クルーズ船と水
ダイヤモンド・プリンセス号が生活排水の放出や飲料水の精製を行うため浦賀水道へ向けて動き始めた・・
などといった報道を連日目にすることが多かったので、どのような仕組みなのかを調べてみました。
ウォールストリートジャーナルにはこんな記事がありました。
「クルーズ客船の航跡では泳がない方がいい」
クルーズ会社は澄みきった空ときれいな海を宣伝したがる。
ところが、海に浮かぶ都市とも言える乗客乗員数千人の客船は、硫黄を含む排気ガスからブラックウォーターと呼ばれる下水まで、大量の廃棄物を海に置き去りにしていると環境保護団体は指摘する。
ブラックウォーターは病気をまき散らしたり、魚に害がある藻の成長を促進することもある。
非営利環境団体フレンズ・オブ・ジ・アースの後援で行われた最新の調査によると、中型客船が通常の1週間の航海で流出するブラックウォーターは21万米ガロン(約800立方メートル)で、これは住宅の庭にある典型的なプール10杯分に相当するという。
船上で生産もしくは積載された水はその目的に応じて使用され、多くの場合現地、国および国際的に規定された法や規制基準を上回る方法で放出しています。
排水は、主に雑排水、汚水、ビルジ水の3種類に分類できます。
雑排水と汚水
弊社は、雑排水(シャワー、洗面台、食器洗浄機)や汚水(トイレ)などの廃棄においては、米国および国際的な環境基準をすべて満たしております。
全ての客船には、米国湾岸警備隊より舶衛生装置として認定を受けた水処理施設を完備しています。
汚水は、この排水処理装置で自然に分解・殺菌されます。
処理された排水は、港から最低12マイルというこれも法律で義務付けられた距離より離れた場所で放出されます。
2020年までには、膜ろ過と紫外線を活用した、現代技術で可能な最高レベルの水処理システムを所有船の80%に整備する予定です。
一部の雑排水は、汚水と合わせてより高度な汚水処理施設で処理することもありますが、船上に保存したまま出港してから、すべての法律・規制に準拠しつつ、海に放出しています。
ビルジ水
ビルジ水は、'ビルジ'と呼ばれる船底で回収された汚水であり、エンジン室の機材から排出されたオイルを含んでいます。
船の構造として、この様な汚水はすべて船底で回収されますが、プリンセス・クルーズでは、不用意にオイルがビルジに排出され、海洋環境を汚さないような措置をとっています。
これは、ビルジの容量水を必要最低限に抑え、適切な保水タンク量と排出方法を確保し、可能な限り機械のオイル漏れを防ぎ、最新型の分離装置に切り替えるなど様々な方法で取り組んでいます。
ビルジ水は、オイル水分離装置を通し、15ppm以下に処理してから船外に排出しています。
処理されたビルジ水の放出におきましても、国際、地域、国の各種法律や規制に準拠しつつ行っています。
飲料水を船内で造る!「造水器」 出光タンカー
出光タンカーの管理船では、清水は全て機関室に据え付けられた造水器によって海水から造っています。
船内に清水(雑用清水)、飲料水、ボイラ水(ボイラ専用)、の3種類を別々のタンクで蓄えています。
清水は風呂、掃除などの生活用水、飲料水は飲み水、ボイラ水は加熱蒸気、タービン駆動用です。
一般に海水から真水を造るには、海水を沸騰させ、その蒸気(湯気)を集めて冷やすことによって蒸留水を造ります。(40t/日)
蒸留水に薬品(防錆剤、ミネラル)を投入し、清水、飲料水、ボイラ水を造ります。
乗組員の中には、インド洋、アラビア海で造られた飲料水は、ペットボトルで購入する水よりも、安価で美味しく、新鮮と好む者もいます。
海上において海水を飲料水にする設置型造水器メーカーのサイトなども発見。
「低圧浸管型造水装置」、「多段フラッシュ型造水装置」を始めとするササクラ製品の技術水準は、世界の超一流品として高く評価されています。
ディーゼル船の廃熱を生かして高純度の蒸留水を製造する「フレッシュ・ウォーター・ゼネレーター」もその一つです。
高い熱交換技術と真空技術により省エネルギー化と高メンテナンス性を図ったKシリーズは、日本機械学会の優秀製品賞を受賞。
発売から47年、納入実績は一万台を超え世界の海で活躍しています。
独自のノウハウを駆使し技術改良を加え、常に最先端の造水装置を提供。ササクラの旺盛なエンジニアリング志向は、時代を先駆する製品開発と乗員の生活の向上につながっています。
造水器は、真空状態にした容器の中に海水を入れ、その海水を主機に使用した高温の冷却清水で加熱沸騰させ、その蒸気を冷却して清水を造るもので、大型の貨物船なら1日数十トンの清水を得ることができる。
しかし造水器による清水は蒸留水のため、飲んでもまずく調理にも適さないといわれている。
そこで飲料水や調理用には従来通り陸上から補給された水を使い、造水器の水は主に風呂やシャワー、水洗トイレなどにふんだんに使われる。
もし飲み水として使う必要がある場合は、必要なミネラル類を添加し味を整えて使用する。
クルーズ船には、海水を水に変える装置が備え付けられており、一度、荒石さんもその水を飲んだことがあったそうですが、やはり、給水する水には、とてもかなわないと感じたそうです。
だからこそ、船上で必要となる飲み水、料理に使用される水、その他の生活用水は、給水する水になるのだと納得して、日々、給水に携わっているとのことです。
また、大阪港の水は、高度浄水処理されており、「おいしい」ということが、海外の船にも知れわたってきているため、クルーズ船は大阪港で
給水することが増えてきているとのことでした。
ホースは直径が65ミリで、2本のホースで給水します。
1時間で約100トン(家庭用のお風呂1杯分が200リットルだとすると・・・なんと500杯分!)
給水されるとのことですが、今回のクルーズ船は800トンの給水を行いますので、約8時間かけての作業になるとのことでした。
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