マーケットの先行きに、なんとなく不安を感じる人たちが増えてきたようだ。先週金曜に発表された米国雇用統計は、予想以上に強い、非農業部門雇用者数の増大を示していた。こんな状態では、短期金利引上げに終わりが来るはずがない。それだけアメリカ経済が堅調だ、と指摘することもできるが、インフレ懸念は株式市場にマイナス材料だ。
火曜日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)が、今週の焦点になるだろう。短期金利は0.25ポイント引き上げられて3.5%になる、というのがアナリストたちの見方だが、もしそうなら去年の夏から10回連続の利上げだ。ジェフリーズのチーフアナリスト、アート ホーガン氏は「世界中どこを探しても、金利引上げは無い、などと言う人は一人もいないはずだ」、と述べている。
既に金利引上げは織り込み済みなら、なぜ火曜の連邦公開市場委員会を気にする必要があるのだろうか。その答えは、会議の後に発表される声明にある。はたして連銀は、雇用状況、上昇の続くオイル価格、それにインフレに関してどういった見方をしているのだろうか。声明が一字一字、慎重に分析されることは間違いない。
上記のような一般的米国経済状況の他に、会議後の声明が注目される、最も大きな理由を説明しよう。もしこの声明の中に、ある言葉が入っていれば、今回だけでなく9月20日の連邦公開市場委員会でも利上げが確実になる。その言葉とは「一定の整然としたペース」だ。この数単語が声明から除かれないかぎり、9月20日だけではなく、その次の11月1日、それに12月13日の会議でも金利引き上げが決定される可能性がある。
ハリスプライベート銀行のジャック アブリン氏を引用しよう。「今回の雇用統計を見るかぎり、一定の整然としたペースは、ほぼ間違いなく声明の中に入っていることでしょう。2005年に金利引き上げが終了することはありません。年末、短期金利は4.25%になっていることでしょう。」
ここで疑問になるのは、0.25ポイントではなく、一気に0.50ポイント金利を上げてしまう可能性はあるのだろうか。結論を先に言ってしまえば、アメリカ経済は強いが、0.5ポイントの利上げを実行できるほど強くない、というのがエコノミストたちの意見だ。それよりも問題なのは、たとえ0.25ポイントのペースでも、これがあまり長く続きすぎると、80年代のような不況に陥ってしまう。前記アルビン氏の警告を書いて終わろう。「行き過ぎな金利引上げは、1998年の再来、大手ヘッジファンドの崩壊、そんな被害を引き起こすことになるでしょう。」