一ヶ月955ドル(約10万4500円)、これはソーシャルセキュリティーベネフィットと呼ばれる、退職後にアメリカ人が政府から受け取る、社会保障給付金の平均額だ。会社に勤めていた人なら、401Kのような企業年金制度からの収入もあるから、ソーシャルセキュリティーベネフィットが追加されることで、退職前とあまり変わりのない生活ができる。
しかしUSAトゥデイ紙によれば、53%の働くアメリカ人には企業年金制度がない。さらに32%は、老後のための貯蓄をしていない、と答えている。現在、社会保障給付金を受け取っている人は約4800万人にのぼるが、その22%に相当する1060万人は、社会保障給付金以外の収入がない。
想像してみてほしい。毎月受け取る約10万円の社会保障給付金だけで、どんな生活ができるのだろうか。USAトゥデイは、元看護婦だった今年74才になるメリー・ラスバーンさんの話を載せている。「毎月809ドルの給付金と、100ドル分のフードスタンプ(食料補助券)を受け取っています。アパート代の550ドルを払うと、残りは400ドルもありません。節約しなくてはいけませんから、ソーダやコーラなどは飲みません。」
どのような人たちが、社会保障給付金だけで暮らしているのだろう。こんな統計が、全米退職者協会から発表されている。
・25%の退職した女性。
・46%の退職した未婚ヒスパニック系女性、そして45%の退職したヒスパニック系男性。
・33%の退職した黒人。
・67%に相当する65才以上の人たちは、収入の半分以上を社会保障給付金に頼っている。
どちらにしても、毎月10万円の生活は厳しい。ファイナンシャルプランナーのアレクサンドラ・アームストロングさんの言葉を引用しよう。「親戚や兄弟の所に同居できないかぎり、給付金だけでやっていくことは無理です。」前記したラスバーンさんには、近所に住む娘がいる。もはや運転をしなくなったラスバーンさんにとって、娘が大きな助けになっていることは言うまでもない。
暗い話になってしまったが、ここは当たり前な結論を書いておこう。人が年をとるかぎり、老後の問題は他人事ではない。快適な引退生活には、それなりの金が必要だ。ファイナンシャルプランナーに相談して、今から老後に備えるのも一案だと思う。