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0130 Tues.

自閉症と磁気シャワー

日経サイエンスに、ミラーニューロンという特殊な脳細胞システムの関連記事があったので、その内容をまとめながらの、いわゆる自分用メモ日記。

息子は自閉症で現在毎日障害者専用の施設へ通っている。

通常「障害者」と認定される(身体障害者手帳を持つ)人の割合は全人口の約5%前後。

「自閉症」は普通の人にとっては縁がない発達障害なのだが「自閉症」の診断基準にもよるが1000人中の子どもの約5人に見られるというから、0.5%に相当する。

つまり障害者の10%占めることからわかるように、決して少なくはない障害だといえるだろう。
 


自閉症とは?

自閉症にはさまざまな症状がある。

一見しただけでは特に変わったところがあるとは思えないのだけれど、話しかけると、何かがおかしいことがすぐにわかる だろう。

まず目を合わせにくい。

人からの視線を避け、そわそわしたり、体を揺らしたり、ウチの場合はこれがないので助かるのだが、頭を壁に打ちつけたりすることもある。

自閉症の子どもは恐怖や怒り、喜びといった感情は経験できるのだけれど、他人に心から共感することは難しいように見える。

人との関わりで普通は簡単に感じ取れることができる微妙な手がかりに、まったく気がつかないかのようだ。

 

自閉症の発見

この発達障害は、1940年代に米国の精神科医カナー(LeoKanner)とオーストリアの小児科医アスペルガー(Hans Asperger)がそれぞれ独立に発見した のだが、お互いに相手の研究内容をまったく知らなかったにもかかわらず、偶然にも2人とも「自閉症(autism)」という同じ名前をつけたのだという。

ギリシャ語で「自己」を意味するautosに由来するからだそうだが、自閉症の特徴である「対人的相互作用の回避」は、最近では「自閉症スペクトラム障害」という 呼び方もされている。

自閉症には多くのタイプがあり、症状も軽度から重度へとさまざま で、あまりに多様なため、身内での体験がなければ、こういう人たちがいる施設へ行っても「自閉症」かどうかは、なかなかわからないだろう。

原因が「冷たい母親」という親の育て方に原因があるなどと誤解された時期もあるようだが、現在では科学的に否定されているにもかかわらず、こうした自閉症の子供を持つ親はみな、つらい体験をすることが多い。

そのため自閉症の子を持つ親はなんとかして、その原因を知りたいと願うことになる。

 

自閉症にはある程度の遺伝傾向が知られているが、胎児期の母胎環境も原因になりうると考えられている 。

最新の研究によると、他人に共感したり、相手の意図をくみ取るといった能力には、ミラーニューロンが関係しているのだという。

ミラーニューロンをさらに深く研究することで、自閉症の原因を突き止められる可能性があ るため、診断法や、患者が周囲とよりよい関係を築くための手法の開発にその研究成果を役立てることができるかも知れないと、期待されている。

自閉症の診断基準となる徴候には、対人的孤立、アイコンタクトの欠如、言語能力の不足、共感の欠如などがあり、特に多くの自閉症患者には、隠喩(いんゆ )というメタファーを理解できず、時にはそれを文字通りに解釈してしまうことが多い。

そして他人の動作をまねるのも苦手のようだ。

些細な事柄に異常にこだわり、一方で特に対人的状況において自分のまわりに起こっている重要な出来事を無視してしまう。

ある種の音を極端に嫌がることもあり、ウチの場合は煙をとても怖がる。

これにも周囲の人は困惑してしまう。

これは心の「非常ベル」を鳴らすとはとても思えないような日常的なことに、過剰な反応を示す 「知覚過敏」があるからだ。



原因

自閉症の説明には、解剖学的なものと、心理学的なものの2種類がある が、今回の日経サイエンスでは、「他人とうまく交流をとれない」のは、ミラーニューロンシステムが正しく機能しないせいかもしれないことを説明している。

カリフォルニア大学サンディエゴ校のコーシェン(EricCourchesne)をはじめとする解剖学者たちは、自閉症の子どもには小脳に特徴的な異常が見られることを発見。

小脳は随意筋(意思で動きを制御できる筋肉)の複雑な動きを統合している場所で、自閉症に説明をつけるには、小脳のダメージだけで自閉症が引き起こされていると結論づけるのは時期尚早だという。

小脳性疾患の患者には自閉症の典型的な症状はひとつも見られないからだ。

自閉症患者で見つかった小脳の変化は、自閉症の真の原因である何らかの遺伝子異常によって生じた自閉症そのものとは無関係の副作用である可能性もあるという。

心理学的な説明で最も核心を突く説を提示したのは、ロンドン大学ユニバーシティカレッジのブリス(UtaFrith)とケンブリッジ大学のバロン=コーエン(SimonBaron-Cohen)。



ミラーニューロンシステム

その説とは、自閉症の異常は「心の理論(theoryofmind)」を構築する能力の欠如であるというもの。

「心の理論(theoryofmind)」というのは、他者にも心があることを理鯉し、その動きを推し測る能力 を指すのだが、私たちの脳には特殊な神経回路があり、これの働きによって他者の心の中の動きについて高度な仮説を立てることができる考えられている。

他人の行動を予測できるのも、こうした仮説を立てているからで、自閉症患者が他者と社会的にうまくかかわれないのは 、心の理論を組み立てることができないからで、研究者たちがすべきことは、自閉症ではうまく機能しなくなっている脳機能のメカニズムを解明すること なのだという。

他者の心中を察したり、相手に共感するといった対人的なやりとりには、ミラーニューロンシステムが関連しているらしいのだが、自閉症のおもな症状のうちいくつかは、このシステムの機能障害によって説明できるのだという。

自閉症患者の協力による実験からも、脳のいくつかの領域でミラーニューロンの活動が見られないことがわかっている。

ミラーニューロンの活動を回復させる方法が見つかれば、自閉症の症状のいくつかを緩和できるかもしれないと考えられている。



ミラーニューロンは模倣にも関係している可能性が高いという。

模倣の能力は類人猿にも見られるが、ヒトで最も顕著に発達した能力で、他者の行動をまねたがる性質は 、少なくとも部分的には間違いなく生まれつきのものだ。

シアトルにあるワシントン大学のメルツォフ(AndrewMeltzoff)は、新生児の目の前で舌を出して見せると、その赤ちゃんも同じ仕草をすることを明らかにした 。

赤ちゃんは自分の舌を見ることができないため、視覚によるフィードバックといった「間違い修正 機能」を使ってそうした仕草を習得したわけではないはずだ。

子どもの脳には舌を出すとか微笑むといった母親の視覚的な外見変化を変換するための機構が、運動指令ニューロンにすでに組み込まれているのだろうという。

小児期の言語発達にも脳領域間である種の再変換が必要とされ、親の言葉をまねるには、子どもの脳の中で側頭葉にある聴覚中枢で処理されているシグナルが、運動皮質に送られて発話出力へと変換されなければならない。

ミラーニューロンがこの能力に直接関与しているかどうかはまだわかっていないが、何らかの類似した処理が行われていることは確かだという。

たとえば木の枝をつかむには視覚、聴覚、触覚の情報を迅速に融合させる必要があるのだが、ミラーニューロンシステムによって、人はやがて隠喩を作り出す能力へと進化したと考えられている。

ミラーニューロンのおかげで、ヒトは単にピーナツに手を伸ばすだけでなく、高嶺の花を取ろうとすることができるようになったのだ。

またミラーニューロンは、ヒトが自分を客観的に、つまり他者の視点で見る能力にも関係している可能性がある という。

これは自己認識や内省に不可欠な能力だが、さまざまな実験で、自閉症の子どもは、ミラーニューロンシステムがうまく働いていないことが確認されている。

 

自閉症患者にミラーニューロンの異常が見られることがわかったことで、この疾患の診断と治療の新しい道が開かれると期待されている。

たとえば母親の舌を突き出す仕草をまねようとしないことなどの現象を診断に利用すれば、ごく幼いうちに自閉症であると 、診断することができるようになり、そうなれば、在行われているような行動療法を早くから始めることができるというわけだ。

時機を得た介入はとても重要で、自閉症は通常 2-4歳になったころにおもな症状が現れて周囲がそれと気づくが、それから行動療法を始めるよりも 、早期に始めた方が効果はずっと大きくなるだろう。

別の新しい治療法として、自閉症患者でミラーニューロンを働かなくさせている化学物質のアンバランスを直すという方法が考えられている。

ホーバート(MikhiHorvath)とバーティンスキー(MaryVertinskγ)らは、特殊な神経伝達物質が感情的反応に関連しているミラーニューロンの活動を強めている可能性を示した。

この仮説によれば、こうした化学物質の部分的な欠乏によって、自閉症で見られる共感の欠如を説明できるという。それならば、その神経伝達物質の放出を誘発する化合物や 、ミラーニューロンに対して同じ効果をもたらす化合物を見つければよい。

候補の1つとして挙がっているのが、覚醒剤エクスタシーとして知られているMDMAだ。

この薬物は強い依存性があり、深刻な副作用が知られているが、一方で他者との共感やコミュニケーションを促進することが証明されている。

MDMAに手を加えれば、自閉症の症状の少なくともいくつかを緩和する安全で効果的な治療薬を開発できるかもしれないという。

 

突出風景理論

だがミラーニューロン説だけでは、説明できない症状もある。

些細な物事に過敏に反応したり、体を揺らしたり頭を打ちつけるなどの反復的動作、アイコンタクトの回避、特定の音や煙などに対する過敏な反応や嫌悪感などの 、自閉症の二次的症状は、ミラーニューロン説では説明できない。

このような二次的症状がどのようにして起こるかについては、エルムハースト・カレッジのハーステイン(WilliamHirstein)や、ロサンゼルスを本拠地とする非営利団体のキュア・オーティズム・ナウのアイバーセン(PortiaIversen)は「突出風景理論(saliencelandscapetheory)」と名付けた仮説 で説明されている。

自閉症の子どもはアイコンタクトだけでなく、感情の高ぶりを生じさせるような新しい感覚刺激を避けようとする傾向があ り、その理由はこの仮説で説明できるのだという。

さらに多くの自閉症の子どもが時刻表のような些細なものに心を奪われ、一方でほとんどの子どもが面白いと思うようなものにはまったく関心を示さない理由も ここにあるという。

この仮説を支持する証拠になりそうな実験結果もあり、37人の自閉症の子どもを対象に、発汗によって引き起こされる皮膚の電気抵抗の変化反応をモニターした計測では、自閉症の子どもは自律神経系の興奮レベル は全体的に高いレベルにあるという。

自閉症の子どもは些細な対象や出来事に遭遇すると興奮状態になるのだが、対照群になる子どもたちが興奮するような刺激には、あまり反応を示さないことがしばしば起こるのだという。

何故、彼らの突出風景は歪められてしまうのだろう?

 


人は環境から、視覚情報をはじめ、音やにおいなど、膨大な量の知覚情報を受け取っている。

そうした情報は脳の感覚野で処理された後で、扁桃体に送られる。

ここは、情動をつかさどる大脳辺縁系の入り口として働く場所だ。

扁桃体では、蓄えている知識なども使って、その人が感情的にどう反応すべきかを決定する。

たとえば、強盗を見るとすぐに恐怖を感じる、恋人の姿に強い欲望を感じる、とるに足らないものを見た時には無関心でいる、などといった反応だ。

メッセージは扁桃体から他の大脳辺縁系へと広がり、最終的に自律神経系に達し、この自律神経が体に行動を起こす準備をさせる。

たとえば強盗に出会えば、心拍数は上昇し、筋肉の活動で生じる熱を放散させるため汗が出るだろう。

自律神経の働きが活発になると、今度はそれが脳にフィードバックされ、感情的な反応を増幅する。

やがて、扁桃体は環境中にあるすべての中からその人にとって感情的に重要な「強盗や恋人など」を詳述するマップを作りだす。

このマップが「突出風景」だ。

自閉症の子どもでは、突出風景を描くプロセスに歪みがあるのではないかと考えられている。



こうした歪みの原因としては、脳内での連絡に問題があり、考えられるルートは2つあるという。

ひとつは、入力された感覚情報を処理する皮質領域と扁桃体の間の連絡。

そして、大脳辺縁系と入力に応じた行動を制御する前頭葉の間の連絡だ。

ここでの連絡の異常によって、ごく些細な出来事や物が、自閉症の子どもの心に「自律神経系の嵐」と呼ばれる極端な感情的反応を引き起こすようになる。


 

高熱を出している時には自閉症の症状が一時的に緩和することがある。

これは昔から経験的に知られていた症状なのだが、自律神経反応に関する研究では、これは自律神経系 が体温の制御をしているため、発熱によって自閉症の症状が緩和されるのだろうと推測されている。

突出風景理論によると、頭を打ちつけるといった自閉症の子どもに見られる反復動作は、自己刺激と呼ばれ 、何らかの形で子どもの自律神経の嵐を鎮める働きをしている可能性があるのだという。

自己刺激には鎮静効果があるばかりではなく、皮膚の電気抵抗にも変化が見られるという。

現在、自閉症の子どもの皮膚の電気抵抗をモニターする携帯装置が開発されているが、この装置が自律神経の興奮を検出すると、子どもが着ているベストにつながった別の装置が働き始め 、このベストには、子どもの体を優しく締め付けることによって気持ちをなだめる効果があるのだという。

自閉症の症状を説明するために研究者たちが提唱している、ミラーニューロン説と突出風景説という2つの仮説は、今のところ矛盾する部分はないという。



参考著書の著者

VilayanurS.Ramachandran/1、indsayM.Oherman

V:S.ラマチャンドラン / L.M.オバーマン(カリフォルニァ大学サンディエゴ校)

2人はカリフォルニア大学サンディエゴ校の脳・認知センターで自閉症とミラーニューロンシステムの関係を調査。

同センターの所長であるラマチャンドランは英ケンブリッジ大学で神経科学のPh.D.を取得。

脳の異常に関する専門家として著名な彼は、幻肢や共感覚の研究もあり、その業績によって2005年にヘンリー・デイル賞を授与され、英王立研究所の終身フェローとなっ ている。

オバーマンはカリフォルニア大学サンディエゴ校のラマチャンドランの研究室の大学院生で、2002年に研究チームに加わっている。


原題名

BrokenMirrors : ATheoryofAutism
(SCIENTIFICAMERICAN November 2006)
 

他の参考文献

AUTONOMICRESPONSESOFAUTISTICCHILDRENTOPEOPLEANDOBJECTS.Wllham
Hirstein、PortiaIversenandVilayanurS.RamachandraninProceedingsoftheRoyal
SocietyofLondonB、Vol.268、pages1883-1888;2001.

EEGEVIDENCEFORMIRRORNEURONDYSFUNCTIONINAUTISMSPECTRUMDISORDERS.
LindsayM.Oberman、EdwardM.Hubbard、JosephP.McCleery、EricL.Altschuler、
JaimeA.PinedaandVilayanurS.RamachandraninCognitiveBrainResearch、Vol.24、
pages190-198;2005.

ABRIEFTouxofHUMANCONSCIOUSNESS.Newedition.VilayanurS.Ramachandran.Pi
Press、2005.

 



 

磁気シャワーと自閉症

自分たちでできることで、症状がよくなる可能性の高い方法を探すというのは、どの自閉症を持つ親でも考えることなのだが、実際に有効な手段というのは、ほとんどないのが現実だ。

1992年に渡米した理由の3割は、日本よりもこうした分野では遥かに研究が進んでいるシアトルにあるワシントン大学の医療チームの診断を受けることをきっかけにして「何とかできないものなのか?」という藁にもすがる気持ちからだった。

だが結局は「教育」しかないという結論に達したのだが、親として現実に有効な方法として、私自身を実験台にしている磁気シャワーを浴び続けるという方法を息子にも応用しているわけだが、現在一応の成果が現れている。

高熱を出している時には自閉症の症状が一時的に緩和することがあり、自律神経系が体温の制御をしているため、発熱によって自閉症の症状が緩和さ れるのだろうと推測されているが、磁気シャワーはこの自律神経に「よい作用」があることは、多くの例からも明らかだ。

当然のことながら、脳細胞のミラーニューロンが関連している以上、頭部に対して重点的に磁気シャワーが照射しても安全なはず。

現在は磁気発生装置は枕と腰の二箇所にセットし、睡眠中に連続照射している。

息子に対して磁気シャワー療法をするようになってから現在で8ヶ月目。

当然のことながら、本人は磁気シャワーに対しては、認知も興味もないようだ。

 

使用後すぐに顕著に変わったことを発見したのはカミサンだった。

時々「よだれ」を流すようになっていたのだが、それがピタッと止まったのだ。

それまで私の影響で自分でも磁気シャワーを使っていたため、半信半疑だった彼女は、このできごとを境に、磁気シャワーの効果を確信することになった。

当然だろう。

自閉症は、「冷たい母親説」という親の育て方に原因があると誤解されることが多い。

現在では科学的に否定されているにもかかわらず、こうした自閉症の子供を持つ親はみな、つらい体験をすることが多いのだが、最も悩みそして苦しむのは母親だ。

そのため自閉症の子を持つ母親の原因 を知りたい、何とかよくなって欲しいという想いは、誰よりも強い。

 

だが、前例のないことだけに、磁気シャワーを浴びせ続けることには当然慎重にならざるを得ない。

親が具体的にできる手立てがない以上、親としては磁気シャワーに寄せる期待はどうしても大きくなりがちだが、そこはぐっと我慢をしながら時間をかけ、少しずつ照射の時間を長くしていったのだが・・

「よだれ」が止まってからは睡眠中の連続照射に切り替えた。

半年が過ぎ、精神状態が明らかによくなっていることは、心の中が穏やかだということがストレートに現れる彼の表情からも伺える。

頭部へ磁気発生装置をダブルでセットして照射するという実験は、自分で体験済みで、マイナスになる問題点はないことが確信できてきたので、近いうちに、 息子の症状改善のため、頭部にもうひとつ追加する予定だ。

 

続く・・

 

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