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一日二食の索引
0929 Sat.
朝食は必要か?
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日記「肌荒れとアトピー性皮膚炎撃退法」で管理栄養士を目指して大学に通っていらっしゃる方から、コメントをいただきました。
私は管理栄養士を目指して大学に通っています。朝食を摂ることは栄養面ではとても大切なことです。欠食者には学力低下,怒りっぽい,注意力散漫などの特徴がみられます。
欠食は朝食でないといけないのでしょうか? 朝食の献立改善では問題解決は無理なのでしょうか?
コメント欄へ書き込むと長くなりますので、今日は日記でこのご質問についての見解を中心に書いてみようと思います。
上記の日記にも書きましたが、今日の日記も、甲田先生の「朝食を抜くと病気は治る」マキノ出版 ISBN4-8376-1196-6
の該当箇所から引用し、まとめたものですので、さらに詳しいことを知りたい方は、この本の購入をお勧めします。
現代の医学や栄養学の権威が朝食は必要という最も大きな理由は、午前中に脳を活発に働かせるための活動エネルギーを確保するためです。
つまり朝食をとらないと、糖質が不足して血糖値が下がるので、午前中、脳も体も働かないということなのです。
その根拠になる考え方は、脳は唯一、ブドウ糖をエネルギー源にするため、朝食を食べないと、ブドウ糖が不足するというものです。
脳の重さは体重の2%ほどですが、脳が必要とするエネルギー量は体重の20%にもなります。
一日に2400キロカロリーが必要だとすると、その20%は480キロカロリーですから、ブドウ糖の量に換算すると120グラムが必要になります。
仮に夕食で60グラムのブドウ糖を摂取するとしたら、朝起きたときには、ブドウ糖は底をついているため、朝食をとって糖質を補給することが必要だというのです。
ちなみに、脳は夜間の就寝中も昼間と同じようにエネルギーを使います。
朝食をとると、炭水化物に含まれる糖質がすみやかにエネルギーに変換され、血糖とし
て血液中に取り込まれて全身へ送られます。脳にもブドウ糖が供給されるので、脳が活発
に活動できるというのです。
では、朝食をとらないと、どうなるのでしょうか。ブドウ糖が血液中に取り込まれないので、肝臓に蓄えられているグリコーゲンをブドウ糖に分解して血液中に送り込むことになります。
グリコーゲンの分解は、副腎皮質という器官から分泌されるアドレナリンの働きによってなされます。
しかし、こうしてつくられたブドウ糖は数時間で使い果たされるので、やがて血液中のブドウ糖(血糖)は少なくなり、血糖値は下がってきて、脳のブドウ糖も不足してきます。
そこで、体はアミノ酸を変換してブドウ糖をつくります。しかし、アミノ酸のストックはあまりないため、さらには体のたんぱく質をアミノ酸に分解し、これをブドウ糖に変換代謝しますが、この代謝(体内処理)にはコルチコイドという物質が必要です。
コルチコイドは副腎皮質から分泌されますが、自律神経(意志とは無関係に血液循環や臓器の働きを支配している神経)のうちの交感神経を緊張させ、血圧を上げます。
このように、朝食を食べないと、体のたんぱく質が消耗し、副腎皮質が負担を強いられるし、交感神経が興奮して血圧が上がったりするので、健康にとってよくないと、現代医学・現代栄養学では考えます。
そして、朝食抜きの生活を習慣にすると、やがて、日常的な健康状態も悪くなるというのです。
朝食を抜くと脳の活動が低下するという理論を裏付けるデータとして、大学生を対象にした、寮生活をして朝食をきちんととる学生と、同じように寮生活をしていても朝食を食べないで授業に出る学生を比較して、朝食をとる習慣がある学生のほうが、とらない習慣の学生よりも学業成績がよいという報告があります。
また、朝食を食べるグループと食べないグループに分け、朝食を食べないグループには前夜に夜食としてバターラーメンを食べてもらい、翌日の午前中に集中力のテストを行った実験があります。
結果は、朝食を食べなかったグループ(ただし夜食にラーメンを食べたグループ)のほうが、朝食を食べたグループ(朝食は食べたが、前夜に夜食は食べなかったグループ)に比べ、間違えた数が圧倒的に多かったと報告されています。
また、子供を対象とした調査で、朝食をとらない子供は、朝食をとる習慣がある子供に比べ、スポーツをする元気な子供が少ないという調査報告もあります。
これらの報告に加え、いつも朝食をとっている人がたまたま朝食を抜いたところ、頭がポーッとしてきたとか、体に力が入らない、おなかがすいて我慢ができないなどという実感的体験が、朝食必要論を補強しているといえるでしょう。
排便を促すため
二つめの理由は、朝食は排便を促すために欠かせないというものです。
朝食を食べると、刺激となって胃・大腸反射が起こり、排便が促されますが、朝食をとらないと、その反射が起こらないので便秘になるというのです。
便秘を予防するためにも、朝食をとる必要があるという理屈です。
主な理由は以上の二つですが、そのほか、朝食抜きの一日二食では1日に摂取する食品の種類が少なくなり、栄養に偏りが生ずるおそれがあるという見解もあります。
食事の回数が少ない分、まとめ食いをする恐れがあるので肥満の原因にもなる、という見方もされています。
また、全般的に食生活が乱れ、遅い夕食や夜食が習慣になっていたり、食事の時間が日によって違ったりする場合、朝食を抜くとさらに栄養やカロリーの問題が大きくなる、という指摘もなされています。
朝食必要論の医学的根拠はざっと以上のようなものです。
ここまでの朝食必要論の理屈を読まれると、なるほど、と思われる方が多いはずです。
ですが、朝食必要論は机上の空論にすぎないのです。
脂肪をエネルギー源として使うので脳のエネルギーは不足しないのです。
まず最初の問題は、現代医学・現代栄養学においては、脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖であると決めつけている点にありますます。
朝食を抜くと炭水化物からブドウ糖がつくられないので、体はたんぱく質を分解してまでブドウ糖をつくり出し、そのために大きな負担を強いられるからよくない、と考えるからです。
一日三回以上の回数の食事をとっている場合、脳は食品中の炭水化物から糖質をブドウ糖に変換してこれをエネルギー源として使います。
ですが食事を抜くと、脳は別の物質をエネルギー源として使い始めるのです。
カナダのオーエンス博士は、断食中に脳が何をエネルギー源として使うのか?という点について研究を行いました。
その結果、使用するエネルギーは、ケトン体のβ・ヒドロキシ酪酸が50%で、ブドウ糖が30%、αーアミノ窒素とアセト酪酸がそれぞれ10%ントずつであったと報告しています。
つまりブドウ糖を使うのはわずか30%にすぎず、50%はケトン体のβーヒドロキシ酪酸を使うことです。
ケトン体は脂肪が分解してできる物質です。
つまり、断食をすると、体内の糖分(ブドウ糖)が尽きるので、脳は体内に蓄えた脂肪をエネルギー源として使うのです。
ですから、朝食を抜いても、脳のエネルギーは不足しないのです。
現代医学や現代栄養学の朝食必要論を説いている専門家たちは、オーエンス博士のこの研究報告を知らないのか、あるいは知っていても無視しているのでしょう。
朝食を抜くとかえって頭はさえ、スタミナがつく
ケトン体をエネルギー源とした脳は、脳波の一つであるα波をふやし、脳下垂体からはβーエンドルフィンという物質の量が増すことがわかっています。
α波はリラックスの脳波で、βーエンドルフィンは快感物質といわれます。
ですから、朝食を抜くと、β・エンドルフィンの量が増えるため、さわやかな気分になり、心が平穏になって、とてもリラックスした状態になります。
いつも朝食を食べている人が、たまたま朝食を抜いたりすると、頭がポーッとしたり、体に力が入らなかったりするでしょう。
ですが朝食抜きを一週間も続けると、カラダは慣れてきて、頭はポーッとしなくなり、それどころかスッキリして、体力・スタミナもついてくることを実感するはずです。
これは、朝食抜きを実践している人はみんな、体験していることなのです。
朝食を抜くと胃腸が休められるため、肝臓や腎臓の解毒機能が高まり、疲労感は減少し、スタミナや体力がつくのです。
朝食をとらなくても生水を飲めば排便は促される
二つめの、胃・大腸反射を起こし、排便を促すためには朝食をとることが必要だ、という理論についてですが、なるほど、朝食を食べると便意を催します。
ですが、朝食をとらなくても、生水を飲めば胃・大腸反射は起こるのです。
朝起きてすぐに生水を300から400ミリリットル程度を飲めば、胃・大腸反射が起こり、便意をも、催します。
冷たい生水なら、より効果的です。
腸の働きが低下している人でも、400ミリリットル程度飲めば、たいてい便意を催します。
これは実際に行うとわかることです。
ですから、実際に朝食を抜いてみると、朝食は胃・大腸反射を起こし、排便を促すために欠かせない、必須のものであるという理論は成り立たないことがよくわかるはずです。
空腹時間が長いほど排便が促される
さらに、現代医学や現代栄養学の朝食必要派の専門家たちが理解していない点は、朝食をとるとかえって排便が抑えられるということです。
私たちの体には、胃・大腸反射のほかに、排便を促すもう一つのメカニズムが備わっています。
それが、モチリンという消化管ホルモンの働きです。
このホルモンは、カナダのブラウン博士が1971年に発見しました。
モチリンは、空腹になると腸から分泌されます。
腸の蠕動運動(内容物を肛門のほうへ送る運動)を活発にし、腸管内に残っている内容物を排泄するために分泌されるもので、いわば腸の掃除屋といっていいでしょう。
消化管ホルモンは普通、消化・吸収のために働きますが、このモチリンだけはそれとは別の特別な働きをするのです。
腹が減ったとき、おなかがグーッと鳴ることがありますが、実はこれは排便を知らせるサインで、このときにモチリンの分泌が高まっているのです。
このことを確認したのが、群馬大学の伊藤漸教授です。
モチリンは通常、空腹時間が八時間以上続くと分泌され、しかも何も食べない時間が長いほど活発に分泌されます。
一般に夕食の時間が遅くなる傾向にある現代では、夕食を8時に食べ終わって翌日の朝食が7時なら、夕食から朝食までの間隔は11時間で、計算上はモチリンが活発されることになります。
しかし、前述したように、モチリンは何も食べない時間が長ければ長いほど、活発に分泌されるのです。
そのことは経験的にもわかっているので、完全な排便を促すためには、できれば18時間程度間隔をあけるほうが望ましいのです。
モチリンの分泌があまり高まっていないうちに朝食をとると、モチリンの分泌は抑制され、排便にブレーキをかけることになるので、便は完全には排泄されず、残ることになります。
ですから、排便を完全なものにしたいなら、朝食はとらないほうがいいのです。
毎朝朝食を食べて、その後に排便があるから、便がきちんと出ていると思っている人は多いでしょう。
ですが実は朝食を食べると、便は完全には排泄されないのです。
伊藤先生の研究によると、食事の量が多いと、モチリンが出るまでの時間が長くなります。
夜食を食べると翌朝排便をもよおさないのは、モチリンがまだじゅうぶんに分泌されないためなのです。
このことからも、夕食の時間が遅い人や夜食の習慣がある人、夕食をたくさん食べる人は、なおさら、朝食を抜くほうがいいのです。
十二指腸潰瘍などで胃酸が過剰に分泌している人では、モチリンが分泌されても空腹時の蠕動運動が起こらないことがあります。
若い世代ではモチリンは活発に分泌されますが、中高年になると分泌は低下してきます。
胃腸の働きが弱い人も同様です。
調査の落とし穴
朝食を食べる習慣がある人と朝食を食べない人を比較し、成績や集中力、元気さを比較
する調査では、実は落とし穴があるのです。
たとえば、現代の一般的な生活状況では、朝食をとる学生のほうが、とらない学生よりも規則正しい生活を送り、真面目に勉強していると考えられます。
子供の場合も一般に、朝食をとる子供のほうが、とらない子供よりも、家庭がきちんとしているとみられています。
朝食をとる、とらないが学力に反映するかどうかは、生活全般にわたって同じ条件の下で比較をしない限り、正確な結論を出すことはできないはずです。
そもそも朝食を食べる習慣の人と、食べない習慣の人を長期間追跡し、健康状態を比較した研究は現代医学では行われていないのです。
それなのに、朝食を抜くことを健康にとって有害と決めつけるのは、いかがなものでしょうか。
夜食を問題にせず、朝食の必要性だけを説くのはおかしい
現代医学は、「朝食を抜くと、食生活がなお乱れる」から、その面からも朝食を抜くことは健康にとってよくないと主張しています。
食生活が乱れている人に対して、朝食は有害という説を説くと、なお食生活は乱れ、栄養の問題はもっと大きくなる、と指摘されるのです。
それなら、朝食抜きだけを問題にするのではなく、食生活全般に立って、その乱れを指摘
すべきでしょう。
最近は朝食を抜く人がふえています。その割合が最も高い20代の男性では三人に一人が、20代の女性も五人に一人が朝食抜きという調査結果まであります。
ほかの調査では、20代の独身女性の11.4%が一週間毎日朝食抜きで、一週聞に4-5日程度食べる人の割合が18.3%、一週間に6-7日食べる人の割合が51%という結果が出ています。
朝食を食べない大学生が多いため、なんとか朝食を食べさせようと、大学や生協では知
恵を絞り、無料朝食会を開いたり、寮生に年間の朝食代を前払いさせたりしているのが現状です。
朝食を食べない理由の一つは、夕食の時間が夜遅かったり、夜食をしたりするため、朝
起きた際におなかがすいていないからです。
また、起床して出かけるまでの時間に余裕がないことも理由のようです。
朝食抜きはほんとうに悪いか?
夜遅い時間に夕食をとったり、夜食をしたりすると、朝起きたときに食欲がないのは体の代謝から考えて当然のことです。
夕食や夜食に食べたものがまだ完全には分解.吸収されていないからです。
ですから、朝食を食べないほうが体の自然の理にかなっています。
ちなみに、甲田先生は朝食を抜きさえすれば、それ以外の食生活は適当でいいとは一言も書かれていません。
先生が指導され、勧められている朝食抜きの一日二食は、健康法・養生法であり、病気治療法なのです。
甲田先生は長年、西式健康法を基盤として、断食や玄米生菜食などの少食療法を指導されてきました。
西式健康法は、希代の天才といわれた西勝造先生が世界中の文献7万3000冊を読破、362の各種健康法を実践して編み出し、体系化した総合医学を、1927年に発表されました。
食養生法や六大法則といわれる運動療法などから成り立っています。
他の食養生法と比べて、朝食を抜く一日二食にすることや、玄米菜食でも生のものを重視することに特徴があります。
甲田先生は西式健康法を基盤にして、断食や、野菜をすりつぶして食べる療法などを指導されてきました。
そして、経験を重ねられてゆくなかで、食べ過ぎこそ、私たちの健康を害する最大の原因になっているという結論に至ったというのです。
健康食といわれる玄米菜食でも、食べ過ぎると害になるのです。
ちなみに、「食が細い」という意味での「小食」という言葉が昔からありますが、甲田先生は「腹八分、あるいは腹七分の食事」という意味で「少食」という言葉をつくり、使用されています。
西式健康法における朝食抜きの一日二食主義は、夕食から翌日の昼食まで18時間以上
の間隔をあけるのが決まりです。
ですから、夜食をとる習慣があるなら、朝食をとらないでいても、それは一日二食とはいえません。
夕食の時間が遅い場合、たとえば夜9時に終わると、翌日の昼食を12時とすると、間隔が15時間しかありません。
厳密にいえば、それでは間隔が短すぎるのですが、16時間までは許容範囲とみなしています。
また、原則として、夕食後の間食も禁じています。
夜遅い時間の飲食は、健康を害するもとになります。
いくら朝食を抜いても、夜食や間食をしては健康な体は得られません。
なぜ、朝食をとると健康に悪く、朝食を抜くと健康によいのかという理由をまとめて説明すると次のようになります。
胃腸を休める時間がなく、酷使してしまう
第一に、一日三食の食生活では、胃腸を休める暇がなく、絶えず働かせ酷使します。
食べたものが胃腸で消化吸収・利用されるには14時間から18時間程度かかります。
ということは、一日三食食べる人では、胃腸は休む間がありません。
胃腸が消化をしている間に、次の食事をしているわけで、起きている時間はもちろん、寝ているときも働きづめになるのです。
これでは胃腸は休む間がないため、胃腸は疲弊し、働きは低下してゆきます。
一日3食だと排便が完全になされず、宿便がたまる原因になる
前述したように、朝食をとると排便が完全になされないため、宿便がたまる原因になります。
では、宿便とはいったいなんでしょうか。
宿便は、胃腸の処理能力を超えて食べ続けた結果、停滞した腸管内容物です。
現代医学は、宿便の存在を否定しており、そのことが盲点になっています。
大腸ファイバースコープ(大腸の中を直接見る医療器械)で大腸を観察しても、それらしきものが認められることはめずらしく、宿便といわれるものは存在しない、という腸の専門家もいるほどです。
それは無理もないことです。
なぜなら、便は腸の壁に一年も二年もこびりついていることはできないからです。
腸には約100種類もの細菌が100兆個も棲んでいて、常に酵素(代謝を促す物質)を出して便を分解するからです。
また、腸の粘膜は三日に一度くらいの割合で脱落し、入れ替わるので、腸の壁に便がいつまでもこびりついていることはありません。
しかし、断食を行うと、ふだんとは異なる状態や特異な悪臭の便が大量に排泄されます。
これは実際に見られる現象で、断食を経験した人の多くが体験をしています。
高速道路と車の関係にたとえると、1分間に車が150台通れる高速道路では、70台ならスムーズに流れますが、150台以上が入ると渋滞を引き起こします。
そこへ無理に入ろうとすると前の車に衝突することになり、後続の車は次々と衝突するという、いわゆる玉突き事故で、車はジクザグに数珠つなぎとなります。
これと同じことが腸で起こるのです。
処理能力を超えて食べ続けていると、それを収納する胃腸は、伸びて垂れ下がり、横に広がったりします。
そうなると安定が悪いので、腸はあちこちにへばりつき、へばりついたところへ癒着が起こります。
癒着とは、もともとは分かれている組織がくっつき、つながることであり、癒着したところは変形して細くなったり、ねじれたりします。
腸がねじれると、そのくぼみに食べ物のカスが引っかかって、滞留します。
宿便は、このようなくぼみに滞留した腸管内容物(食べ物のカスや便、腸内細菌のカスなど)なのです。
このように変形した腸は、排泄力が低下して便秘になりやすく、また下痢もしやすいので、さらに宿便をため込むことになるという悪循環に陥ってしまいます。
腸の癒着が進むと、その部分は横にふくれて風船玉のようになり、腸は動かなくなります。
この状態を、甲田先生は「腸マヒ」と名付けています。
これによっても腸は蠕動運動ができなくなり、宿便がさらに滞留する悪循環に陥ります。
しかし、前述したように、便はいつまでも腸管の壁にこびりついていることはできません。
腸内細菌が出す酵素によって、分解・吸収されるからです。
そうであるならば、宿便がたまらないように思うかもしれませんが、次々に宿便がつくられるので、いつもたまっているわけです。
胃腸や胆嚢、子宮などの手術をすると、術後に癒着が起こり、それによってさまざまな症状に悩まされることがあります。
ところが最近では、過去に手術をしたわけでもないのに、腸に癒着がある人もめずらしくありません。
原因は胃腸の処理能力を超えて食べ続けたことにありますが、現代医学はそのことに気づかず、そこが盲点となっているのです。
腸の壁についた便は、腸内細菌が出す酵素によって分解・吸収されますが、宿便がたまっている腸は腸内細菌叢のバランスが崩れているため、異常発酵、つまり腐敗し、それが腸管の壁の血管から体内へ吸収され、全身を回ります。
当然ですが、発酵・腐敗する過程でつくられた毒素も吸収され、そのため、頭痛やめまい、肩こり、倦怠感などの不定愁訴を引き起こします。
さらには、宿便は、脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる脳卒中)や脳出血、心筋梗塞(心臓の血管が詰まって起こる病気)などの循環器系の重大な病気、さらにはガン、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患、膠原病など、実にさまざまな病気を発生させるもとになります。
つまり、ありとあらゆる病気に関係しているといっても、過言ではありません。
一日3食は肥満の原因になる
第3に、一日3食の食生活では、どうしても食べ過ぎになり、肥満を引き起こします。
食べ過ぎを防ぐためにも、一日二食が適切で、それには朝食を抜くのが、現代の生活ス
タイルに照らしても、理にかなっています。
現代医学でも、肥満は健康を損ない、生活習慣病をはじめとするさまざまな病気を発症する原因となる、という見方をしています。
厚生労働省の国民栄養調査によると、男性の三人に一人が肥満です。
肥満と、肥満が影響して発症する糖尿病は、増加傾向にあります。
肥満は糖尿病や高血圧を引き起こす原因になることが問題ですが、食べ過ぎは宿便をため込む原因になることからも、非常に問題となるわけです。
宿便がたまっている腸では、腸内細菌叢のバランスは崩れ、悪玉菌が優勢になっています。
腸内細菌の状態が悪いと、肝臓に負担がかかり、肝機能が低下し、腎機能も低下をし、ひいては全身の健康状態が悪化してゆくことになります。
いかがでしょう。
それでもあなたは、一日3回の食習慣を続けたいと思いますか?
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