米国経済は、既に思っている以上に悪い、という声が聞こえるようになった。先週金曜に発表された第3四半期GDP(国内総生産)は、予想された+2.1%を下回る+1.6%、という結果だった。これだけでも冷えこみを見ることができるが、実際の数値は、+1.0%に満たないという。 アライアンス・バーンスタイン社のエコノミスト、ジョー・カーソン氏はこう語っている。「今回の報告で際立って目立つのは、26%増の自動車生産量です。この数字を除くと、GDPは発表された+1.6%ではなく、+0.9%になります。 既に、ゼネラルモーターズ(GM)とフォードモーター(F)は減産が実施されていますが、それにもかかわらず、なぜ生産量が増えたのでしょうか?答えは、スポーツ用多目的車(SUV)や小型トラックの卸売り価格が下がり、各自動車メーカーは売れ残った2006年型モデルを、いっ...
今週の経済カレンダーは忙しい。注目されるのが、金曜に予定されている10月分の雇用統計だ。非農業部門新規雇用者数は+12万5000、失業率は4.6%、そして平均時給は0.3%増が予想されている。予測されたとおりの結果なら、株式市場は極端な動きをすることはない。しかし、インフレ懸念を再発させるような数値、具体的には失業率が4.5%に下がり、平均時給が0.5%以上の伸びなら、金利引き上げ支持者たちの声が大きくなるだろう。 「2007年度の金利動向ですが、この予測がなかなか難しいのです」、と言うのは経済コラムニストのジム・ジューバック氏だ。「米国経済が、予想以上に悪くなったとしましょう。たとえば、GDP(国内総生産)が1.5%以下の成長率に落ち込み、不況の確率が濃厚になれば、とうぜん連銀は金利引き下げを実施します。現に、国債市場は、このシナリオを織り込んでいます。逆に、アメリカの経済が、予想以上に...
IQは知能指数。それでは、あなたはEQをご存知だろうか?EQ?これもIQのように頭文字を取ったものだが、EはEmotional、そしてQはQuotientだ。直訳すれば、「感情指数」、ということになる。「EQを確かめることで、自分が本当に株や先物のトレードで成功できるかを知ることができます」、とベテラン・トレーダーのジョー・ロス氏は言う。話の一部を紹介しよう。 感情指数は、いくつかの要素で構成されるが、先ず挙げたいのは自己動機付け(セルフ・モチベーション)だ。トレードで成功するには、プラス思考が要求されるから、モチベーションも前向きなものでなくてはいけない。正しく自己動機付けをするには、自分を信じることが大切だ。どんなに必死に動機付けをしても、悲観的思考を捨てることができなければ、トレードで成功することは難しい。 暗い方向ばかりに目が行く人は、...
イギリスの童話、「3匹のクマ」に登場する主人公は、ゴルディロックスという名前の女の子だ。そして現在、アメリカが経験しているのは、ゴルディロックス経済だ、と言うアナリストが多い。これは良い状態なのだろうか、それとも心配した方がいいのだろうか? 話を忘れてしまった人のために、簡単な復習をしよう。森で道に迷った女の子(ゴルディロックス)が、クマの家を見つけた。(単に散歩していただけかもしれない。)中に入ると、テーブルの上には三つのスープがあった。(スープではなく、オートミールという訳もある。原語はporridge) お父さんクマのスープは熱すぎる。お母さんクマのは冷たすぎる。しかし、子どものクマのスープは丁度よかった。どうだろう?話を思い出されただろうか?ということで、ゴルディロックスちゃんは、子どものクマのスープを飲んだ。 途中を飛ばして結末に進もう。女の子は眠くなったので寝室へ行くと、三つの...
「風邪をひいてしまったので、おとなしく休むことにしました。ちょうど良い機会だったので、もう一度「欲望と幻想の市場、伝説の投機王リバモア」(エドウィン・ルフェーベル著)、を読んでみることにしました」、と投資アドバイザーのマイケル・ナイストローム氏は切り出す。相場師リバモアをモデルにした小説だが、意外とテクニカル分析の本質を学ぶことができるらしい。ナイストローム氏の話に戻ろう。 「味気の無い教科書が嫌いな人でも、この本なら楽しく読めることでしょう。トレンドライン、抵抗線、サポートレベル、といった言葉は出てきませんが、それらのコンセプトが、様々な状況の中で語られています。小麦相場のエピソードでは、1ドル20セントを超えたら直ぐ買えば儲かる、と主人公は強調し、ブレイクアウトの手法が説明されています。 この小麦の話と、最近12000を突破したダウ指数には...
四つに組んだら手ごわい相手に、まわしを取らせるわけにはいかない。できれば、立ち上がりから突っ張って、そのまま押し出してしまいたい。勝負の世界では、対戦相手の長所短所を調べることが必須だ。株も勝負の一種だから、とうぜん敵を研究する必要がある。 さて、皆さんが株を買う場合、いったい誰が敵なのだろうか?デイトレーダーのミシェルさんが、こんな話をしている。「私の知っているデイトレーダーですが、勝率95%という、すならしい数字の持ち主がいます。しかし、彼には不思議な癖があるのです。 こんなことができるのは、たぶん豊富な口座資金が関係していると思いますが、とにかく彼は信じられないことをします。思惑が外れたら、即座に損切るのがトレードの掟ですが、彼はよほどのことがない限り、損切りをまったくしないのです。買った場合なら、下がるたびに買い足して、下げ止まるまで執...
単に避けられている銘柄を狙うのではなく、徹底的に忌み嫌われている株を買え、と経済コラムニストのジム・ジューバック氏は言う。ただし、条件が一つある。買うのは、今直ぐではなく年末まで待つこと。もう少し、氏の説明を聞いてみよう。 「2004年にも同じやり方で、10銘柄を勧めましたが、先ず結果を見てみましょう。投資期間は2004年12月15日から、2005年の12月15日までです。この間、S&P500指数は6%の伸び、そしてダウ指数は+2%でしたが、勧めた10銘柄は平均で14.9%の上昇でした。 買った10銘柄は、Charles Schwab(SCHW)、Hasbro(HAS)、Interpublic Group Of Companies(IPG)、Merck(MRK)、MBNA(バンク・オブ・アメリカに買収されました)、Nokia(NOK)、Reyn...
ヤフー(YHOO)はもう見込みが無いのだろうか?1月9日、43ドル66セントだった株価は、現在たったの23ドル21セントだ。ここまで下がったのだから、そろそろ買えそうだ、と思うかもしれないが、10月に入ってから、ヤフーを格上げしたアナリストは一人もいない。 たとえば、10月20日、スタイフェル・ニコラスのアナリストは、ヤフーを「買い」から「ホールド」に格下げ。10月18日、ドイツ銀行は、目標株価を25ドルから24ドルに引き下げ。同18日、UBS証券は、36ドルだった目標株価を33ドルに下方修正。更に同18日、パイパー・ジャフレーも株価ターゲットを引き下げているから、これでは投資者も足がすくんでしまう。 アナリストの悲観的な意見が18日に集中した原因は、前日の決算発表が大きな原因だ。たしかに予測されたとおりの結果だったが、第3四半期の収益は、去年...
17回連続の、金利引き上げ最後の日は6月29日だった。8月8日、そして9月20日の連邦公開市場委員会では、金利が据え置かれたが、もちろん、もう二度と連銀は引き上げをしない、と断言することはできない。しかし、こんな事実を経済コラムニストのチェット・クリヤー氏は指摘する。「6月29日から今週までを振り返ってみると、S&P500指数は7.9%の上昇です。低迷が長かったナスダック指数も、7.7%ほど上げています。」 上昇しているのは株だけではない。クリヤー氏によれば、6月の終わり、5.25%の利回りがあった10年物国債は、現在4.75%から4.8%で推移している。利回りの下降は価格の上昇を意味するから、国債も株と同様に好調だ。 「連銀は、うまくインフレを抑制しています」、とINGインベストメントのダグラス・コーテ氏は言う。水曜日に発表された、消費者物価指数の9月分は、オイルやガソリンの値下がりが反...
膨大な損を出した、アマランス・アドバイザーズから、私たちは何を学ぶことができるだろうか?コネチカット州に本社を置くアマランスは、エネルギー市場専門のヘッジファンドとして、優秀な成績を上げていたが、天然ガス投機に失敗して60億ドル以上の資金を失った。 ここ10年間、ヘッジファンド業界の成長には、目をみはるものがある。現在8000あまりのヘッジファンドがビジネスを展開し、運用されている総資金は1兆2000億ドルを超える。成績の方は、決して全てがずば抜けたものではないが、ほとんどのファンドは、商品市場やエネルギー市場に資金を移すことで、株のベアマーケットをモロにかぶることはなかった。 推定によれば、最近2年間で約25%のヘッジファンド資金が、エネルギー市場に流れ込み、これがオイルやガソリン価格を大きく押し上げる一因になったことは間違いない。高いガソリ...
トレードの本は、本当に役立ちますか?113人に、トマス・ブルコースキー氏(投資家)は尋ねた。92%が助けになった、と回答し、フレッドさんはこう語っている。「先ず、インターネットで徹底的に調べました。書評を読むだけでなく、読者の感想も参考にしました。その結果、良さそうな本だけ買いました。」レジナさんは、「トレードを真剣に考えている人なら、本を読むのは当たり前です。何の勉強もしないで、いきなりトレードすることはギャンブルと同じです」、と述べている。 冗談まじりに、トムさんはこんなことを言う。「ありとあらゆる本を読みました。しかし、読む本を間違っていました。私が買ったのは、テクニカル・アナリシスの本ではなく、ファンダメンタルズに関するものばかりでした。おかげで、会計士に負けぬ知識が身につきました。」 次の質問は、ブログは役立ちますか?65%の回答は、...
騒々しいだけで内容が無い、とセンセーショナルなジャーナリズムを批判するのは、フール・ドット・コムのセス・ジェーソン氏だ。「ダウ指数の高値更新が執拗に報道されました。まるで偉大な記録が樹立されたように聞こえますが、全く意味の無い数字です。単に数値を比べるだけなら、たしかに新記録ですが、インフレを考慮すれば、今日のダウ水準は2000年1月のレベルを10%ほど下回っています。」 明らかに、最近の経済ジャーナリズムを苦々しく思うジェーソン氏だが、マスコミを株投資に利用することができる、と氏は言う。話を続けよう。 「覚えておいてほしいのは、経済ジャーナリストの目的は、情報を提供して投資者を助けることではありません。彼らが一番興味があるのは、刺激的なヘッドラインを利用して、私たちをニュースに引き込むことです。最初から、投資判断に役立つ情報の提供は考えていま...
なぜ、ヤフーは下げているのだろう?なぜ、スターバックスは買われているのだろう?「人々は、「なぜ」を気にしすぎます。株投資での成功に、「なぜ」はどうでもよいことです」、と言うのはテクニカル・アナリストのジョン・マーフィー氏だ。 ご存知のように、テクニカル・アナリストは、売上、一株利益、キャッシュフローなどの要素は分析に一切使わない。チャートと指標だけが頼りだから、多くのデイトレーダーやスイングトレーダーは、テクニカル・アナリストの意見に耳を傾ける。 テクニカル・トレードはテクニカル分析を基盤にした売買方法だが、これには10の基本ルールがある、とマーフィー氏は言う。いくつか見てみよう。 1、トレンドの確認 先ず、月足チャートや週足チャートを使って、ここ数年間のトレンドを確認しよう。それが済んだら日足チャートで中期...
AP通信の報道によると、大手証券会社モルガン・スタンレーは、積極的にニューヨーク・タイムズ(NYT)を買っている。既に集めた株数は全体の7.62%に相当し、7月は6.6%の比率だったというから、真相はさておき、とにかく買ってみよう、と個人投資家たちも動き始めた。 割安を理由に、モルガン・スタンレーはニューヨーク・タイムズを買っているようだが、ここで週足チャートを見てみよう。 全体的な流れは、矢印の方向が示すように下向きだ。しかし、7月の終わり頃から横ばい状態になり、AP通信などの報道がキッカケになり、NYTは今週このレンジから飛び出た。それでは日足チャートに移ろう。 木曜の大陽線の高値を抜いたら買ってやろう、という強気なやり方もあるが、ストキャスティクスは買われ過ぎゾーンだ。上昇する短期...
「単なる偶然だろうか、と疑ってみたくなりますが、この際それは考えないことにします」、と切り出すのは、経済コラムニストのローリー・クリコースキー氏だ。ことの発端は、あるアナリストが発表した格下げなのだが、氏の話を続けよう。 「バンク・オブ・アメリカのアナリスト、マイケル・ヘクト氏は、オンライン証券会社、アメリトレード(AMTD)の格付けを「買い」から「ニュートラル」に引き下げ、目標株価を20ドルちょうどに設定したことを10月6日に発表しました。この格下げ発表は、バンク・オブ・アメリカが関係者を驚かすことになるニュースを出す5日前です。 10月11日、全米で第2位の巨大銀行バンク・オブ・アメリカは、一定の条件を満たした預金者に、株取引手数料ゼロを実施することを発表しました。全く予期されなかったニュースですから、オンライン証券会社の株が売られ、アメリ...
好調なマーケットだ。テレビでは、ダウが史上初めて1万1900ドルを突破した、とやや興奮気味に報道している。歴史的に、第4四半期の相場は強い、などと付け加えるから、ますます買い手が強気になってしまう。押し目を待つ投資家には嬉しくない展開だ。 それでは、どんな事が起きたら投資者たちは考えを一変させるだろうか。ビジネス・ウィーク誌が指摘する、いくつかの材料を見てみよう。 1、住宅市場 今年、住宅セクター指数は既に17%の下落だ。連銀のバーナンキ議長によれば、住宅市場の低迷は米国経済の成長率を1%減らすことになる。問題なのは、住宅市場が予想以上に悪くなった場合だ。ゴールドマン・サックスの、エド・マッケルビー氏は、こう述べている。「私の見方はアナリストの中でも悲観的な方ですが、現在の住宅市場は、既に予想以上に悪い状態です。」 投資戦略家(チャールズ・シュワブ)のリズ・アン・ソンダース氏は、「住宅市場...
サイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル・コープ(SAI)が株式市場にデビューする。最終的な公募価格は木曜に決定され(予想は13ドルから15ドル)、そして翌日金曜が初取引だ。幹事証券会社はモルガン・スタンレーとベア・スターンズ、合計で7500万株が発行される。 なぜ注目されるのか?5年前の9月11日以来、テロリズムがアメリカ人に現実の問題となった。テロリストに対抗するには、正確な情報収集が必要になり、そのためには最新のテクノロジーが要る。そんな要望に応えるのが、サイエンス・アプリケーションズ・インターナショナル・コープ(SAI)だ。 テロ対策(カウンターテロリズム)、企業の機密保持、密輸発見などに使えるソフトウェアやハードウェアの開発だから、SAIの主な収入源は米国政府機関だ。ザ・ストリート・ドット・コムによれば、SAIの技術はロッキ...
ヘッジファンドの黄金時代は終わった、と経済コラムニストのデービッド・ワイドナー氏は言う。「先ず、カン違いしてほしくないのは、私はロン・インサナ氏を侮辱しているわけではありません。株式番組のコメンテーターとして、氏の冷静な意見は、多くの視聴者に有益であったことは間違いありません。しかし、インサナ氏がヘッジファンドを始める、というニュースを聞いた今日、投資者はヘッジファンドから資金を引き上げる時が来たように思われます。」 最近では、天然ガス市場で大きな損を出したアマランス・アドバイザーズが話題だが、ヘッジファンド・リサーチ社の報告によれば、2005年1月以来2600の新ヘッジファンドが誕生している。いくら何でも異常な増え方だ。ワイドナー氏の話に戻ろう。 「株式コメンテーターが本業を離れてヘッジファンドを始めるのですから、今の証券業界は、お祭り気分にひたっています。もち...
天然ガス市場で60億ドルにおよぶ大損を出したヘッジファンド、アマランス・アドバイザーズとは対照的なのが、ヒューストンに本拠地を構えるケンタウルス・エネルギーだ。ファンドマネージャーは、今年32才のジョン・アーノルド氏、ここまでの成績は+200%だから、間違いなく投資者は喜んでいることだろう。 エネルギーを専門に投機するケンタウルスだから、もちろん天然ガス市場にも参入している。「ケンタウルスは、アマランスの危機を感知していたと思います。ですから、苦しくなったアマランスのポジションを分析して、天然ガス市場で多大な利益を得た可能性があります」、とエネルギー・コンサルタントのアート・ゲルバー氏は言う。 2005年度も、ケンタウルスは優秀な成績を残している。この年、サイタデル・インベストメント・グループやリッチー・キャピタルがエネルギー市場で失敗している...
新高値を達成したダウ指数、S&P500も5年半ぶりの高値だ。「乗り遅れた!」、と悔やんでいる投資者に、「ベータ」の利用を勧めるのは、経済コラムニストのジム・ジューバック氏だ。「この調子で行くと、第4四半期も健全なラリーが期待できそうです。皆さんは、十分にベータを活用していますか?」何の事だろうか?ジューバック氏の話を続けよう。 「もし皆さんも私のように強気な見方なら、今こそベータを再検討する良い機会です。株の世界に、100%確実なものはありませんが、ベータを活用することで、次のマーケットラリーに乗り遅れることを防ぐことができます。繰り返します。あなたのポートフォリオがベータ不足なら、またラリーを逃すことになるでしょう。 さて、ベータとは何でしょうか?近代の金融理論によれば、投資ポートフォリオは、二つの要素に影響されます。先ず、ベータと呼ばれる、マーケット...
1987年、10月19日、投資家には忘れることのできない日だ。黒い月曜日、ダウ指数は508ポイントの暴落となり、一日で23%の価値を失った。「引っ切り無しに電話がかかってきました。泣いている人もいました」、と当時証券会社に勤務していたリンダ・ネイラー氏は言う。 暴落の時のように、センセーショナルな報道はされなかったが、2000年から約2年続いたベアマーケットも嫌な思い出だ。5000ドルを超えていたナスダック指数は1200ドルを割り、多数の口座が被害を受けた。特にひどかったのがインターネット銘柄だ。倒産する会社も続出したから、全資金を失う投資者も珍しくなかった。 「大きな損を出すのは、とてもつらいことです。しかし、現に株式市場には、良い時と悪い時の周期があります。私たち投資者にとって重要なことは、厳しい環境に耐えることができる準備をしておくことです」、とフ...
どちらを信じたらよいのだろうか?高値を更新した株式市場を信じるなら、アメリカ経済は急激な後退に陥ることなく、安定成長が期待できる。しかし、相変わらず短期金利を下回る国債は不景気を予測している。どちらが正しいのだろうか?経済コラムニスト、キャロライン・バウム氏の意見を聞いてみよう。 住宅市場が最盛期を過ぎた今日、いまだに明るい材料は企業収益だ。第2四半期の成長率は、前年度同時期を18.5%上回り、最近4年間の平均成長率を、やや超えている。更に、2001年の不景気時代から計算すれば、GDP(国内総生産)は29%の伸びにすぎないが、企業収益は二倍に膨れ上がっている。 「企業収益は、米国経済の方向を決定する重要な指標です」、とエコノミストのゲール・フォスラー氏は言う。「アメリカが不況に陥る前には、企業収益の下降が3四半期から7四半期連続で起こります。ですから、現状を見る限...
S&P500指数と、ファンドマネージャーの成績がよく比較される。S&P500が+8%、そしてファンドマネージャーが+15%なら、優れたファンドマネージャーだ。だから、たとえ年間で5%の損を出しても、S&Pがマイナス7%なら、優秀なファンドマネージャーという評価を得ることができる。 「問題なのは、多くのファンドマネージャーが、S&P500指数を上回る成績を、コンスタントに上げることができないのです」、と語るのは経済ジャーナリストのトーマス・コスティジェン氏だ。もちろん、これは新しいニュースではない。時おりマスコミは、半分冷やかしで、冴えないファンドマネージャーの成績を話題にしているから、投資者たちはS&P500を破ることの難しさは承知している。 しかし、プロに任せるのだから、やはり優れたリターンが欲しい。ファンドマネージャーも、良い成績を残さなければ投資者に逃げられ...
「1990年3月、60万ドルちょうどで家を買いました」、とエコノミストのベン・スタイン氏は言う。場所は海岸で有名なカリフォルニア州のマリブ、2年間あちこち探し回って決めたようだ。「90年といえば不動産が大人気でした。5年前は30万ドルほどの物件でしたが、場所が場所だけに、たとえ不動産人気が衰えても、たいした値下がりは無いだろう、と楽観していました。」 運が悪いことに、氏が家を買った一カ月後から住宅市場の下げが始まった。「暴落の中の暴落、そんな表現がされたくらいですから、タダだ、と叫んでも引き取る人はいません。購入してから3年後、物件の価値は35万ドルまで下げていました。全く絶望的な状態でしたが、また不動産ブームがやって来ました。2005年、物件はなんと180万ドルになったのです。そして2006年、住宅市場の冷えこみが顕著になり、もはや180万ドルは夢の値段になりました。」...
「愛されすぎた株は避けるべきです」、と言うのはシェイファーズ・インベストメント・リサーチのクリス・ジョンソン氏だ。先週、ビジネス・ウィーク誌のインタビューで語られた言葉だが、マイクロソフト(MSFT)、インテル(INTC)、そしてアップル・コンピュータ(AAPL)などの大型株が、氏の警戒リストに入っている。インタビューの要点を記そう。 「二回連続の金利据え置きで、マーケットは既に上げが始まっていますが、こんな状況でも慎重に調べれば、買える銘柄はいくつかあります。アップルが買えない理由ですか?今日のアップルには、2年前のような革新的アイディアがありません。これが決算に反映されるのは、時間の問題だと思います。 最近のマーケットは、特にダウ指数が、とても好調です。長期、そして中期サポートレベルから跳ね返り、見事なラリーを展開しています。2回の金利据え置きで、多くの投資者...
瞬時突破する場面もあったが、ダウ指数は三日連続で高値を更新することができなかった。たった30銘柄で構成される指数だから、もちろん、マーケット全体を反映しているわけではない。現に、S&P500指数が2000年のレベルに復帰するには、まだ16%の上昇が必要であり、ナスダック指数は2倍以上にならなくてはいけない。 10月のマーケットが始まる。米国経済は、過去3年間のような成長が望めなくなり、ソフトランディングが濃厚になった。「経済は過熱することなく、ゆっくりとした成長になるでしょう。金曜日に発表される雇用統計にも、それが確認できるはずです。金利引下げの時期はまだですが、連銀は金利据え置きをしばらく続けると思われます」、とUBS証券のモーリー・ハリス氏は言う。 最近、オイルやガソリン、それに長期金利が下がっている。ビジネス経営者や消費者には嬉しいニュースだが、ハ...
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