今週のトップニュースは何ですか、そんな質問をCNNのレポーターが街を行く人々に尋ねた結果、半分以上の回答は、上昇の続くオイルだったという。さきほど連邦準備理事会議長、グリーンスパン氏のコメントが放映されたが、氏が最も心配している物の一つは不動産バブルのようだ。このオイルと不動産がドルの運命を握る、と語るのはフォーレックスキャピタル社でチーフストラテジストを務める、キャッシー・リーン女史だ。さっそく話を聞いてみよう。
「今年は米ドルが好調です。1月からドルはユーロに対して12%、日本円に対して5%、そして英国ポンドに対しては7%の上げです。短期金利の上昇、好転する製造業、そして堅調な雇用状況がドル高の主な原因です。しかし7月からの様子を見ると、ドルはピークに達したようです。
まったく衰えが見えないオイルですが、66ドルを記録した今、値段は40ドルまで下げそうだ、といった見方よりも80ドルに行く、といった見方の方が現実的です。また、人気の不動産市場には天井の兆しが見え始めています。強い個人消費は、好調な不動産が支えてきたわけですから、不動産の冷え込みは米国経済の減速につながります。言い換えれば、オイルと不動産が金利政策の鍵になります。
オイル価格が10ドル上がると、それはGDP(国内総生産)を0.4%減少させます。何だ、たったの0.4%か、そう言われる方もいると思いますが、大切なことはある条件を加えて考える必要があります。まだ8月、暑い日々が続いていますが、秋が来れば暖房のスイッチが押されます。ヒーター用の燃料は天然ガスが主流ですが、これもオイルと同様に値上がりが続いています。ですから、年末には個人消費が冷え込みそうです。
間違いなく、不動産バブルは弾けることでしょう。毎日のようにテレビでは不動産が話題になり、不動産の短期投資セミナーなども流行っています。天井です。通常不動産は米国経済の5%ほどですが、現在は何と50%に達しています。アリゾナ不動産47%上昇、サンフランシスコ住宅中間価格は72万ドル、そんなことばかりに気を取られますが、売りに出ている物件が大きく増え、需給関係が崩れ始めています。たとえばバージニア州では売り物件が26%の上昇、そしてマサチューセッツでは31%の上昇です。」
もしリーン女史の言うような展開になれば、たしかに米国経済は下向きになり、ドル安が訪れることだろう。最後に、歴史的な事実を加えておこう。2006年1月31日で、グリーンスパン氏は引退する。1970年以来、連邦準備理事議長就任の一年めは、経済的に厳しい年になる。1970年、バーンズ議長はベアマーケット、1979年ボルカー議長は二桁インフレ、そしてグリーンスパン氏は1987年、株式市場暴落を経験した。波乱な年がやって来そうだ。