写真は 代車はDS5 でご覧あれ。
エンジン
DS5の一番の魅力は、何と言っても搭載されているエンジン。
PSA・BMWが共同開発した1.6リッター直噴ターボ。
最高出力156ps、最大トルク240Nm (24.5kgm)。
以前借りたC5も同じエンジンだったが、結構よく走った。
だが軽いDSの場合、さらに痛快だ。
C5はセダンで1620kg、ツアラーでは1680kg、対するDS5は1550kg。
C5ツアラーより130kg、つまり大人二人分軽いため、相対的に、よりパワフルに感じるのは当然だろう。
アイシンAW製の6ATトランスミッションはスムース。
もちろんエンジンとのマッチングも良いので、ここは全く問題なし。
ただし、アイドリング時は4気筒特有の振動を感じる。
車外では明確に4気筒であることがわかるレベル。
ここは、C6のスムースな V6エンジンに慣れていると、気になる部分となる。
だが回すと、そうしたことはすっかり忘れさせてくれる。
加速感と独特のトルクの盛り上がり方で、ついアクセルを踏みたくなる車だ。
このようにサウンドとフィーリングは、かなりよい感じだ。
エンジンの開発は、プジョー・シトロエングループとBMWとの共作で、「さすがBMW」といいたくなる回り方だ。
なお、アイドリングストップなどは付いていない。
ハンドリング
電子制御ステアリングは、かなりクセがあって、味付けの具合はハッキリ分かるタイプ。
なので対処はしやすい。
直進状態では、左右に壁があって、フラつかないようになっている。
そしてコーナーを旋回中の保舵力が強いため、しっかりとホールドしなければならない。
旋回中に必要となるアシスト力の変化も、あまりリニアではないのだが、慣れればそれほど苦にはならない。
要領が分かれば、このクセもまた楽しからずや。(笑)
着座すると、タイトなコクピットと相まって、戦闘機を操縦するかのようなインテリアのこの車では、かえってスパイスとして作用するのだった。
ただ、使っていると気になるのが、日差しが強いと、ダッシュの反射が映り込み、前がかなり見にくくなるという点だ。
ウィンドウシールドが、かなり寝ているために起こるわけだが・・
ダッシュボード反射撲滅作戦のようにダッシュボードの上に黒い植毛紙を貼りたくなってしまう。
だがダッシュボードの形状から言えば、かなり見栄えが悪くなるはず。
あたかも戦闘機
運転席からの眺めは、結構な包まれ感(閉所感?)がある独特のもの。
C6の明るく広い感じとは、対極の車なので新鮮に感じた部分だ。
助手席を何度も体験したカミサンは「なんだか戦闘機みたい」と言ってたが言い得て妙。
車両価格400万円プラス45万円で選択できる「クラブレザーシート」はとてもお洒落。
シートはバイエルン産の雄牛革を使用しているという。
背面や座面は、腕時計のベルトのような「ウォッチストラップ」風で、ランバーサポート部がゆっくり伸縮するマッサージ機能もついている。
座り心地は快適。
どちらかというと堅めなので、座ったときはそれほど感激するわけではないだが、長時間の運転でも疲れないのはさすが。
ホールドの良さとあいまって、さすがフランス車と言いたくなるシートだ。
DS5のコクピットはホント戦闘機の操縦席に座っているような感じだ。
とはいっても、本物の戦闘機のコクピットに座った事はないのだけれど・・
この戦闘機の操縦席に座っているかのような、着座感覚というか運転席からの眺めが、様々な面で影響する車だ。
子供っぽいチープさとは無縁のお洒落なインテリアとあいまって、この点はかなり功を奏しているといっていいだろう。
何故なら、こうしたセンスが加わることで、唯一無二の、独特の魅力となっているからだ。
早朝にガレージから車を出して、アタマをかがめながら乗り込むと「さあ、これから出撃だ!」という気分になるのが不思議。
こうした「インテリアが醸し出すワクワク感のある車」というのは、そうそうあるものではない。
希有な存在と言ってもいいだろう。
ゴルフもプリウスも、こうした視点から言うと、面白くも何ともないインテリアだ。
機能第一という方向へ振られた室内は、どちらかというと無機質というか、ビジネスライク。
ただ、DS5は乗車時は開口部の頭の部分が低いので、165センチの筆者でも、かがまないと、アタマをぶつけることになるのだ。
さらにシートの左右座面が少し盛り上がっているので、下りるときにちょっと邪魔。
一旦シートへ収まってしまえばいいが、乗り降りはやりにくい車だ。
なので年寄りは、乗りたくない車かもしれない。
乗り心地
DS5の最大の欠点はその乗り味だ。
サスは結構固め。
なので、コーナリング時のロール感はあまり感じない。
だが低速高速にかかわらず、巡航・旋回時・ブレーキング時に至るまで、フラットではない乗り心地にはガッカリだ。
C6から乗り換えるときに、2つのSEVはDS5にもセットしてあるのだが、こうした点には効果なし。
さらなる問題は路面からのデコボコがシャーシに反響し、低周波の入り交じった、音と相まって厭な突き上げとして感じるのだ。
これはゴルフでもプリウスでも、多少は感じる点だ。
だがDS5では、乗るたびに「これさえなければなあ・・」と感じる、大きなネガとなってしまっている。
翌日、空気圧を少し下げることで、路面のザラザラ感は消えたのだが・・
この点においてC6は実に秀逸。
C6だけに乗っていると気がつかないと、今回の試乗で他の車のレベルを知ると、よりそういう気がする。
路面からのこうした振動のたぐいは一切遮断され、路面を舐めるように走るからね。
カミサンも「底が薄い感じがする」と言っていたが、まあ「戦闘機」と考えて、こうしたネガもトータルでの味として納得するしかないわけだが・・
実は木曜日の夜に、C6を預けて乗り換え、帰路についたのだが、100メートルも走らないうちに、こうした乗り味にゲンナリしていたのだった。
翌日に、代車を変えて貰おうと思ったほど。
実は月曜日に、DS5に商談が入っているという連絡があり、ディーラーでDS5から別の代車に乗り換えたのだった。
正直いうと「ほっと」した。(笑)
担当のN氏にこの点を話すと、新しいDS5はサスの形状が変わるので、期待できるかも知れないとのこと。
ブレーキのサーボは強め。
ペダルを踏んでいるとサーボが、だんだん強くなってくるタイプ。
なので、チカラをだんだん抜いて踏まないとスムースには止まれないので、ここも改善して欲しい点だ。
まとめ
兎にも角にも、実にユニークな車だ。
これだけお洒落なエクステリア、インテリアデザインなのに、街でほとんど見かけないのは何故か?
オレはここで指摘している乗り味が原因だ、と思っているが・・
新車だと400万円に+シート45万なので、乗り出しはなんだかんだで500万円弱。
戦闘機は高いなあ。(笑)
中古車を見ると、250万から350万ほどが28台。
ただモディファイのしようがない、大きなネガは、どうしようもないからなあ。
というオチとなったわけですが、実はディーラーが貸してくれた代車が、これまた、いい意味で凄かったのであります。
続く・・
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