iPodの売れ行きは絶好調だ。今朝の発表によればアップルは第3四半期620万のiPodを売り上げ、2004年の同時期と比較すると何と616%の大幅アップだ。こんなニュースだから、マーケット開始ベルと同時にアップル(AAPL)に買い物が殺到した。こう書くとアップルは棒上げ状態のように思われるが、まず下の5分足チャートを見てほしい。
たしかに威勢よく大きな窓(ギャップ)を開けてのスタートだが、こんな状態を維持できたのは最初の15分間(ローソク足3本)だけだ。一転急落といった極端な売りが来なかったのは買い手にとってラッキーだったが、今のところアップルは20移動平均線のすぐ上で横ばいを展開している。
もう一つ見てほしい実例はAMD社の5分足チャートだ。
予想を上回る好決算発表で、アップルと同様な力強い寄り付きとなった。しかしAMDの場合、買い手が優勢だったのは始めの5分間だけだ。あっけなく売り崩されて、一時的に割る場面もあったが、20移動平均線まで戻ってしまった。
乖離率という株価の移動平均線からの離れ具合を表す言葉があるが、アップルとAMDに共通しているのは大きな乖離率だ。両方とも良いニュースが買い物を呼び、そのため株価はスタートした時点で大きく20移動平均線から乖離してしまった。
この乖離率と切り離せないコンセプトが平均回帰性だ。大きく跳ね上がった株価は、そんな状態を長く継続することはできない。ちょうど私たちが全速力で100メートルを走ることは可能でも、必ず息が切れて自分に合ったスピードまで失速してしまうのに似ている。好材料で株が飛び出たときは、乖離率と平均回帰性のコンセプトを思い出したいものだ。