株式市場心理の研究で有名なブレット・スティーンバーガー氏(ニューヨーク州立大学助教授)が、次のような興味深い統計を発表している。対象になったのは2003年7月からのダウ指数だが、氏は4つの数字を弾き出した。
1、ダウ指数の合計変動幅。
2、前日(昨日)の終値から、当日(今日)のマーケット開始1時間後までのダウ指数増減幅。
3、マーケット開始1時間後から、マーケット終了1時間前までのダウ指数増減幅。
4、マーケット終了間際1時間内におけるダウ指数の増減幅。
さて結果だが、ダウは2003年7月以来1559.36ポイントの上げだから、1番の答えは1559.36。2番は+1966.54ポイント、3番はマイナス956.76ポイント、そして4番は+549.58ポイントだ。思わず「これがマーケットの秘密だ!」、と叫びたくなるかもしれないが、上記結果についてスティーンバーガー氏から少し説明してもらおう。
「これで、マーケットの多重性格が分かっていただけたと思います。もしダウ指数を終了1時間前に買って、翌日のマーケット開始1時間以内に売っていたなら、そのトレーダーは大きな利益を上げることができました。言い方を換えるなら、この時間帯のマーケットはブルマーケットだったわけです。しかし最初と最後の一時間を除いて、中間の時間帯だけで売買していた人は、ほとんどの場合下げマーケットに直面していたことになります。」
さらにスティーンバーガー氏は、こんな統計も付け加えている。中間の時間帯が強いと、ダウ指数は翌日最初の一時間で、平均1.84ポイントの下げを記録した。逆に中間の時間帯が弱かった場合は、平均8.73ポイントの上昇が観測できた。どちらにしても小さな変動幅だから、真ん中の動きを使って翌日の寄り付き動向を予想するのは難しいようだ。
よくこんなことを言う人たちがいる。「持ち株を売ろうとしていたのですが、ついタイミングを逃してしまいました。さっきまで好調に上げていたので安心していたのですが、ちょっと売り物が出てきたようです。」株を処分するなら最初の一時間に限る。二時間めからはベアの時間帯なのだから。