酵素療法の問題点
以下は、三石巌先生による、「高タンパク健康法」からの抜粋引用です。
わかりやすく解説されています。
つまり酵素食品やサプリを摂取するよりも、おいしい納豆を食べる。
これがイチバンでしょう。
タズミの卵クラスなら生卵でも大丈夫なので、卵+納豆は栄養面でもパーフェクトな組み合わせです。
今日の朝食は、プロテイン20g+ミツカン挽割納豆1パック+生卵1個。
そのあとオフィスでキリクリームチーズを2切+グリコアーモンドミルク。
納豆は、ナットウキナーゼという酵素を含む。
ナットウキナーゼには脳のプラークを分解する作用があり、化学者たちは画期的な治療薬が生まれるかもしれないと期待している。
ナットウキナーゼは理論上、アミロイドと呼ばれる有害なタンパク質を分解してくれる。
アミロイドはアルツハイマー症の患者の脳に線維性の沈着物を形成する。
酵素はタンパク質。
酵素は、生命の実体である代謝を、あらゆる段階で媒介する物質として、欠かせないものだ。
それならば、酵素そのものを食べたら良いではないか?
タンパク質なら口に入れて差し支えないはずではないか?
このような発想があって、別に不思議ではなく、むしろ自然なことだろう。
酵素食品がいろいろと市販されている。
医療でも酵素の投与が行われている。
「酵素療法」というものが、現実に存在している。
酵素はタンパク質なので、ほとんど全部がアミノ酸にまで分解される。
血中にそのまま流れ込むものは微量だからいいが、おそらくそれは正常な代謝の妨害になりかねない。
酵素は、食品の形で摂るにせよ、薬剤の形で摂るにせよ、この種の問題に付きまとわれる、と考えるが良い。
無難の折り紙の付くのは、消化管の中に存在する「消化酵素」のみ。
その中で有名なものは、高峰譲吉のタカジアスターゼである。
炎症が起きた時、それにフイードバツクして、副腎皮質は消炎ホルモンを分泌して血中に送り込む。
このような時、的確な効果を狙うとすれば、副腎皮質ホルモンの投与に勝るものはない。
ところがそれは、強烈な副作用のゆえに敬遠されるのが通例である。
そしてこのような時、消炎酵素剤が投与される。
その正体は消化酵素である。
「消化酵素」の名で、治療効果の面から呼ばれる酵素はいろいろあるが、大部分はタンパク分解酵素であり、消化酵素である。
トリプシン、キモトリプシンなどが、消化剤としてではなく、消炎剤として使われている。これらは牛の膵臓から抽出したものである。
この種の酵素剤は、現実に、挫傷、捻挫、手術傷、慢性気管支炎、気管支拡張症、膿胸、血栓性静脈炎などに利用されている。
酵素療法に用いられるような酵素タンパクが、消化管に入った時、腸壁で吸収されるかどうかは、避けて通れない問題であろう。
酵素療法が盛んになるにつれて、この方向の研究が進み、動物を使って多くの実験がなされた。
酵素療法の鉄の壁
すべての酵素はタンパク質である。従つて、タンパク分解酵素の存在は、すべての酵素に対する脅威たりかねない。
また、脳下垂体の分泌する副腎皮質刺激ホルモンや成長ホルモンはタンパク質である。
タンパク分解酵素によってこれらのホルモンが分解されないとはいえず、ここにも大問題が残っている。
元来、酵素というものは、自前で生合成すべきものであるから、外来の酵素はすべて、代謝を攪乱すると考えて良い。
血液凝固のために働く酵素を分解してしまえば、出血傾向が表れるが、このような見やすい副作用ばかりではない。
仮に、人体から取った酵素であっても、そのような現象が心配されるのに、市販の酵素剤は、人の尿から取ったウロキナーゼ、血清から取ったプラスミン以外は、すべて動植物由来の異種タンパクである。
ある酵素を先天的に欠く人や病気によっては、酵素を喪失する場合がある。
肝臓疾患の診断に、GOTやGPTなどの酵素の血中濃度の検査が行われるが、これはもともと肝臓の細胞内にあるが、膜の損傷や透過性の異常克進のために、溢れて血中に現れる情況を調べるのが目的である。
このような時、肝細胞は、GOTやGPTを失っているのであるから、外からこれの補充ができれば結構なことだ。
先天的に欠損した酵素であっても、病気によって失われた酵素であっても、補充が可能なら心配することはない。
しかし、酵素の補充は全く成功していない。
というのは、外から与えた酵素は細胞外にあって、細胞内の代謝に参加するのを拒否されるのが原則だからである。
酵素療法には、厳として鉄の壁があるのだ。
酵素食品についても、同じことがいえる、と考えるのが正しいだろう。
参考文献
高タンパク健康法 病気やストレスに負けないために
三石巌 (みついし・いわお)
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