Tokyo Walk
松翁(まつおう)
銀座から車で約15分の距離で、秋晴れの青空が広がる今日のような日は、ドライブがてら出かけるのに、ぴったりのロケーションだ。
場所は明治大学の裏手でちょっと分かりにくいが、こういうときのナビはすこぶる便利。
突き当りが明治大学の裏手。
写真右側にある手前の道を入ると店は左側に位置する。
左側にある会社の駐車場が目印。
パーキングメーターがあちらこちらにあるため、少しウロウロすれば止める場所は見つかるので、車でもそれほど不便な場所ではない。
こういう日は幌を上げたり下ろしたりと忙しいが、50キロ以下なら走っていても上げ下ろしができるのはすこぶる便利だ。
左ハンドルは、こういうパーキングメータを使う場合、左に寄せると降りられなくなるのが不便。
移転する前の「松翁」へは池波正太郎が、山の上ホテルにこもって執筆しているときに時折訪れていたといういわくつき?の蕎麦屋だ。
表のひっそりした地味な雰囲気にしては中は広め。
ちょっと遅めで12時半ごろになったのだが、空いていたのはちょっと意外だった。
ウェイトレスである二人のおばちゃんと常連と思しき人との会話によると、こんなに天気がいいのに暇なのは珍しいという。
奥から見た入口側
店内は少し雑然とした感じで、カウンターの上にズラーっと貼ってある手書きのメニューのせいもあるのだろうね。(笑)
まあ何というかとても庶民的な雰囲気。
奥に位置するのが、ガラス張りになっている手打ち台で、客席から見えるようになっている。
つまみや日本酒の種類が多いのが特徴で、おばちゃんは黙々と作業をこなすという感じの接客で、まあ店の雰囲気とあっているとはいえるだろう。
メニューは、ざるそば(850円)といくつかの日替わり蕎麦があり、けんちん汁とのコンビネーションでは1300円。
まあ一般的な街の蕎麦屋のスタンダードなメニューだといえるだろう。
まずは冷奴とゆばを注文したが、湯葉は普通冷やしてあるのだが、ここのは暖かく湯気が出た状態で供されるが、とてもおいしい。
街の蕎麦屋として考えると全体に値段はちょい高めだが、この手の「うまいと定評のある蕎麦屋」としては平均的な値段だろう。
だが味は一流だ。
これは芥子(けし)、つまりアンパンにかかっているゴマのような「けしの実」を混ぜ混んだ蕎麦と生粉打ちの二色蕎麦で、更科の麺の中に刻んだ芥子が見える。
麺はやや細めのクリーム色で表面は滑らか。
麺の太さもよく揃っている。
噛むと弾力があり腰のある心地よい歯ざわりで、喉越しもボソボソしていなくてツルツル感とのバランスがいい。
つけ汁は濃い目と薄い目を選択することができるので、カミサンとひとつずつを頼む。
どちらもカツオの香りの漂い昆布で足場を固めた味で決して醤油辛いわけではなく、上品な濃さで、麺との相性もいい。
蕎麦湯は鉄瓶に入りで、白くてトロリとした濃い目な蕎麦湯なので、出汁の香り強いつゆに入れるとまたこれが絶品。
お試しあれ。
この「けんちん汁」は、最初ここへ来たときに、隣にいた少々下品な食べ方をする常連らしきオッサンがうまそうに食べていたので注文したのだが、これがなかなかのもの。
これだけの蕎麦屋で「けんちん汁」があるというのは、ちょっと珍しい。
単品で400円、二色蕎麦とのコンビネーションでは1300円。
で肝心の蕎麦だがカミサンの現時点の評価ではナンバーワンの、三日月(みかづき)に並ぶランクの水準で、庶民的な蕎麦の味としては最高位にランクされると思う。
食べ終わった後の満足感は非常に高い店だ。
ただちょっと残念なのは店の店の雰囲気や、ウェイトレスのサービスに神経が行き届けば超一流になれるのにという点である。
オーナーの気配りがもう少しあれば・・と。
でもこの気を使わない雰囲気がいいのだと言われれば、それもまた納得。
まあこれだけの味の蕎麦を食べさせてもらって、文句を言ってはバチが当たるかもしれないね。
余計なお世話でした。(笑)
(2005/11)
東京都千代田区猿楽町2丁目1−7
03-3291-3529
11:30-15:30 / 17:00-20:00 (土曜-16:00)(日祝休)
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