中間住宅価格24万3400ドル、ここ12ヶ月間で47%の値上がりを記録したのは、アメリカで最もホットな不動産マーケット、アリゾナ州フィニックス市だ。全米のようすを見てみると、中間価格は20万8300ドル、そして平均上昇率は13.6%になり、フィニックス市の不動産ブームが分かっていただけると思う。この13.6%という数字について、エコノミスト、デービッド・レレア氏は「1年間で不動産がこれほど伸びたのは、今回が初めてです」、と述べている。
不動産に限らず、資金は効率の良い投資に集まる。株を例にすれば、上げ基調の銘柄に資金が流入するのは、それが短期間で利益を上げやすいからだ。空売りをするなら話は別だが、下げ基調の株が買い手に嫌われるのは、大切な資金が塩漬けになる可能性が高いためだ。買った株が倍になるのは嬉しい。しかし10年もかかったのでは、それを素直に喜ぶ人はいないだろう。だから成績の悪いものは早めに処分して、効率の良いものに乗り換えることが重要だ。
皆さんはピーター・リンチという名前を聞いたことがあるだろうか。氏は以前、フィデリティーのマゼランファンドを統率し、13年間で25倍の実績を残した、アメリカで最も成功したファンドマネージャーだ。マーケットの最中に氏がテレビに出演すると、だれもが氏の言葉に耳を傾けた。ピーター・リンチ氏ほど大衆から慕われ、尊敬されたファンドマネージャーは氏が最初で最後のような気がする。
時は流れ、リンチ氏の築き上げたマゼランファンドが、また話題になっている。米国企業のほとんどは、401Kと呼ばれる確定拠出型年金を導入しているが、ロイターの報道によれば、マイクロソフト社はマゼランファンドを401Kプランから取り外してしまった。今までは社員が毎月の給料の一部から、年金用としてマゼランファンドに投資をすることができた。しかし、マイクロソフトはマゼランの成績低迷を理由に、401Kから削除してしまった。
1996年、ロバート・スタンスキー氏がリンチ氏の後任に指名されたが、中々思うような実績を上げることができない。スタンスキー氏が任命された年、、マゼランに1万ドル投資したとすると、今日それは18483ドルになっている。年利に換算すると7.1パーセントだが、S&P500指数は8.3パーセントの伸びだから、マイクロソフトのような大手企業がマゼランを去る結果になってしまった。資金は効率の良い場所を常に求める。将来性だけを重視するのではなく、先ずトレンドを確認しよう。