つい欲に目がくらんでしまい、という形で話が始まれば、失敗談と思ってまず間違いない。ウォールストリートという映画の中で、ゴードン ゲッコーは「欲は良いものだ」と言ったが、一般的には欲張った株投資を警告する声が多い。よく耳にする言葉に、「株価を支配するのは欲と恐怖だ」、というものがある。今朝の話題から好例をあげるとすれば、グーグル(GOOG)が最適だろう。
決算発表後、グーグル最高経営責任者のエリック シュミット氏は、「第3四半期は、投資者の方々が期待しているような高い結果を出すのは難しい」と語った。こんな事を聞かされては、恐怖におびえるまでは行かなくとも、不安になって株を投げてしまう。しかし、プルーデンシャル証券からの話を信じるなら、投資者の態度は正反対になる。プルーデンシャルは「今朝の下げは良い買いチャンス」と述べただけでなく、グーグルの目標株価を400ドルに引き上げた。欲に走って買いを入れた投資者もいることだろう。
お分かりのように、投資者に欲や恐怖を与える大きな原因の一つは、テレビやインターネットを通じて入ってくるニュースだ。自分の持ち株が人気アナリストによって格下げ。こんなニュースなら動揺のあまり、寄り付き早々に株を投げ売ってしまうことだろう。完全に感情だけに支配され、肝心な論理的思考を失ってしまった結果だ。それでは、感情を抑えることができれば、株で儲けることができるのだろうか。こんな面白い報告がある。
普通の知能指数と論理的思考能力は有るが、感情をつかさどる脳の部分に支障のある大人を使って、投資テストが行われた。この実験はカーネギーメロン大学、スタンフォード大学、そしてアイオア大学からの研究者たちによって実施された。15人が実験対象になったわけだが、これら15人に共通していることは恐怖や不安といった基本的な感情が、脳障害のために抑制されてしまっていることだ。
テスト結果は、脳障害を持つ人たちの方が、一般の人たちよりも投資テストの成績が良かった。恐怖や不安を感じることがない脳障害者たちは、危険度の高い投資に対してまったく躊躇することがなく、ギャンブル的と思える投資もスンナリとすることができた。その一方、普通の大人たちは各投資場面で衝動的になり、最終的な口座残高は脳障害者に劣るものとなった。やはり感情をコントロールすることは、成功する投資者になるために欠かせない要素のようだ。