糖質依存症

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「糖質依存症」についてのメールです 

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備忘録のため、下記へ引用。

  

「依存症」の発症メカニズムについて自分なりの生物学的・心理学的考察です。

 

ヒトは、元来、「肉食(非穀物食)動物」であることは、血糖降下ホルモンがインスリンのみで、血糖上昇ホルモンが多数あることからも、生物学的に疑いがないと思います。

乳幼児期には、アミラーゼ活性が非常に低いが、リパーゼ、トリプシン活性は成人と変わらないことも生物学的裏づけになります。

このアナロジーで考えてみたいと思います。

 

ヒトは、元来、「怯えの強い臆病な動物」ではないかと。

というのは、情動中枢である扁桃体において発生する基本的な情動は、「不安恐怖、怒り、悲しみ、驚き、嫌悪、そして悦び」となっているからです。

このことを本で読んだとき、どうしてこんなに「ネガティブな感情」ばっかりなんだろうと思いましたが、扁桃体において、大脳で認知する前に危険をすばやく察知し、「闘争か逃走反応」を起こして、生存の確率を高めるためにはそのほうが有利だったのだろうと納得しました。

 

実際、乳幼児はよく泣きます。

よく暴れます。

インフルエンザワクチンを打つ時も大変です。

文字通りの「闘争か逃走反応」で、こどもから蹴られる、つばを吐きかけられるときもあるし、診察室から逃げ出すこどももいます。

 

とくに、「社会性」の発達に問題がある「自閉症スペクトラム」のこどもでは、こういった「負の情動」がむき出しになります。言い聞かせてなんとかなるものではありません。

おそらく、「社会性」というのは、コンピューター同士がインターネットでつながるように、ヒトの意識がつながっていくことで生まれていくのだろうと思います。

そして、この「社会性」のもとになるのが、「母子間の愛着形成」(愛情ホルモンといわれるオキシトシンの働き)であることは間違いないと思います。

 

母親から提供されるスキンシップや適切な関わりの繰り返しが、「怯えの強い臆病な動物」の過敏な扁桃体を、「愛情や安心」という暖かくてやわらかい毛布で優しく包んでくれるわけです。

この状態があって初めて、「悦び」という「ポジティブな情動」を感じることができるのです。

つまり、ヒトは生まれたときは、デフォルト状態として、「扁桃体過敏」であると考えるわけです。

 

この過敏さは、「母子間の愛着形成」があって初めて和らぐ方向へ修飾されるという考えです。

扁桃体が「悦び」優位であれば、自信が持てます。自己受容できます。

他者とつながり貢献することで幸せを感じます。

 

気持ちが常に前に向くので、新しいことにチャレンジし、どんどん吸収していきます。

大脳神経回路がより高度複雑に進化してきます。

しかし、何らかの理由(母親のmaltreatmentや、こどもの発達障害による愛着形成の遅れ、家庭不和など)で、「扁桃体過敏」の状態から脱却できなかったら、扁桃体は「負の情動」で満たされたままです。不安でいっぱいになります。

 

存在に自信が持てません。

自己否定に陥ります。他者を頼ったり、信用することもできません。

いつまでたっても、「過去に対する後悔」と「未来への不安」の中で生きることになり、身動きが取れなくなります。「今を生きる悦び」を感じられなくなります。

 

こうなると、いつも「心にブラックホール」を抱えてしまいます。「空虚感」で満たされます。だから、刹那的であろうとも、「快」を与えてくれる「代替」を求めます。

「物」であれば、覚せい剤麻薬、アルコール、そして糖質、「行為」であればギャンブル、買い物、過食、リストカット、「関係」であれば、恋愛、セックスとなります。

しかし、永遠に満ち足りることはなく、自己破滅のダウンワードスパイラルにはまっていきます。本当に求めているのは、本人も気がついていない、しかももう戻ることができない「乳幼児期の愛着形成」だからです。

 

成人になってから、「扁桃体過敏」を治そうと思うとなかなか困難なのです。

母親代わりとなって、常に「愛情と安心」で包んでくれる配偶者を見つけるか、自分の「安全基地」となってくれる相談相手(友達、カウンセラー、精神科医など)に出会うなどでしょうか。

だいたいにおいて、「扁桃体過敏」を抱えたまま成人になった人は、同じような「扁桃体過敏」を抱えた人に惹かれてしまう傾向があり、結婚したあと、お互いがお互いの安全基地になるどころか、「傷つけあい」に終始し、破たんを迎える可能性が高いのです。

  

さらに、わたしが危惧するのは、「糖質」が「依存物質」であるのみならず、「扁桃体過敏」を促進するものではないかということです。

「糖質」をとれば、必ず血糖は乱高下します。

そのたびに「闘争か逃走反応」ホルモンであるアドレナリンが分泌されます。

  

このことは、「糖質」はヒトにとって危険物質であり、「扁桃体」を刺激しているのではないかと思います。「糖質」をとると、「扁桃体過敏」が増してしまう、和らぎにくくなるという恐れがあるのです。

もしかすると、最近多い「自閉症スペクトラム」は、胎児期から乳幼児期にかけての糖質過多で「扁桃体過敏」が亢進した結果、「社会性」の発達に障害を抱えてしまったためなのでしょうか、糖質をとると「生理的ケトーシス」が保てなくなり脳への栄養・エネルギーが不足してしまうのでしょうか?

  

また、いわゆる「内因性うつ病」とは、度重なる糖質摂取により、抑えられていた「扁桃体過敏」が生直後の「負の情動」むき出しの状態に戻ってしまったものなのでしょうか?

ところで、こんなことお伺いしたら失礼かと存じますが、個人的には、どうしたら夏井先生のようなすごい「脳」ができるのか興味がありますが、ご自身で考察されたりしますか?

  

先生は、「やりたいことを思う存分やっている」だけとおっしゃるかもしれません。

医療も、読書も、もの書きも、ピアノも、人付き合いも・・・そして、気がついたら、ほかの人では簡単にはまねできないような高いレベルに到達していた・・・という感じなのでしょうか?

わたしからみると、夏井先生とか江部先生とかの扁桃体は「悦び」で満ちています。

  

ご自身の人生を、そして「今、このとき」を充実して生きていらっしゃいます。

常に、「want to(向上心)」があり、それに対して臆することなく自分に「may(許可)」し、実際に「can(実現)」していらっしゃいます。すると、さらなる「want to」がでてくるという自己成長サイクルを続けていらっしゃいます。(「want-may-canサイクル」と勝手に命名しています)

そういう状態が、本来のあるべき「脳」の状態かとも思いたいのですが、多くの一般人の意識は、「must/must not(義務・禁止)」「should(当たり前の常識)」に縛られています。

  

親からの価値観押しつけや学校教育の影響で、教えられたことだけを脳にコピーする「思考停止」に陥っています。

扁桃体からは、「want to」のサインがでていても、「どうせ自分なんか・・・」「そんなの常識的にあり得ない」「お母さんがダメっていうし・・・」と、意識から「not OK」ばかりが扁桃体に返されます。そうして扁桃体が過敏になれば、さまざまなこころのトラブルをかかえるわけです。

実は、わたし自身もそうでした。医療に関しは、医学の教科書、医学論文、偉い先生の発言をひたすら頭にコピーしていました。それが勉強するということだと思っていました。これでは、奴隷状態なわけです。自分の頭で考え、選択することができなくなるわけですから。

  

しかし、夏井先生の考え方に触れるにつけ、それが間違っていることに気がつきました。もっと自由に考えていいんだという大発見でした。今では、完全に奴隷から解放されています。

変わることのない自然科学・社会科学の知識と、今までの経験を融合すれば、自分なりの医学論が構成できることを知ったからです。今は、その精度を高めるべく、ひたすら読書を繰り返しています。

難病の「潰瘍性大腸炎」になったときは、「もう死んでもいいか」と自虐的になっていたときもありましたが、夏井先生を知り、糖質制限を知り、「医者っておもしろいな」「医者になってよかったな」と思えるようになりました。

  

それまでは、何度医者を止めたいと思ったことか。「潰瘍性大腸炎」も寛解維持できています。

本当に人生っておもしろいですね。

というか、糖質制限すごいのかな、いや、糖質が悪すぎるのか。

 

 

 

マスコミ方面から「糖質制限を始めたものの、なかなか継続できない方もいるようです。糖質制限を続けるためのノウハウをまとめて欲しいのですが」という質問をいただきました。

確かに,「糖質制限を始めてみたけど,パンや麺類,お菓子を完全に止められないので,つい食べてしまって,結局元通りの食事に戻ってしまった」という人はいらっしゃいます。

こういう人はコメやコムギ,砂糖の中毒症,依存症ではないかと思います。覚醒剤がなかなか止められない,アルコール依存症の治療を受けているのについお酒を飲んでしまう,というのと同じです。

だから,極論すれば,こういうタイプの人に必要なのは「依存症の治療」であって,「糖質制限が続けられるノウハウ」をいくら提示しても,依存症自体が治らない限り,糖質摂取は止められないはずです。

逆に,糖質依存症,炭水化物中毒症から抜け出せた人は,スーパー糖質制限をしても苦痛は感じないし,むしろ,糖質を摂取すると体調が悪くなり,ヘタをすると低血糖状態になってしまって苦しむことになるので,積極的に糖質を遠ざけます。

そのほうが楽だからです。このあたりは,ニコチン中毒から脱却できた人はタバコを吸いたくなくなるし,無理して吸うと喉が痛いとか咳が出るとかして苦しくなるだけなので,禁煙が無理なく続けられるのと似ています。

 

糖質も酒も覚醒剤も麻薬も依存性を持つ物質です。

 

この内,最も入手が容易なのが糖質と酒で,覚醒剤や麻薬は一般には入手は難しい(はず)です。

だから,覚醒剤中毒や麻薬中毒患者より,糖質中毒・アルコール依存症の患者のほうが多いのは当然です。

糖質と酒を比べると,アルコール依存症患者より糖質依存症患者のほうが圧倒的に多いのは皆様ご存知の通りです。

  

私のように毎日飲酒している酒好きはそこらにいますが,そこからアルコール依存症になる酒好きはそれほど多くありません。

それは「仕事中は酒を飲んではいけない」という社会規範があり,その禁を破ると職を失うからです。

どんなに酒好きでも,飲むのは仕事が終わってからであり,翌日の仕事に差し支えるような飲み方も普通は控えます。これがアルコール依存症への移行を抑制しているのかもしれません。

 

一方,仕事中に甘いモノをつまんだり,昼休みにカレーライスやラーメンを食べるのは当然の行為だし,職場の机の上に甘い清涼飲料のペットボトルがあるのは普通の光景です。

むしろ「疲れを取るために甘いモノを食べる・飲むべき」と考える人が遥かに多いです。

だから,ヒトは簡単に糖質依存症に陥ります。

  

というわけで,糖質依存症から脱却できた人は糖質を摂取すると体調を崩すので食べなくなり,糖質制限をずっと続けられるが,糖質依存症から抜け出せない人は体と心が糖質摂取を欲し続けるため,糖質制限を始めても長続きしない,ということになるのではないかと思います。

後者のタイプの人はアルコール依存症や麻薬中毒患者同様,カウンセリングなどの治療が必要なのです。

  

なるほど、心しておかないと、簡単に依存してしまうというわけです。

 

ただ、糖質制限が何故続くかというと、「昼食後、眠気に襲われる」ということがなくなるんですね。

それと集中力が継続するようになります。

こういうメリットを感じると、糖質制限を続けるモチベーションはグッと上がるわけです。

  

ですが、パンやご飯などの糖質の多いものを食べると血糖値が上がり覚醒が落ちます。

これは「オレキシン」という物質に関係していて、覚醒をもたらすことにかなり特化した物質なのです。

 

食後は血糖値が上がるわけですが、オレキシンをつくる神経細胞の活動は、血糖値が上がるとすぐに対応して変動し、落ちてゆきます。

つまりオレキシンがあまり作られなくなることで、覚醒が低くなり、眠気が増してゆくのです。

 

巷では「消化のために胃に血液が集まるから脳に血が行かなくなって眠くなる」と言われていますが、脳は最後まで守られる仕組みなので、これはいわゆる都市伝説の類です。

糖質を制限していても「昼食後に眠くなる」というのは単なる睡眠不足。(笑)

基本的に人は昼行性なので、昼間には覚醒が高くなります。

ですがこれには波があって、午後の2時、3時ごろ、覚醒の出力の一時的なくぼみが起きます。

朝食後や夕食後にはあまり眠気を感じないのはこういう理由からです。

 

基本的に人は起きている間というのは食べるか身を守るかのどちらかなのです。

残りの時間は寝ているわけです。

赤ちゃんは、お腹が減ったら目を覚まし、ミルクを飲んだらまた眠るを繰り返していますからね。

   

何故か歳を取ると、生活パターンは、赤ちゃんのようになってゆきますが、不思議です。(笑)

 

  

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このページは、hatchが2015年12月24日 05:09に書いた記事です。

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