色がシルバーだったせいもあるが、第一印象はダイエットしたゾウムシ。
ズングリむっくりとした印象。
リアはまんまBMWコンプレックス。
隣にBMWに並ばれたりするとと、肩身の狭い気分になるという点で、自分で買うのはちょっとなあ・・という気分になってしまう。
だが一般的には「BMWのようだ・・」と買う人が多いのだろうか?
ただ、1年も経つと古くなってしまいそうなデザインだ。
ドアを開けると、2000キロほどの新車なので、ニューカーの匂いがするが、日本車とドイツ車では全く違う匂いだ。
リアの排気口がバンパーと一体になっているのはマル。
室内のフィニッシュは高水準で、すっきりと落ち着いた雰囲気。エアコンは足元とフェイスレベルとの温度が別々に調節できる。
ナビ周りのシルバーのアルミ風パネルはちょっと安っぽく、走行中に操作をするにはボタンの数が多く小さ過ぎる。
これはオーディオとナビが兼用だからなのだろうが、FM局を探していると、ナビが見えずというジレンマに陥るため、操作性はすこぶる悪い。
オーディオとナビは別の操作体系の方が圧倒的に使いやすい。
2.5リッターのエンジンと6ATの組み合わせは、なかなかパワフルで、なおかつスムーズだ。
ただすぐに6速に入ってしまうので、加速を楽しみたければ、マニュアルモードに切り替えることになる。
シフトレバーは剛性感のある短いタイプでスポーティーな印象。
ただ積極的にシフトしようとしても、メーターナセルに表示されるのは、その選択での最も大きいギア数なので、現在どのギア で走っているのかがわかりにくいのが、ちょっと残念。
シートの座り心地は長時間座っていても問題なく、レンタカーなので手動調節だったが、背もたれの角度は細かい調整が効くうえに、ハイトの調節もついている。
では肝心の走りはどうか?
エンジンはパワフルでよく回るが、特別に「おいしい」回転域はなく、スムースさが勝ったエンジンという印象だ。
前回借りたアコードのエンジンは2.4リッターの4気筒でこのマークXは2.5リッターの6気筒。
だがドライバーの琴線をくすぐる盛り上がりの按配というか味付けは、アコードの方がうまい。
130キロほどまでなら文句のない乗り心地やダンピングも、その速度域を超えると、フワフワし出して、カチっとしたブレーキフィールや、足回りのしっかり感は急激に薄れてしまうから、ドライビングにかなり緊張感を伴ってくる。
どちらかというと、エンジンがシャーシを上回る印象だが、アコードはシャーシーのバランスがエンジンに負けることはない印象で、ドライブをしていてどちらが楽しいかというと、迷わずアコードに軍配を上げたくなる。
常識的な速度でハイウェイをクルージングするという目的には、よくできた車だと思うが、眠くなりやすい。
つまりドライブをしていて楽しいという感触が希薄な車だ。
運転をしていると、すべてにおいてソフトで当たりは柔らかいのだけれど、カチッとしたとかガッチリとしたというフィールがどこにもない。
帰り道で、もっと運転していたい!と思わせてくれる何かが足りない。
ワクワクする要素がないから、退屈しないためには飛ばすしかない、ということになってしまいがち。
すべてが80点というのが好きな方には文句なしの車だろう。
だが、60点があってもいいから、一点でも99点をつけたくなるような魅力が欲しいという人には向かない車だ。
でもこういうのが日本では売れる、とトヨタは踏んでいるのだろう。
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