アメリカの失業率が4.9%に下がった。ここ4年間で最低の水準と報道されていたが、そんなことを聞くと、アメリカ経済は絶好調のように思えてしまう。そこで、もう少し詳しく4.9%の内容を見てみよう。先ず性別の失業率だが、男性は4.3%、女性は4.4%だ。人種別なら、白人は4.2%、黒人9.6%、そしてヒスパニック系は5.8%になる。最悪なのは10代の若者たちだ。なんと16.5%を記録している。
今回発表された失業率には、まだハリケーン・カトリーナの影響が含まれていない。エコノミストやアナリストに言われなくとも、報道される映像を見れば、多数の人たちが職を失ったことが分かる。あそこまで建物が破壊されてしまったのだから、一週間や二週間で職場に復帰するのは無理だ。ジョージア州立大学のラジーブ・ダーワン氏は、「ニューオーリンズは前例のない経済的ダメージを受けました。人々が実際に仕事に戻るまでには少なくとも三ヶ月、長ければ9ヶ月以上の時間がかかることでしょう」、と述べている。
グローバルインサイト社、フィル・ホプキンス氏によれば、ハリケーン前のニューオーリンズ地域失業率は4.9%だったが、この数字が25%に跳ね上がっても全く不思議でないと言う。被害のあった三州、ルイジアナ、ミシシッピ、そしてアラバマを総合すると、約100万人の失業者が予測されている。
ハリケーンが直撃した州の経済的大惨事は明瞭だが、アメリカ全体の経済に、どの程度の影響を及ぼすのだろうか。第3四半期のGDP(国内総生産)は+3.9%から+3.6%に減る、というアナリストの見方が一般的だが、金利動向になると簡単に意見が一致しない。マーケットストラテジストのリズ・アン・ソンダース氏は、「9月20日の会議でまた金利が引き上げられることは、だれもが予測していたのですが、このハリケーンで金利据え置きの可能性が出てきました」、と語る。
さて、9月5日(月)はレイバー・デー(労働者の日)でアメリカは連休になるが、最後にCNNからのニュースを紹介しよう。1100人を対象に調べたところ、42%はレイバー・デーを返上して働くという。約半分の人たちが職場へ向かうわけだが、なぜわざわざ祭日に仕事をするのだろうか。答えは、上司に言われたからではない。少しでも昇進昇格を早めたい、というのが理由だ。