銀行家のようになるな。そう語るのは、ユニークな株投資入門書で人気のデービッド・ガードナー氏だ。正確な情報とデータを基に、利益を着実に上げる銀行家だが、あまりにも安全を重視するため、まず大きく儲けることはない。リスクを最小限におさえようとするから、どうしても保守的な投資姿勢になってしまうわけだ。
ウィリアム・オニール氏の名前を聞かれた方もいると思うが、氏の考案したCANSLIMは銀行家の冷静さに、計算された冒険を加えた、個人投資家に向いた優れた長期株投資方法だ。このCANSLIMの成績を見てみると、1998年1月から、2005年6月末までに859%の利益を上げている。
CANSLIMの一字一字は、特定の投資アイディアを表す頭文字だ。Cは現在の四半期収益を示す。ポイントは、今期収益が前年度同時期を、少なくとも18%から25%以上上回っていなければならない。オニール氏によれば、大上昇を展開する株は、コンスタントに30%から40%の伸びを記録しているとのことだ。
Aは年間全体を通しての一株収益を表す。第1四半期は良かったが、第2と第3はダメ、そして第4四半期はブレークイーブン。こんな会社には投資してはいけない。過去三年間のデータを調べて、毎年25%以上の収益成長がある会社を選ぶことだ。
Nは新製品や新技術を示す。例を挙げれば、アップルのiPod、古い例ならマイクロソフトのウィンドウズだ。たとえ小さな会社でも、画期的な製品が大企業の生存を脅かすこともある。常にニュースをチェックして、最先端技術には敏感であってほしい。新製品や新技術以外にも、経営陣一掃といったニュースにも注意を払いたい。
Sは株の需給状態、Lはトップか、それとも遅れ組かといった企業の業界内での位置、Iは機関投資家の参入状況を表す。最後のMは、現在のマーケット方向だ。どんなに素晴らしい銘柄を発見しても、マーケット全体が下げ基調なら買ってはいけない。もちろん弱い相場でも上がるものは上がるが、問題は上昇に力を欠くことだ。先ず材料を集める。そしてチャートで方向を確認してから出動しよう。