新神戸駅そのばにあり、うまい手打蕎麦を供しているが、お勧めは手挽きそば。こだわりの蕎麦を食しながら、おちついた明るい雰囲気の店でゆったりとした時間を過ごすことができる。
ウチから3ブロックほど、自転車だと5分くらいのところに蕎麦屋がある。
店は柳通りに面したマンションの一階部分にある。
入り口あたりは少し南欧風というか、ラテンフレーバーが感じられる。
室内は明るく、細部の仕上げはちょっとラフな肌触りのテイスト。
全体のバランスが「蕎麦屋らしくない」ところがいい。
「天ぷら」のメニューと、「かけ系列」の温かい蕎麦は一切ないというのが凄い。
恐れ入谷の鬼子母神。
「天ぷら」のメニューがないということはつまり、油が蕎麦の風味を損なう恐れがないということだ。
売上げ的には厳しいだろうが、蕎麦屋として素晴らしい見識だと思う。
「うまい蕎麦」というのは、冷たい「もり」が一番旨いわけだが、だからといって暖かい蕎麦をメニューから外すという勇気を持つことは、現実問題として、なかなかできるものではない だろう。
この写真からも、店のレベルが伺える。
「手挽き」は100円アップだが、臼を手で回すため、3時間で10食分ほどしかできないないのだという。
遅くに行くと、売り切れていることがある。
手挽き蕎麦は、少々乱暴に分類すると「木挽町 湯津上屋」とか「流石」の系列。
機械挽きだと、しながわ翁・成富のような感じだといえば、当たらずとも遠からず。
この2種類は、味も雰囲気もかなり違う。
そのため2種類の蕎麦が楽しめることになり、さらに蕎麦は太目と細目が選択できる。
「つゆ」は醤油風味が勝っている甘さ控えめタイプで、蕎麦の食感とあいまって、独特の風味を醸し出している。
そば湯はトロっとした濃いめのタイプ。
東京でも、ほとんどの新しいタイプのうまい蕎麦屋は、粉を溶かした濃いめのそば湯を供するところが多いため、このタイプに慣れると、普通のそば湯だと、物足りなく感じることになる。
8月1日にはじめて訪れてからというもの、3日と開けずに通っているが、このレベルの蕎麦屋が家から至近距離にあるとなれば、誰だってそうしたくなるはず。
若夫婦お二人で切り盛りされている が、ご主人は大阪の大阪の谷町にある蕎麦屋、蔦谷で修行され、開店したのは一年半ほど前(2006年11月)だという。
お二人とも、気さくでフレンドリーなお人柄。
関西はやはり日本のラテン圏なのだ。(笑)
手挽きが早く売り切れることになると困るので、実はあまり紹介したくはなかったのだが、この感動を沈黙のままで押し通すことはできず、書いてしまったというわけだ。
そば切り 山親爺
神戸市中央区熊内町2丁目1-37
078-222-9299
定休日:月曜夜・火曜の昼夜
20080822 Fri.