金に人気が集まっている。ここで言う金とはカネのことではなく、ゴールドのことだ(念のため)。話はいきなりそれるが、昔の学生たちはカネが無くなり困り果てると、「ゲルピン」という言葉を使ったそうだ。ドイツ語でカネはゲルト、危機は英語でピンチと言う。なんと英語とドイツ語の合成語だったわけだが、なかなか上手い表現だ。
下はゴールド指数の日足チャートだ。9月9日にブレイクアウトして、ここのところ3連勝と調子が良い。金は普通の経済状態なら、まず人気化することはない。インフレ対策が主な金を買う理由だから、投資者たちは物価高を予想しているわけだ。
金が買われる、ある具体的な理由を、アルスタッドキャピタル社のマイケル・アルスタッド氏に説明してもらおう。「10回連続の金利引き上げで分かるように、連邦準備理事はインフレと戦っていますが、ここで日本に目を移してみましょう。第1四半期の日本国内総生産(GDP)は5.3%の成長を記録し、そして第2四半期は3.3%の伸びでした。世界第2位の経済国家は、確固とした二期連続の成長を示したのです。また先日の選挙は小泉首相の大勝利となり、国内改革政策はこれからも進んで行くと思われます。個人消費も順調な伸びを見せ、雇用状況も好転しています。ですから当然、企業も設備投資に力を入れ始めています。
日本=デフレの公式を直ぐ想像する投資者が多いですが、その公式は過去のものになろうとしています。世界的なデフレ傾向の原因となった日本経済ですが、2005年の終わりまでにはインフレの兆しが見えて来るはずです。もう一度言いますが、世界第2位の経済国家がインフレに転ずるのです。それは正に、巨大な焚き木が炉の中へ投げ込まれのと同じです。
日本経済が本格的に上昇を始めたら、どれくらいのオイルを消費すると思いますか。日本はオイル資源ゼロ、という事実をご存知ですか。これが金人気の秘密です。金価格が、ここ17年間の高値をつけましたが、全く不思議なことではありません。日本経済の成長は、世界的なインフレ懸念に結びつくのですから。」
火曜日はFOMC(連邦公開市場委員会)だが、ハリケーン・カトリーナの後とはいえ、11回連続の金利引き上げを信じる人が多い。ジョン・ハンコック社のオスカー・ゴンザレス氏によれば、「高騰するオイル価格は周知のことですが、結果的にはカトリーナはインフレの原因になります。政府は膨大な予算をルイジアナの再建に割り当て、これは建築関連を中心に、アメリカ経済向上材料になります。ですから、やがて物価高という状況へ変わっていくことでしょう。」どちらにしても、FOMCを控えるかぎり、しばらく模様眺め、といったところだろう。