往年の人気SFテレビシリーズ「ギャラクシー・クエスト」。
その俳優たちと、テレビドラマを「ドキュメンタリー」と勘違いした善良な宇宙人達との出会いから始まる物語だ。
イントロで、真面目な話なのか・・と思っていると、いきなり、「なんでもあり」のパロディ展開へと引きずり込まれる。
だが、侮るなかれ!
コメディーなのに制作スタッフの真剣さが半端ではないというのが、ミソなのだ。
ネタは「スタートレック」のパロディー化がベースとなっている。
とはいってもスタートレックの熱烈なファンでなくてもOK。
スタートレックって何となく知っているくらいだけど・・
という程度の認識でも、しっかり笑えるようになっているのだ。
サーミアンという宇宙人達。 歩き方が笑える。
この面白さのベースとなっているのは、作り物のテレビドラマを、宇宙人たちが本当だと思っているという点にある。
そして、TVドラマで登場する張りボテの宇宙船をもとに、宇宙人達が本物の宇宙船を作るという寸法。
そしてTVドラマの艦長が二日酔いで、ニセモノの宇宙船だと思って乗り込むわけだ。
TVドラマの役者たちが、本物の宇宙人を見て「すごい特殊メイクだな・・」などなど。
だが、それらが本物だと分かった時のリアクションが、まさに抱腹絶倒もの。
芸達者なキャストで固められているため、ギャグやパロディーの炸裂度レベルが高いのも大きな魅力だ。
笑いを誘うパロディーは定番のシークエンスなのだが、それらを組み合わせたパターンが次から次へと繰り出される。
だが、そうしたそれぞれのシーンの脚本が実によく練られている。
そのため思わず笑ってしまうというわけだ。
そうして緩んだところへもって、その後の展開が結構シリアスなため、ついつい観てしまう。
作り手は、このあたりの観客側の心理状態を、実にうまく手玉に取っているため、観ている側は知らず知らずのうちに、彼らの世界に引き擦り込まれてしまうのだ。
昔のスターだった時代から20年が経過、TVドラマの役者達が、すっかり忘れてしまっている大事なこと。
たとえば、ファンを大切にする、自分の仕事と夢にプライドを持つ、そして脇役俳優でも主役だと思って取り組む真剣さ。
この映画は、こうした忘れかけていた大事な気持ちを、宇宙人達とのやりとりの中で、徐々に取り戻してゆく物語でもあるのだ。
涙、笑い、アクションなど全ての要素が、まさにてんこ盛り。
エンターテイメントの王道を行くかのように、観客を飽きさせないテンポがまた素晴らしい。
見所としては、20年後のヒロインという設定に、シガニー・ウィーバーが見事に嵌っていると言う点だ。
歳は食っても、なかなかイケるイケイケなセクシーさが絶妙。
さらにギャラクシークエストの熱烈なファン達が、宇宙船の構造を熟知しているため、役者達がそうしたオタク達に助けられるという設定もありで、なかなか芸が細かい。
無気力に陥っていた、往年の役者たちが、宇宙人との出会いをきっかけに、誇りを取り戻してゆく。
最初は冴えなかった役者達が、最後にはとても頼もしく見えてくるから不思議だ。
テレビドラマという、作られた虚像に向かい、役者達がそこへ近づこうとする心の変化。
宇宙人たちがイメージするヒーロー像へ近づくため、悪あがきをせざるを得なくなる、TVドラマの役者達。
いつか見た夢は、必ずどこかで確実に実在するのだ、ということを笑いと共に魅せてくれるエンディング。
「ネバーギブアップ・ネバーサレンダー」
「諦めてはダメだ」という教訓を、笑いと共に心の奥深く、刻み込んでくれる作品だ。
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