エイリアン・シリーズ最新作、エイリアン:コヴェナントが9月15日に公開された。
早速公開当日に観てきた。
オフィシャルCM・日本語
エイリアンシリーズで確立された、独特のダークな雰囲気と、エイリアンが迫りくる恐ろしさとのコンビネーションは健在だった。
しかもリドリー・スコット監督による独自の世界観が、観る者を圧倒する作品に仕上がっていた。
エイリアンの全貌はすでに周知のことなので、その点においての目新しさはない。
そのため新鮮味を出すためだろう、冒頭から新たな恐怖とその出現方法が工夫され、今までとは違うパターンの展開で楽しませてくれる。
特にオープニングの導入部分は、エイリアンシリーズであることを微塵も感じさせず、希望さえ抱かせる明るい雰囲気に満ちている。
プロメテウス計画の出発前、男性型のアンドロイドが起動し、ミケランジェロの彫刻から自分をデヴィッドと名付けるというくだりだ。
そしてプロメテウス号の出発から11年後の2104年、植民船コヴェナント号は冷凍休眠中の2千人の入植者と1千体以上の人間の胎芽を搭載、人類の新天地となるはずの惑星「オリガエ6」に向けて航行していた。
というシーンへと移行するが、ニュートリノの衝撃波を受け、船に甚大な故障が発生。
このあたりの展開は意外に早く、あれよあれよという間に、パニック状態に陥ってしまう。
そうしているうちに、近くの惑星からの思しき信号を受信する。
そのため、到着までに数年もの時間が必要な人類の新天地となるはずの惑星「オリガエ6」ではなく、ダニエルズの反対にもかかわらず、船長代理のオラムは調査隊を編成、近場にある未知の惑星に降りることを決めてしまう。
こうした未知の惑星に上陸する際は、宇宙服っぽいスーツでウイルスや病原体等を吸い込まないように完全密閉されたスーツを身にまとうのが定石だが、何故か今回はなんだか日本兵のような出で立ち。(笑)
そのため調査団の一員が調査中に、卵のような物体から、謎の粉状の物質を吸い込んでしまう。
だが本人は気づかないまま・・
というちょっと、ホラー映画っぽい恐怖感が鏤められている。
そして、そこから今回の悲劇が始まる・・
ただ、エイリアンシリーズの特徴でもある、戦う女性というキャラの活躍場面は大幅にスケールダウンしてしまっている。
というのは、本作の女優はシガニー・ウィーバーほどの個性がないためで、まあこれは仕方ない部分かも知れない。
そのかわり、この作品でキーとなって主役を張るのが、マイケル・ファスベンダー演じるアンドロイドのデヴィッド。
この手のロボットではロボット三原則の第一条で「ロボットは人間に危害を加えず、危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない」という暗黙の「お約束が」あるはずなのだ。
だがデヴィッドは、ウソは平気でしかも最後には裏切るうえ、人を傷つけ殺すなどは平気で、いってみれば何でもありという恐ろしさを持っている。
こうしたキャラが、最後の最後で明らかになり、観客の意表を突くという展開になっている。
とはいえよく考えると、このアンドロイドは人間が作ったもの。
つまり、このろくでもない行動パターンをプログラムしたのも人間であり、それが人間の恐ろしさに繋がっているというオチになっているわけだ。
エイリアンの恐ろしさに加え、誰もが知っている恐ろしさを持つのは、何を隠そう実は人間だった・・
ネタバレになるので書かないが、このようにして、ハッピーエンドではないラストシーンへの伏線は、周到に用意され、見終わったときの衝撃となるわけで、こうした点からも、非常によく考えられた脚本となっている。
Alien: Covenant | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX
リドリー・スコット監督は、この作品が、エイリアンの前日譚を描くプロメテウス3部作の1つになると明かしている。
つまりプロメテウスとコヴェナントの次にもう1作品、前日譚が控えているということになるわけだ。
そして3部作の結末は、シリーズ第1作目のエイリアンにリンクしていくという寸法。
リドリー・スコット監督は、次のシナリオをすでに考えていると言う。
2018年には『Alien: Covenant 2』(仮題)の製作を始めたいとのこと。
どういう仕上がりになるかのかが楽しみだ。
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