また金利が上がった。ここ一年間で、九回めの引き上げだ。フェデラルファンズと呼ばれる短期金利が3%から3.25%になったわけだが、これはだれもが予想していたことだ。だったら、なぜダウ指数は99ポイントも下げたのだろう。すでに織り込み済みの事実なら、なにもわざわざ下げる必要はないはずだ。
マーケットを動かすためには新しいニュース(材料)が要る。今日の下げには、どんな材料があったのだろう。簡単に言ってしまえば「失望売り」だ。予想どおりの金利引上げにがっかりしたわけではない。マーケット参加者たちは、ふたつの単語「measured pace」に最大の関心をよせていた。直訳すれば規則正しいゆっくりした歩調ということだが、投資者たちはこのニ単語がFOMC後の声明文から消えることを願っていた。
measured paceの意味することは、FOMC会議が開かれるたびに実施される規則正しい0.25ポイントの短期金利引上げだ。この二つの単語が声明からなくなってしまえば、それは金利引き上げサイクルが終わりに近い証明になる。しかし今回もmeasured paceは声明から削除されていなかった。これが失望売りの原因だ。
いったいどこまで金利は上がるのだろうか。JPモルガンのストラテジスト、ジャンロイスさんはこんな見かたをしている。「海外の企業は投資に消極的なため、これが長期金利に歯止めをかける結果になっていますが、この余剰資金が米国に流入しています。これが米国景気を支えるひとつの要素になっているわけですから連邦準備理事は来年の春までに金利を4.5%まで引き上げることでしょう。」
measured paceは毎回0.25ポイント、4.5%まであと5回のFOMC会議が必要だ。