キャリアウーマンという言葉も新鮮味がなくなった。ご存知のように、医師、エンジニア、公認会計士などの専門職についている女性をキャリアウーマンと呼ぶ。ヒラリー クリントン上院議員やコンドリーザ ライス国務長官などの例を見て分かるように、女性たちの政界進出もめざましい。女性の社会的地位が大きく向上し、いまさらアメリカで「男女平等」を叫ぶ人などいないと思われるかもしれないが、今日も性差別を訴える女性たちがいる。
ABCニュースの調べによれば、同じ職種につく男性と女性の労働賃金を比較すると、女性には男性より平均で25%低い賃金が支払われているという。コネチカット州選出の下院議員、ローサ デラウロ氏は「一生懸命働き、たとえどんなに大きな貢献をしても、女性は男性と平等な報酬を得ることは不可能なのです」と語る。また、フェミニスト運動に参加する女性たちも、男性と同レベルの学歴があっても、女性は男性と同等の給料が得られない、と怒りの声を上げている。
ここでABCニュースコメンテーター、ジョン ストッセル氏は面白い質問を投げかける。「女性の給料が男性より25%低いのなら、なぜ企業はわざわざ男性を雇う必要があるのでしょう。」この質問に回答したのは、全米女性協議会長のマーサ バーク氏だ。「企業は男性を雇うことが好きなのです。社員採用の決定権を持つのは、ほとんどの場合男性であり、企業イメージは男性をモデルに作られているのです。こんな実状ですから、当然会社側は男性から昇進させる結果になるわけです。」
バーク氏の見方に反論するのはウォーレン ファーレル氏だ。女性賃金が男性より低いのは「性差別」が原因ではない、と氏は過去15年間のデータをもとに主張する。「賃金の差は性差別によって生まれたものではありません。ある意味では、積極性が問題になっていると言えます。たとえば、一週間の平均労働時間を見ると、男性の方が女性より長く働いているのです。」さらにファーレル氏は、女性は職場の柔軟性を重要視する傾向があり、男性は職場環境よりも給料額に最大の関心があることを指摘している。
給料の良い仕事の多くは柔軟性に欠ける。週40時間労働が基準だが、高給取りの場合50時間、60時間など当たり前になっている。もちろん頻繁な出張もあり、自分のプライベートな時間を作ることは難しい。まさに家庭を犠牲にし、会社第一のビジネスマンの姿だ。性差別が賃金の差になるのではない。問題は、私たちに自分の全時間を企業に捧げることができるかどうかだ。