ハリケーン・カトリーナと言うと、直ぐに高騰するガソリンに話が行ってしまうが、意外に話題にならないのが被害を受けたルイジアナの港だ。この規模はニューヨークやロサンゼルスの港を上回り、全米ナンバー1の貿易港というタイトルを持っている。全世界を見渡すと、ルイジアナは香港、上海、ロッテルダム、そしてシンガポールに次いで大きな貿易港だ。
約15%の米国輸出品は南ルイジアナ港を通るわけだが、中西部で生産されるトウモロコシ、大豆、麦などの農産物のほとんどはルイジアナ港に集まる。いつ正常に港が操業できるか分からないが、こんな状況がいくつかの投資チャンスを生み出した。
全米一の港に起きた災難で恩恵を受けるのはどこか。ここで俄然と注目を浴びたのがカナダだ。オイル、材木の輸出で知られるカナダだが、先ず下の日足チャートを見てほしい。
カナダ・インデックスファンド(EWC)と呼ばれる、カナダの株に投資をするファンドだ。普通のミューチュアルファンドと違い、EWCはアメリカン証券取引所に上場されているから、株と同様に売買することができる。
約1週間ほど横ばいしていたが、刻一刻と報道されるハリケーン被害のjニュースが、EWCをブレイクアウトさせたようだ。貿易国カナダとしての魅力もあるが、やはり何と言ってもオイルが一番の買い材料になっている。アメリカはサウジアラビアから最もオイルを輸入していると思っている人が多いが、実際はカナダがナンバー1だ。地理的に見てもカナダは隣国、中東のような政治不安も無い。今回のハリケーンで、カナダからのオイル輸入は更に増えることだろう。
もう一つ覚えておきたいのは、大豆製造加工業のジャイアント、Bunge社だ。広報担当のデブ・サイデル氏の話によれば、Bunge社のルイジアナにある大豆処理工場が受けた被害は最小限だが、停電のため操業できない状態だという。しかし、問題は肝心な労働者たちが、いつ工場に戻ってくるのかが全く分からないことだ。秋の収穫も近い。港周辺の回復が大幅に遅れるようなら、大豆だけでなく農産物の値段が大きく上がることだろう。オイル高、ガソリン高、次は食料品、嫌な秋になりそうだ。