コーヒーを飲みながら、チャットルームをぼんやり眺めていると、やたらとBIDUの四文字が出てくることに気がついた。BIDU(バイドゥ・ドット・コム、中国のサーチエンジン)はナスダック市場で取引される、第二のグーグルと騒がれた、今年夏一番人気の新規公開株だ。初取引は8月5日、66ドルで始まり、なんと倍に近い122ドル54セントで終了した。正に第二のグーグルにふさわしいデビューだった。
しかし、BIDUに何が起きたのだろう。時間外取引では28%の大きな下げだ。デイトレードネットの代表取締役、馬渕氏も掲示板で「昨日手仕舞いした人は安堵しているはず」、と書き込まれていたが、本当にそのとおり、と言うしかない。こんな下げ方だから、大手証券会社アナリストのコメントが原因になっていることは見当がつくが、はっきり言ってこの暴落は意外だった。なぜなら今日の上げに期待して、昨日一昨日とBIDUを買っていた投資者が多かったからだ。
少し説明しよう。新規公開株の取引が始まった最初の一ヶ月間は、買いや売り推奨を出すことはできない。ほとんどの場合この一ヶ月の時間が切れると、幹事証券会社のアナリストは買い推奨を発表する。だから投資方法の一つとして、買い推薦を期待して取引が一ヶ月に近い新規公開株を買う。先月5日に取引が開始されたBIDUも約一ヶ月が経過し、先週から買い推奨を見込んだ投資者たちが買っていたわけだ。
ところが今朝、ゴールドマンサックスのアナリストが発表したBIDUの格付けはアンダーパフォームだった。underperformだから、平均以下の成長しか期待できない。エリート証券として有名なゴールドマンサックスの言葉だっただけに、完全な売り一色となってしまった。おまけにパイパージャフレーも同様な見方を表明し、BIDUの投資者には痛烈なダブルパンチだ。
しかし、ちょっと待て。ゴールドマンサックスはBIDUが新規株を発行した時の幹事証券会社、そしてパイパージャフレーは準幹事だ。要するに投資者たちは、これら二社の証券会社からの買い推奨を見込んで買っていたのだが、見事に期待を裏切られてしまったわけだ。幹事証券が買いを薦められないのだから、そんな株に手を出す人はいない。最後にゴールドマンサックスとパイパージャフレーからのコメントを記しておこう。「たとえどんなに前向きな見方をしても、現在のBIDUの株価はあまりにも割高です。正当な株価は45ドルです。」今BIDUは89ドル75セントで取引されている。