2000 0407-
マークとの出会い
もしマークがいなかったら、僕はトレードを続けていなかっただろう。
だからといって、彼と抱き合ったり、小突きあったりする必要はないけれどね?(笑)
ともかく、僕はあるデイトレードのフロアで、一人のトレーダーとしてトレードを始めた。
そこでは、1/4ポイントまたは1/8ポイント、さもなければほんの少しでもいいからポイントを獲って脱出するという方法を奨励していた。
それを教育と呼べるかどうかはともかく、あの頃彼らが教えていたやり方は、「マーケットメーカー達がBIDサイドに現われ、ティッカーがグリーンになって上向きになり、つまり強くなったら、飛び乗って1000株を買って、少しの利益を出す」・・これを繰り返すというものだった。
これで一体何がわかるというのか?
もし彼らが教えてくれたこの方法で稼げるのなら、これをやるしかないよね。
確かに、金は稼げていたようだ。
でもそれは僕じゃなかった。
だからといって、フロアにいる「仲間の誰か」でもなかった。
フロアにいた、「いい奴ら」は、みんな打ち砕かれ、そしてフロアを次々と去っていった。
そのうち、フロアのトレーダー達が不安げに囁き出した。
「おい、どうだった?」
「ダメだ、じゃ、おまえは?」
「ダメ」
「それじゃ、おい、おまえは?」
「俺はだめ・・」
「お前こそどうなんだ?」
コンスタントに利益を上げている誰かを見つけるなんてことは、とても難しい状況だった。
同級生達は、ひとりずつ、まさに絶滅寸前の生き物のようになっていった。
ほとんどのものが脱落し、1997年の香港マーケットの暴落で、僕はそのゲームから、弾き出されてしまった。
季節は秋になり、僕も枯葉のように、落ちてしまった。
僕は意気消沈し、自分自身に失望してしまった。
少なかったけれども持っていた大事な遺産を失って、ひどい気分だった。
家族と、それに自分自身をもがっかりさせてしまった。
底値で売り払い、僕自身もどん底だった。
唯一失わなかったもの・・それはこうした決断ができたということだけだった。
「どうしてなんだ?」
いわゆる、デイ・トレーダーとしてトレードをするまでは、スイングトレードで利益をあげていたからだ。
銘柄の上げ下げを見極め、狙いを定めて買ってから、数日から数週間でポジションをクローズするというやり方で、いままで成功してきたのだ。
そうしてやってきたのだ。
それなのに、どうしてなんだ?
いろいろなサイクルを研究することで、その答えを出せると信じ、トレードで利益を出すことが可能なパターンをつかむまで、トレード用スクリーンの前に毎日座り続けた。
そのためには、さらに時間が必要だった。
しかし考えも尽き果ててしまい、危うくカミサンに心臓麻痺を起こさせるところだった。
そしてついに、そのトレードフロアの会社で、働くことにした。
誰かがこうした問題を、解決しなければならないと考えたからだ。
誰かがだ。
だけど、それは誰なんだろう?
それは、マーク・モンゴメリーだった。
運が向いてきた。
マークは時々、フロアのプレッシャーから逃れるため僕のオフィスに立ち寄ることがあった。
マーケットのこと、変なトレーダーのこと、その日の天気など他愛ないことを話すうちに、ある日、マークは僕に彼のトレードについて話してくれたのだ。
というより、それを見せてくれたのだが。
「ちょっとこれを見てみろよ。こいつをここで買って、トレンドラインに沿って、ここで仕留めたんだ。大体2000ドルくらい儲かったよ。」
「本当なのか?」とチャートを見ながら答えた。
「でも、どうしてわかるんだ?」
「100%確実にわかるやつなんてどこにもいないよ。ただ、あがるだろうという確率が高かった。だから買ったんだ。」
「すごいなぁ・・」
「そろそろ行かないと・・フューチャーが動きだしたみたいだ。じゃぁな。」そう言うと、彼はいなくなってしまった。
「もう少しだったのに」・・馬鹿だなあ俺って!
「もう少し長くオフィスに居させる方法を考えないとなあ・・・」
次の日のランチタイム、カミサンが作ってくれたサンドイッチをかぶりつこうと、していたとき、いつものようにマークがオフィスへやってきた。
僕は彼がサンドイッチを見て、生唾を飲み込むのを見逃さなかった。
これで十分だ。
僕はデスクが汚れるのも気にせず、急いでそのミートローフサンドイッチを半分にちぎった。
レタスが「たらーん」と垂れ下がったサンドイッチは、まるで最後のチャンスに必死にしがみつこうとしている僕自身のようだった。
「半分どうだい?」
「いいよ、悪いから。」マークはそういいながらも、手はその半分を、しっかりとつかんでいた。
「本当にいいのかい?」
「もちろんさ」と、僕は人生最大最高のトレードに成功したことを実感しながら、そう返事したのだった。
マークはサンドイッチをほおばりながら、スクリーンへ近づき「ジェス。俺が今朝したトレードを、見てみようか」とそのトレードのメカニックについて説明をはじめた。
全てを説明し終わって、彼はコンピューターを軽くたたきながらこういった。
「俺は、こいつを単なるトレード専用マシーンだとは思えないよ。俺にとってはキャッシュマシーンなんだ。毎朝ここへ来ては、お金を取り出す・・おっと、もう行かなきゃ。」
フューチャーが動き出しそうだった。
「サンドイッチ、ごちそうさま!」と言い残して、行ってしまった。
それが僕達のスタートだった。
サンドイッチを半分しか食べられなかったからその日一日、腹が減って仕方なかったけど、彼だって同じだったろう。
僕が翌日、二つのサンドイッチを持って出勤したのは言うまでもない。
次週のコラムでは、最近のマークのトレード、これは過去最大のダウンサイドで116ポイントを獲ったトレードだが、それについて説明しようと思う。
どうして彼がそれを選んだのか、そしてその裏に隠れている心理についてのプロセスとは何か・・・
マーケットをマークしろ。
それが真実だ!
それではまた来週!!
by John H. Jessum
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