アメリカは実力主義社会だと思っていたが、こんな数字をつきつけられると、少し考えてしまう。先ず下の月足チャートを見てほしい。
低迷というよりも、正に株主の悪夢だ。シエナ社のチャートだが、ここ4年間で90%も下げている。余談になるが、これで下がったところで買い足す、難平買いの怖さが分かっていただけると思う。
もしあなたがこのシエナ社の大株主だったら、必要な票を集めて、株主総会で最高経営責任者(CEO)を辞めさせるのではないだろうか。株主に利益を分けることができないようでは、経営者として失格だ。しかしシエナは、最高経営責任者のギャリー・スミス氏を首にするどころか、逆に過去4年間で4120万ドル(約45億円)の報酬を支払っている。
こんな例はシエナ社だけではない。サンミナ社の株は最近4年間で78%の価値を失ったが、最高経営責任者、ジューラ・ソーラ氏には2640万ドルが報酬として払われた。呆れてしまうのは、この報酬のうち1990万ドルは実績ボーナスという名目だ。
他にもサン・マイクロシステムズ社のスコット・マクニーリー氏には1310万ドル。(株価は4年間で76%の下落)大手スーパーマーケット、アルバートソンズ社のラリー・ジョンストン氏の報酬は7620万ドル。(株は4年間で39%の下げ)そして、過去4年間で株価が半分になったブリストル・マイヤーズ社のピーター・ドーラン氏には、4100万ドルの報酬が支払われている。ファンドマネージャー、ドン・ホッジス氏の言葉を借りれば、まるでロックスター並の金額だ。
野球やバスケットボールを引き出す必要もないが、高給を取るには、着実に実績を上げるだけでなく、チームに大きな貢献をしないといけない。成績に関係なく、最高経営責任者に高額な報酬を払う会社には、一つの共通点があるとホッジス氏は言う。「シエナやサンミナを調べて分かることは、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の貧弱さです。私の運用するファンドは、今年35%の利益が出ていますが、納得のできない報酬を最高経営責任者に払っている会社には投資しません。」
最後に上記企業とは逆の、優良企業を紹介しよう。
・セレダイン社:過去三年間、最高経営責任者の年俸は76万6000ドル(約8千426万円)。株価は+924%。
・ホールフーズマーケット社:最高経営責任者は過去4年間、平均年俸は64万5000ドル。株価は306%増。
・ディジ・インターナショナル社:年俸74万ドルが最高経営責任者に過去3年間払われた。株価は320%の上昇。