備忘録として、大成さんのブログから、そのまま引用させていただきます。
マイクロバブルの重要な性質のひとつに、マイクロバブルが液体に非常に「よく溶けやすい」ことがあります。
発生したマイクロバブルをよく観察しますと、マイクロバブルはゆっくりと上昇しながら、徐々に小さくなり、すっと液体中で消えてなくなってしまいます。
この気体部分が液体中で無くなってしまう現象を「溶解」といいます。この厳密な定義については、いろいろな諸説や見解があるようですので、ここでは、それらには深入りしないでおきましょう。
さて、マイクロバブルの液体への溶解には、マイクロバブルの収縮運動が重要な関係を有しています。
マイクロバブルの収縮は、その直径約65マイクロメートルを境にして、それ以上は膨張、それ以下では収縮していくことが明らかにされています。
ただし、これは、超高速旋回式マイクロバブル発生装置でマイクロバブルを発生させた時の結果であり、加圧溶解式のマイクロバブルでは、その特性も異なるはずです。
なぜなら、後者の場合のマイクロバブルは、その発生時に膨張しながら発生しますので、その収縮特性が、前者の場合とは大きく異なることが予想されます。
気体は液体よりも軽いことから、気泡は水中で上昇し、水面まで到達してはじけることが知られています。
もともと、超高速旋回式マイクロバブル発生装置によって発生させられたマイクロバブルの圧力は、その発生時において負の圧力を呈しています。
そのため、マイクロバブルの発生直後には、マイクロバブル内の負圧、マイクロバブルの周囲の圧力が正圧(プラス)の関係になり、マイクロバブルは周囲の圧力から押され、収縮を開始するのです。
このとき、発生したマイクロバブルは水中で上昇しながら収縮するマイクロバブルと拡大するマイクロバブルに分かれていきます。この境目のマイクロバブルの直径が65μmなのです。
この場合、65μm以上の気泡は、その上昇速度がより大きいことから、この上昇過程で気泡の周囲の圧力が減りますので、その分だけ、マイクロバブル内の圧力が下がることで、マイクロバブルは、収縮ではなく膨張に向かうことになります。
ところが、直径が65μm以下のマイクロバブルでは、その上昇に伴う周囲の圧力低下に伴うマイクロバブルの膨張よりも収縮の方が優位になり、その収縮が進行していきます。
この収縮には、その速度において、わずかしか収縮しない段階、徐々に収縮速度を増加させる段階、急激に収縮する段階という3段階があります。
これらが、上記のマイクロバブル溶解現象と関係していますが、その詳細は明らかになっていません。
超高速旋式のマイクロバブル発生装置から発生したマイクロバブルは、そのほとんどが、わずかに上昇する過程で収縮し、早い場合には十数秒後に、水中で消えてなくなります。
このマイクロバブルが水中で消えて無くなる現象を「溶解」とします。
ところが、この発生から、収縮、消失、そして溶解の詳しいメカニズムがわかっていません。それから、なぜ、マイクロバブルが収縮するのか、この理由もあまり明確にはなっていないようです。
それらはともかくとして、私が非常に注目していることは、マイクロバブルの中期収縮過程において収縮速度が増加する気泡径、すなわち、20~30μm程度のおいて、その発生頻度が最も高いということです。
換言すれば、収縮速度が増大するときに、マイクロバブルの発生頻度が最も高いということが非常に重要な特徴といえるのではないかと思います。
また、マイクロバブルの直径が数十μmから小さくなると負電位も上昇し、そのピークが、マイクロバブルの発生頻度分布のピークともほぼ一致することも注目される現象といえます。
しかし、このマイクロバブルの収縮運動が、負電位のピークと一致することとどのような関係を有しているのか、これについての詳細も明らかにはなっていません。
その意味で、マイクロバブルの収縮から溶解に至る重要な過程と現象は、ほとんどは究明されていないといってよいように思われます。
こういう状況ですから、マイクロバブルの実際の現象を直接観察し、そこから重要な特性を引き出すことが何よりも重要なことではないかと考えています。
同時に、気体の種類や液体の種類を変えた時に、マイクロバブルの収縮や溶解が、どのように進むのか、あるいは後退するのか、これらについての究明が進むことも期待されています。
さらに将来においては、大量のマイクロバブルを発生させ、それを即座に溶解させる装置の開発も望まれています。
現状の装置よりも10倍、100倍のマイクロバブルを発生させ、同時にそれらを溶解促進させることができれば、これは夢のような「未来技術」へと発展する可能性が生まれてくることでしょう。
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