お金に関することで、あなたが最も心配していることは何ですか、とマネー誌は1000人の働くアメリカ人に尋ねた。圧倒的に多かった回答は、自分が死んでしまった場合、残された家族は経済的に大丈夫だろうか、という不安だった。そんな時のために生命保険があるのだが、実際に加入しているのは就業者の約50%ほどだ。
突然の死よりも起きる確率が高いのは、交通事故や病気などが原因となり、働くことが不可能な体になってしまうことだ。こういった事態に備えて身体障害保険があるが、これに加入している人たちは30%にも満たない。長期闘病生活には多額な医療費が必要になる。統計によれば、このような状況に陥った家庭の半数は、破産申告をすることになるという。
株式市場の暴落が、二番目に多かった返答だ。2000年の5132ドルをピークに、現在ナスダック市場は2100ドル台で横ばいしている。90年代の派手な高リターンに慣れてしまった投資者にとって、マーケットの下落はあまりにも大きすぎた。ある年に暴落が起きる確率は2%程度だが、バンガード社の調べによれば、半分以上の個人投資家が、いつも暴落を気にしている。
第三の心配事はアメリカ経済の破綻、四番目は外部委託(アウトソーシング)による失業、そして不動産バブルへと続く。第六番目は個人情報の盗難による詐欺だが、実はハリケーン・カトリーナ以来この犯罪が増えている。洪水の被害を受けた家屋から、クレジットカードの請求書や証券会社からの報告書などを盗み出し、他人の口座から金を騙し取ることが狙いだ。
そろそろ決算シーズンがやってくるが、ハリケーン・カトリーナが、ある言い訳に利用されている。エイボンと言えば化粧品の会社だが、ハリケーンとガソリン高を理由に2005年度の収益を下方修正した。たしかに戸別訪問販売員にとって高いガソリンは痛い。しかし、アナリストのアリス・ロングレイ氏が指摘するように、エイボンの業績不振が始まったのはカリーナ以前のことだ。USAトゥデイの報道によれば、既に78社がハリケーンを理由に収益減少の警告を出している。どうやら今回の決算報告は、注意して読む必要がありそうだ。