セミナーでは、いわゆるテクニカル分析により、チャートを解析し株価の動きを予測する方法を中心に、説明している。
もちろん、筆者が実際のマーケットでのトレードを続けてきた経験も、加味した内容になっている。
このチャートというのは、株価だけを表わしているのではない。
株価チャートというのは、もちろん過去の値動きの軌跡なのだが、それだけではない。
言い換えれば売買する人の、心理状態の結果の軌跡ともいえるのだ。
人間の心理というのは、いつの時代も、また、肌の色や、国籍や、教育水準、話す言葉の違いにも関係なく不変だ。
その心理を反映しているのがチャートなのだから、チャートが、あるセオリーのもとで動いているという考えは、充分納得できることであり、また実際にそうなっていることはすでに、多くのプロフェッショナルトレーダーが検証している。
たとえば、株価が高くなってきたところでは、すでに安いところで買っている人はそろそろ、売りたいと思うはずだ。
一方、まだ買っていない人は、そろそろ買わないと、儲け損ねるのではないかと考え、買いたいと思うはずだ。
そこには、売り手と買い手が混在する。
こうした心理状態のトレーダーと、チャートを見て冷静に判断しているトレーダーの比率というのは、果たしてどれくらいだろうか?
多分、95%以上の人は、きちんとしたチャート分析をすることなく、単に上がってきているチャートを見て、先ほど説明したような心理状態でトレードをしているはずだ。
つまり、ほんの一握りの、トレーダーだけがきちんと分析して、大きな利益を上げているというのが現実だ。
トレードとは、「大バカ者を見つけて相手をする」という、素晴らしい芸術なのだ」という言葉がある。
大事なのは、「大バカ者」側にいるのか、それともその「大バカ者」を見つける側にいるのか、ということではないだろうか。
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セミナーでよく聞かれる質問として以下のようなものがある。
みんなが、このセオリーで同じように売買するとマーケットはどうなるのか?
みんなが儲かるようになったら、株式市場はどうなるのか?
テクニカルのセオリー通りにマーケットが動くようになるのか?そうすると、現在よりもより高い精度で値動きを予測できるのではないか? などなど・・
株式市場へ投下される資金は長期投資よりも、短期投資の割合が増える傾向にあり、そのため短期の資金を運用する、いわゆるテクニカル派と呼ばれるタイプのトレーダーが、市場に多く参入することになる。
例えば、インターネットが普及するにつれて、このサイトの情報が広まり、多くの人が、同じようにチャート分析をしながらトレードをすることになるのではないかと考えられる方がいらっしゃっても不思議ではない。
チャートを見たからといって、私と全く同じような分析をする人の数はそう多くないだろうし、その人が同じタイミングで、同じ銘柄を買うというような確率は、それほど大きくはないはずだ。
もちろん、これが買いだ!というように掲示板に書けば、買う人は増えるだろうが、よほど発行株数の少ないものを、示し合わせて買うとかしない限り、株価に影響を与えることはできない。
たとえばマイクロソフトのような銘柄を、少々の個人投資家が買ったとしても、それが及ぼす影響というのは、微々たるものだ。
ここにとても面白い例をあげておこう。
トレードフロアで、2001年2月28日に起こったことなのだが、間違ってITWOを40万株ショートした例だ。
これは特殊なブローカー用のマシンで、ジェスが間違って400株をショートするつもりが、デフォルトの100株のうえに400を付け加えて、合計40万株を間違えて執行したわけだ。
これは3分チャートだ
次に1分チャートも表示 ↓
ショートのタイミングとしては、なかなかいい線を行ってるので、そのままショートして置けばよかったのに・・
とフロアでは、盛り上がったが、本人は青くなっていた。(笑)
もしショートしていれば、1億円くらいの利益を上げられたはずだが・・
しかし、これは間違い。目の前で次々とパーシャルフィルで執行されるのを見て、大慌てでカバー。
だがカバーまでの間、2,3分はかかっていたようなのだが、1分チャートを見てもそれほど、大きな株価の変化は見られない。
金額で言うと約定代金は約 11.5 億円!
もちろん普通個人の口座にはそんなにはないから、もし利益を出しても、マージンコールが来るはずで、払えなければ口座はクローズ。
口座はクローズされても、口座で上げた利益分は取られないから、1億円と引き換えのクローズだと悪くない?
というように、うまくはいきませんからね。(笑)
話が、脱線気味になったので元へ戻そう。
上記の例を見てもわかるように、個人が少々の株数を買っても全体のボリュームが大きい通常の銘柄では、全く影響がないといってもいいだろう。
短期のDTなら、保有期間は長くて数時間だろうし、売るタイミングというのは、バラバラのはずで、こうした売買の条件を考え合わせると、こうしたテクニカル分析でのトレードがチャートに及ぼす影響というのは、株価を大きく動かすほど、影響を与えるものではないといえるだろう。
マーケットに参加する個人トレーダーの95%以上の人は、チャート分析によるトレード方法ではトレードをしていないのだから。
さらに、その中から正しい判断ができてそれを実行できる人というのは、やはり少数でしかないだろう。
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