転車売上数が、車の売上数を抜いた。もちろん車の総売上金額とは比較にならないが、自転車の売上総額は60億ドルにおよぶという。ツール・ド・フランスで7回の栄冠を勝ち取った、アメリカ代表のランス・アームストロング選手もこの自転車ブームの原因となったと思われるが、やはり急騰するガソリンが大きな原因だろう。通勤に自転車を使う人が増えているというから、これで少しは肥満問題が解決するかもしれない。