トレードに関する技を理論的に分析し、ツールの使い方やタイミングのとり方などを勉強しているからといって、トレーニングですぐに技が身につくわけではない。
何故なら情報を入力する「感覚野」と、動きを実行する「運動野」とは、脳の中で直接やりとりをすることができないからだ。
そのため訓練が必要となる。
感覚野という部分は、見たり聞いたりする、いわゆる五感を通して受け取った情報を理解し、記憶として蓄える働きをしている。
一方、運動野は、走る・踊る・歌うなどのように体を使って何かを表現する働きを持っている。
この2種類の仕事は脳の中で完全に分業されている。
そのためトレードだと「陰線が出ているのに」脱出ボタンがどうして押せない、という状態に陥りやすいのだ。
このように、何かを成し遂げるには、感覚野という入力側と運動野という出力側とで情報を共有させることが、連携作業として大事になるのだが、残念なことに、この二つを直接つなぐ回路は脳の中にはないのだ。
だがそこはうまくしたもので「自分に言い聞かせ、復唱する」という方法を使うと、この2つをうまくつなぐことができるというわけだ。
そのためトレーニングでは、陰線が一本確定したら「陰線一本」などと復唱する訓練を行っている。
イギリスやアメリカの研究者たちが日常的に行っている習慣として「トーク・スルー」と呼ばれるものがある。
「とりあえずしゃべってみる」わけだ。
すると、しゃべっているうちに頭の中が整理され、自分が本当に言いたかったことがわかってくるのだ。
頭の中にあるものを、意見としてぶつけ合うディスカッションとはかなり違うやり方だが、これがよく効くのだ。
自分がやりたいことを一度アウトプットし、具体的な言葉で自分の脳に改めてインプットすることで、運動野と感覚野をうまく連携させることができるのだ。
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ある外科医は、5年間の留学経験で携わった手術に関し、通常の手術記録のほかに、自分なりの記録メモを書き留めていたというのだ。
通常の手術記録ではわからない細かなノウハウというのは、メモを見ればすぐにわかるようになったという。
これした「まとめ」は書くか書かないかで、その後の結果にものすごい差が出るのだという。
書いている人は、1度の手術で1人の患者さんから2回も3回も教えられることになり、それには3度の手術と同じか、それ以上の価値があるのだという。
一人のトレードでもこれは非常に有効だ。
陰線が確定したら「陰線一本」!
大きな声で、自分のアタマにインプットする訓練を繰り返すことで、マウスのボタンを押せるようになるのだ。
お試しあれ!