人工甘味料は本当に危険なのか?
いわゆる人工甘味料は、食品添加物の中でも最も嫌われているものの一つです。
たとえば現在、最もよく用いられる甘味料のひとつであるアスパルテームは、その認可に際して非常な議論を巻き起こしました。
さまざまな厳しい試験の末に認可され、世界で広く用いられている現在でも、その安全性を疑う声は根強く残っています。
大規模な調査によっても、各種人工甘味料の摂取が、ヒトに糖尿病を引き起こすという証拠は見つかっていません。
逆に、砂糖の摂り過ぎと糖尿病の間には強い関連があることが、今や揺るぎないものになっています。
要するに、今回の実験結果を見て糖尿病を恐れ、ノンカロリードリンクをやめて通常の砂糖入りドリンクを選んだりしたら、まったくの逆効果になる可能性が大きいのです。
人工甘味料に限らず、どんなものも異常に大量に摂取すれば、必ず危険はあります。
「○○は危険」という情報は、どの程度の量を摂取した場合に、何人中何人にどのような障害が起きたかを知らねば、鵜呑みにはできません。
筆者は、2012年頃にアスパルテームは何故認可されたのか?や人工合成甘味料などでこの問題について書いています。
そして7年後の今、人工甘味料の一つであるアスパムテールについての見解を見つけました。
とはいっても、コカコーラ社のサイトに掲載されているものです。
アスパルテームについて、医療と栄養の専門家が知っておくべきこと
著名な毒性学者Bernadene Magnuson先生へのインタビュー
世界各国の何百万人もの人が、30年以上に渡り、甘味料としてアスパルテームを使った食品や飲料を日常的に口にしています。
一方で、その安全性に不安を抱き、摂取を避けている人もいます。
アスパルテームは、タンパク質を構成するアミノ酸であるアスパラギン酸とフェニルアラニンから構成されています。
アミノ酸自体に甘味はありませんが、アスパラギン酸を、メチル基を持つフェニルアラニン分子と結合させると、強い甘さを持つアスパルテームと呼ばれる化合物に生まれ変わります。
アスパルテームの熱量は、他のタンパク質、砂糖などの炭水化物と同じく、1gあたり4kcalです。
しかし、アスパルテームは砂糖の200倍の甘味があります。
わずか250mg(1kcal)分のアスパルテームで、50g(200kcal)の砂糖と同じレベルの甘味が得られるのです。
アスパルテームについても、毒性試験と暴露評価の2つで構成される安全性評価が綿密に行われました。
毒性試験は、終了まで数年かけて実施され、動物実験により、アスパルテームを摂取したときの遺伝子への影響、催奇形性など生殖上の問題を含む健康状態、行動または発達への悪影響の有無が確認されています。
また、アスパルテームがどのように代謝され、体にどのように使用されるのか、という研究も行われています。
動物実験で安全性が確立された後、代謝に関する研究がヒトで行われ、動物実験で得られた知見が実際にヒトのアスパルテーム代謝にも当てはまることが確認されました。
世界各国の食品規制機関はアスパルテームをはじめ、新規に承認されたすべての食物原料に対し、1日に摂取できる量を表す「1日摂取許容量(Acceptable Daily Intake:ADI)」を定めています。
ADIは、一生、人間の健康に悪影響を及ぼさずに摂取できる1日あたりの量を意味します。
米国ではFDAが、アスパルテームのADIを体重1kgあたり50mgと定めています。
つまり、体重が70kg(154 pound)の人が1日に摂取しても安全な量は、3,500 mgとなります。
甘味料としてアスパルテームを使用した清涼飲料には、通常、1杯分にあたる約330mL(12 fl. oz.)中に185mgのアスパルテームが入っています。
ADIを超える量のアスパルテームを摂取するには、成人が1日に清涼飲料を19杯以上、または卓上用甘味料を100袋分も摂取しなければなりません。
アスパルテームの平均摂取量は、ADIよりはるかに少ないのです。
アスパルテームがそのまま血流に入ることはないので、体内組織に蓄積されることはありません。
アスパルテームは、肉などのタンパク質に含まれるアミノ酸を分解する酵素や、熟した果物、野菜やそのジュースにもともと存在するメチルエステルを消化する酵素と同じ酵素によって小腸で完全に消化されます。
これらの酵素によって、アスパルテームはアミノ酸とメタノールに分解され、その後血流に入ります
甘味料としてアスパルテームを使用した清涼飲料水が血流に放出するアスパラギン酸、フェニルアラニン、メタノールの量は、多くの人が想像するよりはるかに少量です。
例えば、ダイエット コカ・コーラ330mL(12 fl. oz.)分のアスパルテーム185 mgを消化すると、フェニルアラニン90mg、アスパラギン酸72mg、メタノール18mgが血流に放出されますが、牛乳240mL(8 fl. oz.)と中ぐらいの大きさのバナナ1本が入ったスムージーを消化すると、フェニルアラニン404mg、アスパラギン酸592mg、メタノール21mgが血流に放出されるのです。
つまり、牛乳とバナナを摂取しても、その分解成分による安全性に問題がないのと同様に、甘味料としてアスパルテームを使用した食品や飲料に含まれる少量のアミノ酸とメタノールも、安全性に問題はありません。
発がん作用に関する広範囲な研究を含め、これほどさまざまな研究が行なわれたのは食物原料の中ではアスパルテームくらいです。
これらの研究の質と量に基づき、世界各国の専門家と規制機関は、アスパルテームには発がん性がないという見解で一致しています。
学習および行動に関する動物実験では、最大で食事の9%の量にあたるアスパルテームを動物に与えました。
これは、ヒトが摂取する平均的な量の約1,000倍です。
しかし、このように大量に摂取したにもかかわらず、学習または行動の神経機能に影響を与えないことが一貫して示されたのです。
アスパルテームは血中インスリン濃度にもグルコース濃度にも影響は与えません。
アスパルテームは糖尿病患者でも使用できる低カロリー甘味料として承認されており、承認に必要な一連の試験の中で、血中インスリン濃度およびグルコース濃度に影響を与えないことが示されています。
アスパルテームは安全です。
アスパルテームを摂取すると毒性症状、発がんリスクの増加、神経学的問題などの悪影響が出るという疑いは、エビデンスによって否定されています。
アスパルテームは大規模な試験と世界各国の規制機関の再評価を受け、小児、糖尿病患者、妊娠中または授乳中の女性を含むすべての人において、安全であると見なされてきました。
アスパルテームを摂取しても、食欲の増進、体重増加、血中インスリン濃度の増加につながらないことは明らかになっています。
アスパルテームの安全性を裏付けるすべての研究があるにもかかわらず、安全性への懸念がなくならないのはなぜでしょうか?
これは難しい質問で、良い答えは見つかりません。
インターネット、電子メール、そしてその他の公共メディアを利用して、アスパルテームやその他の認可された低カロリー甘味料の安全性に対する根拠のない懸念をつくり上げ、広めようとしている人たちがいることは確かです。
何が彼らをそうさせるのかはわかりませんが、これらの安全で有用な製品の使用に対し、多くの人が不安を抱いてしまうことは残念です。
ここで最も気になる点は、じゃあ砂糖の摂取と比べて、どちらがどうなのかです。
血糖値についての視点で言えば、砂糖は血糖値を上昇させ、糖尿病のリスクが大きくなります。
製品として摂取する清涼飲料水で比べる
炭酸飲料500mlには、砂糖が40~65g(角砂糖10~16個分相当)が含まれています。
スポーツドリンクの場合、500mlだと20~34g(角砂糖5~8個分相当)、果汁100%ジュース500mlだと50~60g(角砂糖12~15個分相当)の砂糖が含まれているのです。
世界保健機関(WHO)の指針によると、食事以外で1日に摂取してもよい糖分は1日の総カロリーの5%程度が望ましいと発表されています。
平均的な大人の場合で言えば、25g程度です。
つまり500mlの砂糖入炭酸飲料や100%ジュースを飲んでしまうと、たった1本で1日の必要摂取量を超えてしまうのです。
こうした量の糖分を摂取していると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクは非常に高くなります。
250mg(1kcal)分のアスパルテームは、50g(200kcal)の砂糖と同じレベルの甘味です。
コカコーラ社のサイトには約330mL(12 fl. oz.)中に185mgのアスパルテームが入っていると発表されています。
ということは、500mLでは281mgのアスパルテームが入っていることになります。
1グラムは1000ミリグラムですから、砂糖入りの炭酸飲料500mlには、砂糖が4万~6万5千ミリグラム入っています。
砂糖4万mg VS アスパルテーム281mg !
圧倒的な量の違いです。
米国のFDAの基準では、体重が70kg(154 pound)の人が1日に摂取しても安全なアスパルテームの量は、3,500 mgです。
つまりアスパルテーム入りの炭酸飲料500mlの場合、一日に12本以下の量なら、心配することはないと言っていいでしょう。
毎日12本ものアスパルテーム入り炭酸飲料を飲む人が、現実問題として、果たしてどの程度いるでしょうか。
アスパムテールなどの合成甘味料入りの清涼飲料水と砂糖入りの清涼飲料水が目の前にあるとします。
さて、美味しい炭酸飲料を飲みたくなったとき、あなたならどちらを選びますか?
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